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幕開けを飾ったのは、レジェンドによるあの名曲!
開演直前の客入れBGMは、「We Will Rock You」から「Vertigo」と従来の“アニサマ”通り。声出しNGのため観客からのコールはないものの、クラップとサイリウムによって場内のボルテージは高まっていく。
従来との最大の違いは、やはりスタジアムモードの会場に五千人しか入場できていないという点だろう。前後左右1席は空けての座席指定のため、通常通りであれば1万人を収容できる設営。だがそれでもアリーナの後方半分や200レベルの大半、それ以上の階層を使用しないとこんなにがらんとしているものかと、改めて驚く。だが同時に、大きな通路やアリーナへのスペシャルステージの設置などの“仕掛け”が、期待も持たせてくれた。
まずOP映像はテーマソング「なんてカラフルな世界!」を用いて、五十音順でアーティストが紹介。1組ずつ、曲中の「オマエナニサマ!?オレアニサマ!」の歌唱に続いて画像が登場し紹介されていくという形だ。
それを経て、トップバッターとしてステージに立ったのは高橋洋子。2階ステージ上でスポットライトを浴びながら、「魂のルフラン」の頭サビをたっぷりかつ堂々と歌唱する。
続いては「D4DJ」のユニットが立て続けに登場。まずはPhoton Maidenが「Photon Melodies」でスペーシーな雰囲気に会場を塗り替えつつ、サビ明けのダンスパートでも魅せて観客を惹き込むと、そこにPeaky P-keyが加わって一緒に「電乱★カウントダウン」を披露。歌声の力と徐々に迫りくるようなビートをもって胸を高鳴らせ、Happy Around!のターンへ。DJ台に各務華梨(明石真秀役)が、残り三人はスペシャルステージに登場し、「ぐるぐるDJ TURN!!」を歌唱しながらトロッコでメインステージを目指す。人と人とを繋げる引力を持つ愛本りんく(演:西尾夕香)擁するハピアラが、トロッコには最適任だったのではないだろうか。
また、Bメロでは愛美(山手響子役)や紡木吏佐(出雲咲姫役)も歌唱に参加し、TVアニメ『D4DJ First Mix』OPの再現に。そして最後は、サプライズでMOTSUが登場して3ユニットとともに「CYBER CYBER」。ゲームアプリ『D4DJ Groovy Mix』でこの曲をカバーしているPeaky P-keyのメンバーとの、ラップの掛け合いも見ものだった。
続く富田美憂は、『無能なナナ』のアニメ映像に続いて同作のOP「Broken Sky」を歌唱。キー高めのデジタルロックを、楽曲の雰囲気通りシリアスに歌いきる。表情もキリッとしつつ、大サビ前のブレイク中に眼前の光の海にニヤリとし、一番の全開な歌声で終盤を歌い上げて締め括る……と、そこに「エモーい!」のシャウトとともに大橋彩香が登場!共演歴も多い二人が、イベントタイトルにちなんでかFLOWの「COLORS」でコラボする。直前からどんどんノッてきていた富田はもちろん、大橋の歌声ものっけから絶好調だ。
こちらも初出場の声優ユニットDIALOGUE+は、マーチのようなinterludeで入場。内山悠里菜の「かくめい、はじめます!」の言葉をきっかけに、デビュー曲「はじめてのかくめい!」でエネルギッシュかつキレあるパフォーマンスをみせ、そのまま「人生イージー?」でも精度の高いパフォーマンスやフレッシュな歌声・ダンスを通じて、会場全体へエールを届けていく。さらにMCなしでもう1曲続けた「おもいでしりとり」は、勢いある曲以外でのユニットの魅力も感じられるナンバー。連動するような動きからチームワークの良さを感じさせたりと引き続きダンスでも魅せつつ、より感情豊かに歌うことで要所要所で心を掴む、濃いステージになっていたように思う。
その「おもいでしりとり」がOPを飾った『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』のED 「Plastic Smile」から、石原夏織のステージはスタート。ピアノ伴奏を佐藤純一(fhána)が担当するスペシャルバージョンで、切ない恋心を込めたナンバーと石原のキュンとくる歌声の相性は抜群だ。
