【あの頃、テレビドラマは熱かった】
「あぶない刑事」
(1986年/日本テレビ系)
◇ ◇ ◇
男女雇用機会均等法が施行された1986年の10月。社会人1年目だった僕は、アパレルメーカーの営業としてSUZUYAとかCABINの婦人服チェーン店を回っていた。
刑事ドラマはもっと昔のテレビ草創期から人気で、ほぼ毎日どこかしらでやっていて、当時なら日テレの「太陽にほえろ!」やテレビ朝日系の「特捜最前線」は長期シリーズだった。あと「西部警察」も。でも「刑事ドラマ=おっさんのもの」と感じる若者は結構いて、当時の僕もその1人。オンタイムで積極的に見ることはなかった。
「あぶ刑事」は、そんな刑事ドラマ観を一変させた。舘ひろし(当時36)と柴田恭兵(当時35)がおしゃれなスーツ姿で、軽口を叩きながら危険なところに突っ込んで犯人をやっつけちゃう、何だか格好いい刑事ドラマ。もともと日テレ×セントラル・アーツの刑事・探偵ものはスタイリッシュで、81年には藤竜也(当時40)と草刈正雄(当時29)の「プロハンター」がそうだった。
もっとさかのぼると「探偵物語」(79年)や、さらに前の「傷だらけの天使」(74年)は“伝説的”でさえある。独特の“軽やかさと事件のバランス”があって、「あぶ刑事」はその流れのにおいがした。
80年代半ばはDCブランド全盛期。
この“ちょいワル”(この言葉が出るのはもっと先だけど)を真似した20代は、今は還暦過ぎか……。
おっと忘れちゃいけないのが、“薫ちゃん”浅野温子(当時25)。抜群のスタイルと美貌で、タカ&ユージと対等以上にやり合っていた。旧式の刑事ドラマの“かわい子ちゃん”とは全く違う、雇用機会均等法時代の“イイ女”。そしてその姿は“ワンレン&ボディコン”。「あぶ刑事」以降、東京でもアライア風、ミュグレー風の女子が増え始め、後のバブル女子像が完成していく。浅野温子がトレンディードラマの代名詞的存在になるちょっと前のことだ。
(テレビコラムニスト・亀井徳明)

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