海外を含め県内外から約100組の出演者が集まる入場無料の野外音楽フェスティバル「OODLAND3(オッドランドスリー)」(主催・DIY実行委員会)が11、12の両日、沖縄市の八重島公園で開催された。野球場グラウンドの約5倍に相当する広大な敷地に、4カ所のバンドステージのほか、DJステージなどを設置。
誰でもステージに飛び入り参加できるフリーステージもあり、出演者も来場者も自主性をもって一つの空間をつくり上げた。「誰もが対等であること」という理念を柱に据えた異色のフェスとは――。

ステージの一つ「HORNS ZONE」で観客を盛り上げるトリックスターグーニーズ=12日、沖縄市の八重島公園

誰でもアクセスできる“精神的インフラ”
 ODDLAND(オッドランド)は初回が2015年、2回目が16年に開催され、3回目となる今回は10年ぶり。入場無料とすることで音楽や芸術が誰にとってもアクセス可能な“精神的インフラ”であることを担保し、さまざまな人の共有地である公園で開催することで、このイベント自体が「開かれた自由」なものだという意味も付与した。
 4カ所のステージはそれぞれ「WALLOW HOLLOW」「BIZARRE BAZAAR」「HORNS ZONE」「STRANGE FRINGE」と名付けられ、順繰りにバンドやミュージシャンらが熱気あるパフォーマンスを披露した。

木々の下というロケーションが印象的なステージ「WALLOW HOLLOW」でパフォーマンスする東京のパンクバンド「Fewww」=12日、沖縄市の八重島公園
斜面を活用したステージが印象的な「STRANGE FRINGE」。演奏しているのはバンド「Texas 3000」=12日、沖縄市の八重島公園
カラフルなステージ「BIZARRE BAZAAR」で演奏するFUNNY NOISE=12日、沖縄市の八重島公園

 自然発生的に軽トラステージも登場。「Music & Art change this world!!(音楽と芸術はこの世界を変える!)」とのメッセージを掲げながらパンク音楽を鳴らし、イベントの意志を象徴する場面にもなった。フードや物販なども多く出店し、会場をにぎわせた。

軽トラステージで演奏する参加者=12日、沖縄市の八重島公園(提供)

誰もがフラットに交わり、違いを尊重し合える空間
 「ODDLAND3」がいわゆる一般的な音楽フェスと決定的に違うのが、DIY精神≒自分でできることは自分でやる、という精神に基づいていることだ。音楽シーンにおいては、特にパンクミュージックの文脈で、自分たちで曲を作り、レコーディングし、流通するというスタイルを堅持し、商業面での制約を受けずに独立独歩の姿勢を貫くという哲学がある。
 同フェスも同様に、大手スポンサーからの支援や行政からの補助金などを受けず、「一人ひとりが小さな力を持ち寄る」形で、会場作りから装飾、広報活動などを手掛けて実現させた。
また、抑圧や不平等に対して異議を唱える音楽の総称「レベルミュージック」のカルチャーを一つの軸に据えている点も特筆すべきポイントだ。
 開催の準備は約3か月前から進めていた。今回の運営において中心的な役割を果たした一人、バンド「ALKASIlKA」のボーカルUは、2024、25年と、沖縄市の空港通りを使った無料イベント「AFTER LAND」も企画運営している。Uは「AFTER LANDでは『反戦』『反差別』を直接的に言葉で掲げていますが、今回のODDLAND3では、理想の空間を作ることで『優しい社会』を感覚として感じ取ってもらいたいとの思いがありました」と振り返る。

ALKASIlKAのボーカル・U=2025年12月、沖縄市内(ダイタク撮影)

 「誰もが対等であること」をイベントの柱としたことについて「いろんな人が来るからこそ、いろんな考え方がある」と話す。“誰もがフラットに交わり、違いを尊重し合える空間”を用意したという。
使った道具は地域の共有資産として還元
 「『与えられる』フェスではなく、『一緒につくる』フェス」をコンセプトの一つに据えた「ODDLAND3」。協賛で得た支援を活用し、イベント当日の終了後も地元に残る“共有資産”を残すことで、表現活動の土壌とも言える地域社会への貢献もしてみせた。
 ステージ周りなどで使用した電源コードや照明、テントなどは、表現活動を行う人々が共有できるように保管する。電飾関係の物品は、会場近くの沖縄市・中央パークアベニューへ寄贈され、夜の商店街を「安心して、楽しい気持ちで歩ける場所」にするための「電飾プロジェクト」に活用されるという。
 Uは「音楽やアートのイベントをすることで、街や地域がちょっとだけ良くなるということが起これば一番良いなと思っています」と語る。「ODDLAND」の今後については「属人性に頼らない作り方をしていって、どんどん世代交代をしていきたいです」と考えを示しつつ「本当は自分が何も気にせずただ一番遊びたいだけなんですけどね(笑)」と照れたように話した。
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「誰もが対等」掲げる異色の無料音楽フェスODDLAND 沖縄市で10年ぶり開催 みんなでつくる“優しい社会”の実践
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「誰もが対等」掲げる異色の無料音楽フェスODDLAND 沖縄市で10年ぶり開催 みんなでつくる“優しい社会”の実践
軽トラステージで演奏する参加者=12日、沖縄市の八重島公園(提供)">
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ALKASIlKAのボーカル・U=2025年12月、沖縄市内(ダイタク撮影)">
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