アニプレックスは、『HUNDRED LINE -最終防衛学園-(以下、ハンドラ)』発売1周年を記念したスペシャルイベント「1周年記念学生祭(クラスフェスティバル)」を4月26日に東京・日経ホールにて開催しました。
本イベントには、澄野拓海役の木村太飛さん、蒼月衛人役の櫻井孝宏さん、九十九今馬役の緒方恵美さん、九十九過子役の伊藤梨花子さん、そしてディレクション&シナリオを担当する小高和剛氏が登壇。MCを田口尚平氏が務め、昼夜2公演でファンとともに作品の1周年を盛大に祝いました。
本記事では夜公演のレポートと共に、小高和剛氏・打越鋼太郎氏・木村太飛さんへの囲みインタビューの様子をお届けします。
◆好きな部隊長や最初に辿り着いたエンディングなどアンケートが公開
イベントは、キャスト陣による軽快でキャラクターらしい朗読劇から幕を開けました。澄野拓海の緊張した「もうすぐクラスフェスティバルの開演時間か、なんだか緊張してきたな…」というセリフに始まり、九十九兄妹との掛け合いが飛び交い、木村さんは初めてのドレスアップ衣装に戸惑う拓海の心情を生き生きと表現。
さらに蒼月衛人が本性を隠した一周目か、人類を憎む内心を露わにした二周目のどちらかを選ぶかという、作中の選択肢を選ぶシーンを模した演出が挿入。夜の部は二周目以降の蒼月に決定(昼の部は一周目だったとのこと)し、櫻井さんは独特のキツい口調で「醜い怪物が…」と拓海をディスりつつ、イベントの緊張を和らげる役割を自然にこなしており、『ハンドラ』のイベントが始まるんだと期待を高めていました。
最初の企画はファンアンケートの集計結果発表で、100エンディングという膨大なボリュームを誇る本作への没入度が、具体的な数字となって現れました。
プレイ時間トップ10では475時間~870時間という驚異的な記録が並び、緒方さんからは普通クリアまでにどれくらいかかるのかという疑問が飛び出しました。小高氏は「じっくりプレイした人は200時間オーバーが多いですね。400時間以上プレイしている方も会場にいるんじゃないか」と笑い、実際にファンのひとりが手を上げると会場にはどよめきが広がりました。
一番好きな部隊長ランキングでは、敵である部隊長たちの意外な人気ぶりが話題に。
「最初に辿り着いたエンディング・ルート」では、「真相解明編」が1位に輝きつつ刺激的な「カリスマ澄野編」2種がランクイン。会場がどよめいたことに木村さんが「エッチなゲームだな」、緒方さんが「皆さんの選択の結果ですよ」と突っ込み、会場は爆笑の渦に包み込まれました。ちなみに小高氏は「設定が早めに明かされるように、真相解明編に行きやすいように誘導しているつもり」と裏話も明かしていました。
◆気になる情報やキャラ深掘りも飛び出したファン質問コーナー
続いて質問コーナーでは登壇者の生の声が聞けました。小高氏に対する「こだわったけれど、 プレイヤーが気づいてなさそうな細かいポイントはどこですか?」という質問では、意外と遊びつくされているかもと前置きしつつ「オブジェクトを調べた時のセリフ変化」について言及。変な言葉を仕込みまくったと明かしながら、「膨大だけど800時間プレイした人は見ているかも」と話しました。
「木村さんの考える、澄野が一番「極限と絶望」を味わったシーンはどこでしょうか」という質問では、木村さんは1周目終盤の蒼月関連の衝撃展開と回答し、「澄野も僕もめちゃめちゃビビりました」と語りました。
櫻井さんには「蒼月を演じるにあたってのこだわりや辛かったポイント」の質問が飛び、「認識障害を患う蒼月が人間に感じている描写を想像すると、自分も気持ち悪くなりました」と苦労を吐露。また、緒方さんは小高作品の特徴について聞かれ、「絶望の中で希望の光を見せる」「コンプライアンス的に大丈夫かと思うような描写も攻めている」と分析しています。
伊藤さんに対しては、質問の文章が今馬のセリフ風だったため「緒方さんが投稿した訳ではありませんよね?」とツッコミが入っていました。
◆笑いに包まれた説得ミッション&罰ゲーム
イベントのハイライトとなった「説得ミッション」では、ゲームのミニゲームさながらの演出で特防隊のメンバーから不満が飛び出し、キャスト班とクリエイター班に分かれてキャラクターを説得するもの。キャラクターに投げかける言葉は観客投票で選択し、説得に失敗した場合は木村さんが「100」にまつわる罰ゲームを受けることになりました。
「澄野拓海」説得ミッションでは「主人公なのにひどい目に遭いすぎじゃないか…」と漏らし、「ささやかな幸せを手にするルートを増やして!」という願いが。ただクリエイター班(小高氏)による「みんなのお母さんなんだから我慢しなさい」と、櫻井さんが書いた「もっと酷い目に遭いたいみたいだから、澄野『滅』ルートを増やす」という回答が対決。