続いてはスピラ・スピカの出番。2階ステージに幹葉(vo)が登場して「リライズ」の頭サビをアカペラで歌い上げると、力強く澄んだ歌声が活きるロックナンバーで会場を自分たちのライブの空気に塗り替える。また、この日も息継ぎがわからないレベルに切れ目のないMCも健在で、そのまま振付講座を挟み「ピラミッド大逆転」へ。1・2番ともAメロで三人ともステージ端まで駆け出して可能な限り観客の近くで披露するが、にもかかわらず直前までしゃべりっぱなしだった幹葉の息が切れていないことは、評価されて然るべきだろう。また大サビでは、直前まで視線を交わしてプレイしていた寺西裕二(g)とますだ(b)も楽器を外して全力ダンス。歌の力で掴んでからハッピーで会場を巻き込む、スピスピらしさ溢れる2曲だった。
その空気をまたもガラリと変えたのはASCA。スリリングでハイスピードなナンバー「RESISTER」ではシャープな歌声で大会場の空気を切り裂き一気にシリアスなムードをもたらし、直前とはまったく違う色のアプローチで観客を虜にしていく。
“アニサマ”初出場となるスキマスイッチは、インタールードや常田真太郎(Pf.)がピアノで奏でる「ゴールデンタイムラバー」イントロのリフを通じて自分たちの色を会場にじわじわ染み込ませてからのスタート。特にBメロからサビにかけての、爽やかながらもソウルフルで独特の伸びのある大橋卓弥(vo)の歌声も活きる。続く名バラード「ボクノート」は、スピード感あるナンバー続きだった中盤戦での良いアクセントに。客席の青い輝きの海がアニソンファンからの歓迎の証であること、二人には伝わっていただろうか。そしてクラップ&レスポンスで場内を一体にまとめたところで、名曲「全力少年」を披露。アーティストと“アニサマ”の色が、この3曲を通じて対等に混ざり合っていった。
その余韻残るなか『アイドルマスター』第20話の予告映像が流れ、ピアニート公爵の演奏とともに今井麻美が――いや、如月千早がステージに立つ。会場が拍手とともに青く染まるなか彼女は美しく「約束」を独唱していき、大サビ前にはほかの765プロオールスターズのメンバーがゆっくり登場。後奏ではコーラスを合唱する光景、往年の“プロデューサー”にはたまらなさすぎるものだったはずだ。こうして2年前の“アニサマ”での「蒼い鳥」から続くSTORYを回収したところで、続いては爆上がり必至の神曲「キラメキラリ」!二手に分かれてトロッコに乗車した七人のアイドルは、色とりどりの光の海の中から会場中にハッピーを届けていく。
そのまま中村繪里子(天海春香役)が「とーってもカラフルな曲!」と紹介して始まった「Colorful Days (M@STER VERSION 12 Colors)」でも再び距離の近いファンにエールを届けると、前半戦ラスト曲にふさわしい大団円感のあるナンバー「M@STERPIECE」へ。アニメ映像と実際の観客のサイリウムの輝きがリンクすることで、現実と作品が地続きになる。そのなかでアイドルたちは全員、美しく煌めき続けていた。
楽しさから胸に秘めた想いまで、最後まで続く色とりどりのステージ
さて、後半戦のトップバッターを務めたのは岸田教団&THE明星ロケッツ。客席後方の入場ゲートから自らの足でスペシャルステージに辿り着いた彼らは、「ブチ上げて行くぞ!」というichigo(vo)の宣言から「nameless story」でライブスタート。まるでライブハウスでの接近戦のようにオーディエンスに視線を配りながら、会場全体にも響き渡るようなアクトで、ハイスピードでキャッチーさももったロックナンバーをぶつけていく。続く「GATE~それは暁のように~」でも疾走感そのままに、声出しNGがもどかしく感じられるほどの熱いライブを展開。ラストに披露したメジャーデビュー曲「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」でも、最後まで圧を増し続けるライブをみせる。ichigoの歌声もさらにノッていき、メンバーの演奏もかっこよく魅せきったところで、ジャンプエンドで初の“アニサマ”を締め括った。
続くi☆Risは、五人体制になって初めての“アニサマ”。変わらず切れ味抜群のダンスに美しいハーモニーも重ねるなど、確固たる地力をもって“マジック”を軸にしたステージを展開する。まず“マジック=手品”をテーマにした「FANTASTIC ILLUSION」では曲中に大きな箱が登場してのイリュージョンも展開すると、歌唱後その中からスピラ・スピカの幹葉が登場。
