生きて帰れば釈放と報酬を与える。ロシアで刑務所の囚人を兵士として勧誘
 今や終わりの見えないロシアによるウクライナ侵攻だが、長期戦となりロシア側でも兵士の不足に頭を悩めているようだ。

 ロシアの独立報道機関「iStories」が伝えたところによると、プーチン大統領と関連がある民間軍事組織が、ロシアの受刑者らを兵士に勧誘しているという。


 6か月間の任務を終えて無事生還すれば、保釈され、報奨金20万ルーブル(42万円)が与えられるということなのだが、果たしてその約束は守られるのだろうか?

刑務所の囚人を兵士に勧誘 プーチン大統領と関係性の近い民事軍事組織「ワグナー・グループ」は、ロシアの複数の刑務所にいる受刑者たちに兵士になるよう勧誘活動を行っているという。

 ワグナー・グループは、冷酷で残忍なロシアの傭兵集団として知られており、すでにウクライナに派遣されている。

 複数の紛争にて、ロシア連邦政府の対外政策に沿う形で傭兵として派遣され、親ロシア系武装勢力や外国軍と共に戦うことが多い準軍事組織だとされている。

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 受刑者の家族らの話によると、サンクトペテルブルクとレニングラードの少なくとも3つの刑務所でに関係者が現れ勧誘を行ったそうだ。

 また、ニジニ・ノヴゴロドの刑務所からは、自ら応募に志願した囚人が選ばれたとも伝えられている。

 受刑者の親族の1人(匿名)は、このように話している。
7月1日、いわゆる“検査官”がサンクトペテルブルクの刑務所に来て、受刑者と話しました。

彼らは、受刑者に祖国を守るよう頼み、「ナチスを見つけるのは非常に難しい。奴らはとてもよく準備しているからな。これが、兵士が帰ってこない理由なんだよ。君には、先駆者となってナチスを見つけるのを手伝ってほしい」と言ったそうです。


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対象は服役20年未満、生きて帰れれば自由と報酬を与えると約束 以前は、軍事経験のある受刑者のみの応募に限っていたが、現在は服役20年未満の受刑者が対象となっている。


 ある刑務所では200人もが応募し、40人が選ばれたそうだ。

 ワグナー・グループの勧誘者は、受刑者たちにこのように約束したという。
もし、無事に生還すれば自由の身となる他、20万ルーブル(約42万円)の報酬を与える。万が一死んだら、遺族には500万ルーブル(約1070万円)を渡すことを約束する。
 だが、これらは“口約束”のみで、書面に記載されていなかったと親族は語っている。

 一方、別の受刑者の身内は次のように話している。
彼(受刑者)は、お金を得る機会と見て応募したがったのですが、家族が強く反対しました。

今は「もう兵士には応募しない」と言っていますが、実際には迷っている様子です。万が一最悪のことが起こっても、支払われるお金でアパート代が払えるからとも言っていました。


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 勧誘者は当初は、「兵士となった者が生還する確率は20%」と話していたが、後になって「ほとんど誰も戻ってこない」と言っていたという。

 国外に亡命したロシアの反汚職活動家ウラジーミル・オセチキン氏は、ドンバス地方で兵士ボランティアを募集しているロシア連邦保安庁(FSB)の受刑者への対応について、「彼らは、受刑者に文書もバッジも与えず、死んでも遺体は親族の元に戻ることはないと説明している」と述べており、勧誘時の「自由」や「報酬」の約束に疑問を投げかけている。

References:Putin 'promising convicts cash and pardons' to fight as cannon fodder | Metro News/ written by Scarlet / edited by / parumo

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