結果はキャスト班のセリフに大きな拍手が巻き起こり、澄野への説得も成功していました。
「蒼月衛人」説得ミッションでは、「人類を皆殺しにできないなら出演する意味はない」と強烈な不満を吐露。キャスト班の木村さんは「蒼月これで終わりだ」と答えた一方、小高氏は丸子楽のユニークなイラストを描いて「オレの命だけは、助けてくれ~!!」と回答。
こちらはクリエイター班の回答が選ばれ会場では笑いも起きていたものの、さすが蒼月というべきか、生半可な言葉では説得することができずに失敗。罰ゲームとして木村さんが「センブリ茶100ml」を飲むことになり、味に顔を歪めながら「すごく苦い!」と耐えていました。
罰ゲーム後にはサプライズで、木村さんが2026年3月に第20回声優アワード新人声優賞を受賞したことに対するお祝いとケーキが贈られ、櫻井さんに食べさせてもらうという場面も。
◆迫真の生アフレコとまさかの“舞台化”が発表
生アフレココーナーでは、「蒼月たくさん編」と「真相解明編」のシーンが臨場感たっぷりに演じられ観客を魅了。一人での収録時とは異なる「投げ合い」の楽しさをキャスト陣が語り、改めて挙がった「アニメ化してほしい」との声に、小高氏も「アニメ化ができるように頑張りたい」と意欲を見せました。
最新情報の告知コーナーでは、物販・アパレル・フィギュア・トレーディングカードに加え、夜の部の解禁情報として舞台化が発表されました。舞台タイトルは「極限選別演劇 HUNDRED LINE -最終防衛学園-」で、2026年8月8日~16日まで、東京・銀河劇場にて上演予定です。
上演シナリオは「始まりの100日」にはじまり、「真相解明編」「リスタート編」「さよなら蒼月編」「SF編」など作中のさまざまな分岐ルートを舞台化。特典付きS席には、小高氏監修によるオリジナル書き下ろし小説「特防隊前日譚FILE04 飴宮怠美の変身」の小冊子が付属します。
一つの公演で全10種の異なるストーリーを展開するという前代未聞の構造が語られ、小高氏は「(あまりの大変さに責められそうだから)自分は役者と会わないほうがいいんじゃないか」と笑いを誘っていました。
◆黒沢ともよさん登場のサプライズと感動の締めくくり
イベントの終わりはゲスト一人ひとりのメッセージが語られましたが、木村さんだけ壇上に残り、「真相解明編」ラストシーンの生朗読を行うとアナウンス。さらにサプライズとして、イベントには登壇していなかった霧藤希/柏宮カルア役の黒沢ともよさんが登場。まさかの粋な演出に会場は、悲鳴と歓喜が混ざった反応に包まれました。
「君のことを守れた」「戦争は終わった」「わたしが死ぬその時まで…わたしは必死に生きる」というセリフの応酬に、会場は静まり返り多くの客席からはすすり泣くような音が聞こえたのも印象深いです。
公演を通じて感じたのは、キャストとクリエイター、ファンが一体となって作品を育てている温かさです。今回発表されたコミカライズ・舞台化をはじめとしたメディアミックスを加速させ、次の2周年はアニメなどの展開を引っ提げて再び「クラスフェスティバル」が開かれる日を、ファンとして心から楽しみにしたいイベントになりました。
<cms-pagelink data-page="2" data-class="center">小高氏、打越氏、木村さんにインタビュー!</cms-pagelink>
◆囲みインタビューの様子をお届け
イベントの終演後に小高氏、打越氏、木村さんの3名に囲み取材を行う機会を得たため、インタビューの様子をお伝えします。
――イベントの感想や『ハンドラ』1周年を迎えたことに対する思いを聞かせてください。
打越:夜の部の方は客席で見ていたのですが、昼公演より夜公演の方が温かかった気がします。昼の部のサプライズゲストが僕だったせいでしょうか…申し訳ないです(笑)。エンディングの朗読劇はやはり感動してしまい、周囲のお客さんが僕がいることに気づいていたので、泣いたら恥ずかしいなと思って堪えていましたが、全体的に素晴らしいイベントだったと思います。
小高:昼の部で発表したファンアンケート結果の「好きなエンディング・ルート」で、打越が執筆した「SF編」がランクインしていましたよね。SF編は辿り着くまでのハードルが高いルートでプレイしていない人も多いと思いますが、自分の持ち味を打ち出してユーザーを信じているのがすごい。自分に内緒でシナリオロックを入れており、SF編で全員死なないことを知らなかったので、「全員生きててくれ」とハラハラしながらプレイしました。
打越:制作の早い段階で、「全員死なない」と伝えてましたよ(笑)
小高:言ってましたっけ?忙しくて忘れていました(笑)
木村:『ハンドラ』リリースが1年前だと、未だに信じられていないんですよね。
――今後『ハンドレッドライン』で成し遂げたい野望はありますか?