しのぶのDJプレイをバックに、i☆Risと幹葉はダンスも交えながら「ウルトラ リラックス」を披露。間奏には「D4DJ」のサンプリングボイスも織り込まれ、七人でとにかく楽しい1曲を作り上げた。そして幹葉と高木がステージから去ると、リーダー・山北早紀の「今だったら究極のマジックができそう」との言葉に続いて、最後に“マジック=魔法”がテーマの「アルティメット☆MAGIC」へ。トロッコに乗車して会場中を巻き込んでいき、そのままステージをあとにした。
ハッピーな余韻残るなか、メインステージには大橋彩香が登場。まず最新アルバムのリード曲でありエールソングでもある「START DASH」を、自身と観客の未来をともに背負うように、パワーとエネルギーに溢れた歌声で会場中へと広げていく。曲明けにはサイリウムの色を黄色に変えるようリクエストし、「にゃんだーわんだーデイズ」へ。頭サビからそのサイリウムが左右に揺れるなか、ダンサブルな曲らしくダンサーを従えて、ダンス・歌声ともにキュートに振った表現で観客を魅了し巻き込んでいく。そして最後はそれとは真逆に、パワフルさとかっこ良さをみせる定番曲「ワガママMIRROR HEART」を歌唱。声はなくとも揺れに揺れるサイリウムの輝きは場内の高まりを、すなわち彼女の出番の成功ぶりを物語っていた。
岡崎体育はまず、“アニサマバンド”のドラムも務め2019年に亡くなった山内“masshoi”優がドラムを叩いた「感情のピクセル」を歌唱し、“Animelo Summer Live 2020 -COLORS- ”出場発表時から公言していた追悼を果たす。また、2サビではスペシャルステージに“ワニさん”が登場。しばしぽつんとメインステージを見つめるが、2サビ明けには観客とともにヘッドバンキングを決め、無事“仲間に入れて”もらえた。また、後半は『ポケットモンスター』主題歌メドレー。彼らしいテクノをベースにしてラップ部も含んだ「ポーズ」を軽快に歌唱すると、ステージ脇のトロッコに勝手に(!)乗車し「キミの冒険」を歌唱しながら爆走。直前に「歌うのむっちゃ好き!だから今めっちゃ楽しい」と感情を爆発させた通りにこの曲も楽しく歌う……が、トロッコは客席後方へと進んで、そのまま退場というオチもつけていった。
その余韻を嵐の映像でかき消し、「Bright Burning Shout」とともにステージに西川貴教が登場。安定感抜群かつパワフルに歌唱し、1サビ明けに“声なき声”を受け止めるかのように両手を広げた姿も実にかっこいい。また、その熱さに爽やかさも伴わせた「Eden through the rough」でも強さとかっこ良さは変わらず、“西川貴教”としての初“アニサマ”で改めて鮮烈な印象を残す。
さらにその後奏は次なる曲のインタールードとなり、ASCAを“召喚”。この二人となればもちろん歌うのは、「天秤-Libra-」だ。ハードでスピード感のあるナンバーで絶妙なハモを重ね合わせつつ、同時にバトルも繰り広げているかのようなこの曲。その歌声の力は場内を圧倒し、ラストまで観る側も思わず体に力の入るような、パワフルなステージを見せてくれた。
そしてDAY1のトリ・藍井エイルが登場。「鼓動」の頭サビとともにサイリウムの色は一斉に青に。そこにパワーをもちながらも涼やかで、スッと広がるような歌声を乗せていくと、そのまま「アトック」へ。冒頭からファルセットも用いるほど音階高く、メロディの並びも含め非常にテクニックを要求する曲だが、それをしっかりと押さえつつ楽曲自体のポイントを着実に表現し聴かせていく。
曲明けのMCでは開催を決断したスタッフや来る決断をした観客、さらには来られなかった人たちへそれぞれ感謝を述べると、感謝と未来への希望を込めて「星が降るユメ」の歌唱へ。来た人・来られなかった人双方に向けてのメッセージとして歌われたようであり、その歌声と言葉は“今”だから特別な刺さり方をする。そして「ラストー!」のシャウトとともにラストナンバー「流星」へ。この曲ではカメラに向けて指鉄砲を作ってサビ直前に撃ったり、落ちサビではレーザーサイトのような無数の赤のレーザーが飛び交ったりと、オープニングを担った『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』になぞらえた演出も交えられていた。
