レビュー

私たちは日々、何に追われているのだろうか。もっと働いてお金を稼がないと。

もっと効率化しないと。もっと成長しないと――。そんな思いが常に頭の片隅にあり、気が休まることがない。
本書によると、この「追われている感覚=しんどさ」は、個人の性格や能力ではなく、社会の仕組み、すなわち「資本主義の構造」から生まれているという。問題の原因が構造にあるため、小手先のスキルでは解決に至らず、形を変えながら繰り返し私たちに迫ってくるのだ。
本書では、歴史と思想を紐ときながら、私たちを追いかける「追手」たちの正体を明らかにし、資本主義の構造とどう結びついているのかを解説する。著者は、人気ポッドキャスト番組「COTENラジオ」の株式会社COTENで歴史調査を担当し、現在は人文知を社会につなげる活動をしている品川皓亮氏である。
「資本主義」「歴史」「思想」と聞くと難しそうに思えるかもしれないが、その心配には及ばない。著者は身近な話題を糸口に、軽やかに歴史と思想の旅へと誘ってくれる。現代を生きる私たちのしんどさは、元をたどるとローマ時代に生まれたキリスト教や中世ヨーロッパの哲学、産業革命、そしてアメリカの建国などと関係しているという。過去と現在がぴたりとつながる感覚は知的好奇心をくすぐり、読む手が止まらなくなる。
資本主義に関しては様々な議論があるが、私たちはその枠の中で生きていかなければならない。
それを踏まえて、資本主義とどう付き合っていくべきか――。そのヒントを、本書に見つけてほしい。

本書の要点

・「追われている感覚=しんどさ」の正体は、時間、成長、数字、労働、お金、消費の「6人の追手」だ。これらは、個人の性格や能力からではなく、資本主義の構造から生まれている。
・時間に追われる感覚は、キリスト教の「直線的な時間感覚」と関係している。
・「成長の呪い」の起源は、中世ヨーロッパの哲学にある。その後、科学技術の発展や産業革命を経て、「人類は成長し続ける」という進歩史観的な価値観が定着していった。
・資本主義社会で自分を見失わずに生きるためには、距離感をほどよく調整するスキルが必要だ。



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