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「木村拓哉っていう俳優さんは、浅草の軽演技の芝居の仕方を知っているね」
と、欽ちゃん(萩本欽一)が言う。
「え、どういうことですか」
「それから、こないだのコントの番組、あれ準優勝したほう。あの二人も、最近の若い笑いにしちゃ、動きがわかってる」
『キングオブコント2014』に出た「チョコレートプラネット」のことである。
ずーっと大将(萩本欽一)の話を聞いている。通算で17時間にはなるだろう。突然言い出したこの発言の真意を聞いておかねばならない。
「キムタクと、浅草の軽演技は、何が関係があるんですか」
「木村くんはね、彼のドラマの演技を見てても、僕、恥ずかしくならない。僕はあんまりドラマ観ないけれど、たいていのドラマで、役者さんがセリフを言ってるところを見ると恥ずかしくなっちゃう」
「意味がわかりません」
「うん、恥ずかしいのはセリフとね、感情を表す動きが一緒なの。これは幼稚園のお遊戯会」
見ててごらん、と言って大将が立ち上がってがお遊戯をする。これが幼稚園生。
「♫うーさぎ、うさぎ、なに見て跳ねる、十五夜お月さん見て跳ねる」
「踊りの動き(つまり芝居)と歌詞(つまりセリフ)が同時だ。これじゃ大人の芝居にならない、浅草の笑いならば、歌詞と踊りをずらす。もう一回踊ってみるよ」
大将が、ずらしを入れて踊る。
「♫うーさぎ、うさぎ、なに見て跳ねる、十五夜お月さん見て跳ねる」...続きを読む