後奏中にこの日の出演者がステージ上に登場してジャンプエンドを決めると、そのまま“アニサマ2021”のテーマソング「なんてカラフルな世界!」の歌唱に。色とりどりのライブTシャツを着た出演者が次々にパートをリレー。今年は花道がなく観客の近くでの挨拶もできないため、下手はけ口のカメラを通じて各アーティストが去り際に思い思いのアピールもみせ、DAY1は無事終幕を迎えた。
レジェンドからニューフェイスまで、実に多彩なアーティストが顔を揃えたDAY1のステージ。残り2日間のステージはどんな特色あるものになっているのか、DAY2、DAY3のレポートもお楽しみに!
TEXT BY 須永兼次
“Animelo Summer Live 2021 -COLORS-”DAY1
2021年8月27日(金)@さいたまスーパーアリーナ
【SET LIST】
M1. 魂のルフラン / 高橋洋子
M2. 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子
M3. Photon Melodies / Photon Maiden
M4. 電乱★カウントダウン / Peaky P-key
M5. ぐるぐるDJ TURN!! / Happy Around!
M6. CYBER CYBER / D4DJ feat. MOTSU
M7. Broken Sky / 富田美憂
M8. COLORS / 富田美憂×大橋彩香
M9. はじめてのかくめい! ~ 人生イージー? / DIALOGUE+
M10. おもいでしりとり / DIALOGUE+
M11. Plastic Smile / 石原夏織 feat. 佐藤純一(fhána)
M12. Against. / 石原夏織
M13. リライズ / スピラ・スピカ
M14. ピラミッド大逆転 / スピラ・スピカ
M15. RESISTER / ASCA
M16. Howling / ASCA
M17. ゴールデンタイムラバー / スキマスイッチ
M18. ボクノート / スキマスイッチ
M19. 全力少年 / スキマスイッチ
M20. 約束 / 765プロオールスターズ feat. ピアニート公爵
M21. キラメキラリ / 765プロオールスターズ feat. 山崎淳
M22. Colorful Days (M@STER VERSION 12 Colors) / 765プロオールスターズ feat. ヒロムーチョ
M23. M@STERPIECE / 765プロオールスターズ feat. ANISAMA BAND
M24. nameless story / 岸田教団&THE明星ロケッツ
M25. GATE~それは暁のように~ / 岸田教団&THE明星ロケッツ
M26. HIGHSCHOOL OF THE DEAD / 岸田教団&THE明星ロケッツ
M27. FANTASTIC ILLUSION / i☆Ris
M28. ウルトラ リラックス / i☆Ris×幹葉 feat. 犬寄しのぶ
M29. アルティメット☆MAGIC / i☆Ris
M30. START DASH / 大橋彩香
M31. にゃんだーわんだーデイズ / 大橋彩香
M32. ワガママMIRROR HEART / 大橋彩香
M33. 感情のピクセル / 岡崎体育
M34. ポーズ / 岡崎体育
M35. キミの冒険 / 岡崎体育
M36. Bright Burning Shout / 西川貴教
M37. Eden through the rough / 西川貴教
M38. 天秤-Libra- / 西川貴教+ASCA
M39. 鼓動 / 藍井エイル
M40. アトック / 藍井エイル
M41. 星が降るユメ / 藍井エイル
M42. 流星 / 藍井エイル
M43. なんてカラフルな世界! / アニサマ2021出演アーティスト
(c)Animelo Summer Live 2021
関連リンク
「Animelo Summer Live 」公式サイト
https://anisama.tv/2021/index.html