2020年の始動以降、DJをテーマにした物語やクラブミュージックマナーのクオリティの高い楽曲を展開しているメディアミックスプロジェクト「電音部」。3月19日に、プロジェクトの最新ライブ“電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-”がパシフィコ横浜・国立大ホールで開催された。
今回、2部制で行なわれたうちの第2部「神無月の部」をレポートする。

「電音部」ではプロジェクト開始当初から、アキバエリアの外神田文芸高校、ハラジュクエリアの神宮前参道學園、アザブエリアの港白金女学院、シブヤエリアの帝音国際学院からなる4エリアに3人組のユニットが設けられており、彼女たちの物語が展開されている。各エリアの楽曲は複数のトラックメイカーが制作しており、キャストやDJ/トラックメイカーがチームとなって各エリアの魅力を追求していく雰囲気が特徴的だ。今回のライブでは4エリアのキャラクターたちの声を担当するキャスト陣に加えて、エリアごとに専属のコレオグラファー&ダンサーが参加。4エリアそれぞれの個性を伝える一夜となった。

まずは会場にサイレンが鳴り響き、各学校のメンバーが次々に紹介されてライブがスタート。序盤はエリアごとに衣装やダンスが異なるダンサーたちによるダンスパート「DANCE SHOWCASE」も加えた、4エリアそれぞれのライブパフォーマンスが進んでいく。

最初に登場したのは、シブヤエリアの帝音国際学院。彼女たちは、瀬戸海月役のシスター・クレアの「ペトリコールを渡って (Prod. Aiobahn)」、大賀ルキア役の星川サラによる「NANAIRO STAGE (Prod. YUC’e)」、鳳凰火凛役の健屋花那による「CHAMPION GIRL」をパフォーマンス。メンバーを取り囲むようにして6人の男性ダンサーも登場し、間奏で「ヘイ! ヘイ!」と観客を煽ったり、“さあ湧きな Jumpin’ up!”という歌詞で指を掲げたりするなど、絶対王者感のあるステージで盛り上げる。途中「DANCE SHOWCASE」を経て、3人の楽曲「In my world (Prod. KOTONOHOUSE)」へ。まばゆいミラーボールを浴びながら早速会場を盛り上げていった。


一方、アザブエリアは、“ミラーボール”という歌詞に対応して天井のミラーボールが回る白金 煌役の小宮有紗による「MUSIC IS MAGIC」や、“アタシみたく楽しくなりたきゃ 飛び跳ねろ”と伝えてドロップに突入した黒鉄たま役の秋奈による「いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)」といったメンバーのソロ曲を披露。

シブヤエリアとは異なるシックな衣装を着た4人の女性ダンサーたちも登場し、「DANCE SHOWCASE」を経て、再び小宮有紗による「No More (feat.Rheason Love & Tomoyuki Hirakawa)」と秋奈による「Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)」で盛り上げた。

アキバエリアは、「あああ~~どうしよう……神無月の部、すごく緊張するよ~!」と元の台詞を改変した冒頭や、「言いたいことがあるんだよ!」というガチ恋口上パートが楽しい茅野ふたば役の堀越せなによる「アイドル Break All (feat. IOSYS)」、東雲和音役の天音みほによる「トアルトワ (feat. TAKU INOUE)」、日高零奈役の蔀 祐佳による「しあわせの魔法 (feat. Jun Kuroda)」を次々に披露。

制服のようなコスチュームを着た女性ダンサー4人による「DANCE SHOWCASE」を経て、最後は3人で「pop enemy (feat. Shinpei Nasuno)」を披露してさらに熱気が増していった。

ハラジュクエリアは、神宮前参道學園という校名になぞらえた原色を生かしたカラフルな照明や鳥居をバックに犬吠埼紫杏役の長谷川玲奈による「Eat Sleep Dance (feat. Moe Shop)」、水上 雛役の大森日雅による「ミルキータイムライン (Prod. Nor)」、桜乃美々兎役の小坂井祐莉絵による「Princess Memeism (Prod. Snail’s House)」を披露。

ーリーな4人の女性ダンサーとともにカラフルでポップ、なおかつ奇抜で毒のあるこのエリアらしい魅力を全開にして見せつける。そして、「DANCE SHOWCASE」を経て、最後は3人で1st LIVEで初披露された衝撃的な楽曲「Distortion (feat. Yunomi)」を披露した。