小高:直近だともちろんアニメ化ですね。なぜやりたいかというとシミュレーションRPGだったので、アクションとして特防隊メンバーが入り乱れて侵校生と戦うシーンは、ゲームでは見せきれていないんですよね。そこに伸びしろがあると思いますし、作品の特質上「アニメも別ルートでした」と言えてしまう構造ですし、新しい『ハンドラ』を見せられるんじゃないかという手応えもあります。あとDLCに関しても、違法建築のようなゲームにして「なんじゃこりゃ」と言われるようなカルトゲームにしたいという野望はあります。
木村:僕は澄野が『スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)』に出演してほしいです。
小高:それは無理ですよ(笑)。
木村:いやいや、わからないですよ(笑)。可能性を信じています。
打越:アニメ化以外だとスピンオフもしてみたいですね。例えば面影の暗殺日記のように一人ひとりにフィーチャーして、それぞれ異なるスピンオフをしても面白いかなと。
小高:特防隊の前に戦争していたメンバーを描く、『HUNDRED LINE 0』も面白いかもしれませんね。
――DLCのお話がありましたが、どれぐらい実現できそうなのか。実現したらどのようなシナリオを執筆したいかを教えてください。
小高:イベントでメディアミックス展開を発表しましたし、『HUNDRED LINE 3』と言えるくらいの大規模なDLCを実現したいですね。ただのファンアイテムではなく、DLC目当てにゲームを買う人がいるようなキッチリした作品を作ってこそ『ハンドラ』という気がしますし、安直な小銭稼ぎのようなDLCを出してしまったら、舞台の無茶振りに応えてくれた人たちにも悪いので、自分たちの心身を削って作りたいです。
ただゲームをまた1から作るような予算が必要になってくるので、『ハンドラ』をさらに広めてお客さんを獲得しつつ、DLC構想を常に練り続けています。「あれはどうだったんだろう」みたいな謎が残っている部分もありますが、語らないのがロマンではないかと思う部分もあるため、取捨選択しつつ新しい価値観を提供するようなルートを作りたいです。
たとえば新しい新入生が入ってきてもいいかもしれないし、東京団地だけで終わるような話があってもいいかもしれないし、新しい敵が出てくるのもいいかもしれない。僕自身『ハンドラ』は最初で最後の自社IPだと考えているので、クリエイターの集大成としても長く付き合い続けたいなと思っています。
打越:全部小高に言われちゃいましたね(笑)。僕としては敵とは一切戦わない、東京団地で純粋な学園モノをしてみたいです。キャラクターが全員魅力的なので活かしたい思いが強いです。あと舞台や漫画など他メディアに広げられるので、ゲームで明かされていない謎がそっちで解決されるかもしれない。そういった展開も楽しみにしていただければと思います。
小高:「キメツ学園!」のような学園モノはいいかもしれません(笑)。僕は「〇〇〇ライク」と言われるような作品は作りたくないので、DLCを作るなら主人公たちが都市伝説を解体したり、魔法少女たちが学級裁判をしたりするようなタイトルがいいですね!