ここでスクリーンに「Final BREAK DOWN ALL AREA STAGE」と表示されると、最後は全エリアのメンバーが登場するライブのクライマックスへ。シブヤエリアの健屋による「Beat Me! (feat. kamome sano)」やシスター・クレアによる「月読のダンス (Prod. takashima)」、アキバエリアの天音による「Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)」、アザブエリアの秋奈による「MIDNIGHT TOWN (Prod. AmamiyaMaako)」、ハラジュクエリアの蔀による「夜明けのアンセム (Prod. 雄之助)」といったソロ曲のリレーが始まり、4つのエリアに次々と焦点が当たるDJバトルのようなパフォーマンスが続いていった。

ラストは4エリアのダンサーが集結した「DANCE SHOWCASE」を経て、ハラジュクエリアの「Hyper Bass (feat. Yunomi)」、シブヤエリアの「Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)」、秋奈と小宮の2人でパフォーマンスした「Where Is The Love (feat. Shogo&早川博隆)(白金煌&黒鉄たま ver)、アキバエリアの「Blank Paper (Prod. TEMPLIME)」というエリアごとの全体曲を次々に披露。キャスト陣が全員ステージに登場してMCで1人ずつこの日のライブの感想を観客に伝え、「ありがとうございました!」とステージを終えた。

……ように見えたのだが、ここで突如ノイズが鳴り響き、暗転すると狐のお面を被った謎の覆面ダンサーたちが登場。
「電音部」の第2部のスタートともに新エリア「カブキエリア」が追加されることが発表される。続いて、桜乃美々兎役の小坂井が現われると、彼女のソロ曲「「Do You Even DJ?」の別バージョンで、闇落ちした美々兎の心を表現するような「Do You Even DJ? 2nd (feat. Neko Hacker)」を初披露。ステージ上で感情が壊れていく様を見ているかのような圧巻の歌唱を経て、彼女が失意のなか舞台を去ってライブが終了。衝撃の展開に観客が呆気にとられるなか、第2部への期待を煽るような形ですべての公演を終えた。

4月4日から始まった第2部では、無料で楽しめるWEBノベルにて「カブキエリア」が登場する物語がスタートし、「電音部」は新たな展開を迎えている。音楽を中心にして様々なカルチャー/物語を繋ぐこのプロジェクトならではの方法で、“音楽”と“人”と“物語”を紡いでいくような雰囲気が印象的なライブだった。

TEXT BY 杉山 仁

●電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-
会場 :パシフィコ横浜 国立大ホール
開催日時:2022年 3月 19 日(
土)

<神無月の部セットリスト>

1.ペトリコールを渡って(Prod. Aiobahn)
2.NANAIRO STAGE (Prod. YUC’e)
3.CHAMPION GIRL
4.DANCE SHOWCASE
5.In my world (Prod. KOTONOHOUSE)
6.MUSIC IS MAGIC
7.いただきバベル(Prod. ケンモチヒデフミ)
8.DANCE SHOWCASE
9.No More (feat.Rheason Love & Tomoyuki Hirakawa)
10.Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)
11.アイドルBreak All (feat. IOSYS)
12.トアルトワ(feat. TAKU INOUE)
13.しあわせの魔法(feat. Jun Kuroda)
14.DANCE SHOWCASE
15.pop enemy (feat. Shinpei Nasuno)
16.Eat Sleep Dance (feat. Moe Shop)
17.ミルキータイムライン(Prod. Nor)
18.Princess Memeism (Prod. Snail’s House)
19.DANCE SHOWCASE
20.Distortion (feat. Yunomi)
21.Beat Me! (feat. kamome sano)
22.Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)
23.MIDNIGHT TOWN (Prod. AmamiyaMaako)
24.夜明けのアンセム(Prod. 雄之助)
25.月読のダンス(Prod. takashima)
26.DANCE SHOWCASE
27.Hyper Bass (feat. Yunomi)
28.Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)
29.Where Is The Love (feat. Shogo&早川博隆)白金煌&黒鉄たまver
30.Blank Paper (Prod. TEMPLIME)
31.DANCE SHOWCASE
32.Do You Even DJ? 2nd (feat. Neko Hacker)

関連リンク
電音部 公式サイト
https://denonbu.jp/

電音部 公式Twitter
https://twitter.com/denonbu
編集部おすすめ