――(笑)。夜の部では舞台化が告知され、13公演中10公演が異なるシナリオになると発表されましたが、経緯やルート選定について詳しく聞きたいです。
小高:「公演ごとにシナリオを変えたらいいのでは?」というのは、打ち合わせで僕がポロっとこぼしたのがきっかけでしたが、その方が『ハンドラ』らしいだろうと進んでいきました。どういうルートにしたらお客さんの満足度が高くて、どれくらいゲームから変えれば成立するのかは、舞台チームやアニプレックスの稲生舜太郎プロデューサーがコントロールしており、僕はそれをチェックする立場です。
どちらにせよ大変な舞台になることは間違いないですし、『ダンガンロンパ』に縁のあるキャストも出演します。キャスト全員覚悟をもって作り上げているので、ぜひ見に来てください。
――特典付きS席チケットには、書き下ろし小説「特防隊前日譚FILE04 飴宮怠美の変身」も付いてくるのですね。
小高:ゲーム予約特典の「特防隊前日譚FILE03 雫原比留子の初陣」を書いた小山(恭平氏)が、今回も執筆して僕が監修しています。少し薄暗い話になってますが、すごく面白いのでぜひ読んでほしいですね。
――イベントには女性ファンが多かった印象がありますが、ファン層はどのように捉えられていますか?
小高:やはり『ハンドラ』ファンは女性の方が多いと思っています。これまでのイベントは中国・スペイン・北米など海外が中心で、日本のファンの方と触れ合うイベントは久しぶりでしたが、改めて日本にも『ハンドラ』を愛している方がいたんだと実感できてありがたいです。
日本のファンは、優しく見守って支えてくれる印象がありますが、今日楽しんでくれている表情が直接見れたことで、「もっと盛り上げていかないといけない」という気持ちになりましたし、背中を押された感覚があります。
木村:昼の部には外国の方も来ていましたよね。僕のファンは中国やインドネシアなど半分ほどが外国の方で、本当に『ハンドラ』がグローバルなタイトルだと感じてます。たくさんのファンの方を前にする機会は近年だと限られているので、今回は貴重な経験でしたしファンから力をもらって、『ハンドラ』をさらに好きになる一日でした。
――『ハンドラ』は海外人気も高いのですか?
小高:まあまあ人気はあると思いますが、まだポテンシャルはあるとも感じていています。ちなみに去年の話題作を色々プレイしましたが、シナリオという点で見れば『ハンドラ』が一番面白かったと客観的に考えています。たとえば朗読劇でも使われた「真相解明編」エンディングは、そのシーンだけ切り取っても感動できますが、そこに至るまでの積み重ねがあるからこそ強いエンディングになっています。
僕らのゲームは漫画・アニメライクな作風なので、海外のコアゲーマー層には少し敬遠されがちですが、ハードコアなタイトルに負けないくらい人の心を揺さぶるシナリオが書けたので、食わず嫌いせずにプレイしてもらいたいです。
――アニメ化が実現したら、さらにグローバルで人気になりそうですね。
小高:アニプレックスなので、「鬼滅の刃」のようにグローバルな人気が出るでしょう(笑)。
――最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
小高:ファンの皆さんの応援があったからこそ、ここまで生き延びてこられたと思っているので、本当にありがたいと思っています。毎作ユーザーとの勝負だと考えており、「買ってください、お願いします」と思いつつ、それ以上に「絶対に魅了してやる」という気持ちで作っています。
特に『ハンドラ』は借金をして、長い年月をかけて会社が潰れるかもしれないという覚悟で勝負をかけた作品でしたが、日本ゲーム大賞などアワードで結果を出せたので、追い詰められた状況で結果を出す僕を褒めてあげてほしい(笑)。そうしたらもっとやる気になるかもしれません。
木村:これだけ愛されているゲームで、主人公を演じさせてもらって光栄です。最初は「倒産するかもしれない」というスタートでしたし、色んなことを『ハンドラ』で経験しすぎて忘れられないというか、『ハンドラ』に呪われているんですよ(笑)。
ファンの熱量をずっと持ち続けてほしいですし、持ち続けられるように澄野拓海という男をまだまだ演じていきたいので、よろしくお願いします。
打越:ファンの方は『ハンドラ』の面白さに気付いていない人に、引き続き布教してほしいです。プレイに一番抵抗感があるのはプレイ時間が長い点だと思うので、布教するときに「このルートがオススメ」と一緒に言ってあげればプレイしてもらえるのではないかと。
遊んでいるうちにハマってしまうと思うので、取っ掛かりとして1ルートだけでも勧めていただければ。
――ありがとうございました!


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