体験型イベント「ワンダーファームでワン!だふる 情熱ペット防災 in いわき」が、福島県いわき市・ワンダーファームで5月5日に開催された。ペット防災・食・心のケアをテーマに、災害時のペット同行避難への対応や防災意識の向上につなげる催し。
盲導犬や災害救助犬の活動を実体験するほか、地震発生を想定した愛犬との避難が体感できる防災ドッグレース、救命体験、地域マルシェなども実施。予期せぬ困難に立ち向かう生き抜く力を育むイベントの模様を、情熱クラブの象徴とも言える“Mr.都市伝説”こと関暁夫のコメント・理念を交えながらお届けする。

■情熱クラブが掲げる「命をつなぐ」使命

 イベントは、情熱クラブ一般社団法人が主催。情熱クラブは、関の「災害やテロなどの有事に見舞われた際、世の中のため自分たちができることを考えて行動していきたい。子供たちの未来、日本の未来のために活動する」という思いのもと、共鳴した有志が集まり2023年12月に設立された。

 関は同クラブの活動意義について、「東日本大震災から15年が経ち、震災を体感しなかった世代もたくさんいる中、命をつなげるという大切なものをつなげていかなければならない。真の意味での復興に向けて頑張っている地域の方々の熱い思いとか、日本全体で応援し合える、支え合える環境を作っていかなければいけない」と口にする。

 その思いは今を生きる大人たちにとどまらず、未来を支える子供たちにも向けられ、「幼少の頃からの防災意識を育てることが、未来の日本の国づくりにもつながっていく」と語る。

 「今は自然災害だけではなく社会情勢も荒れている。さまざまな形のテロも起き得る時代に、被害を減災させる活動をしていく。AEDなどの心肺蘇生に関するものも、大人は自分の家族や子供たちのために、さらに地域のためにも使い方を理解しなければ、とっさのときに使えない。自然災害が増えつつある昨今、一人ひとりが防災意識を高めていっていただきたい」

 高い志のもとで行われる活動について「いろいろな地域で清掃なども含め、一年を通して多くの地域活動を行っています。
今回のような防災フェスも年に7、8回はやっていますが、一回一回に学びがあって、また人と触れ合う出会いもあります」と感謝を込めて話す。

■地域と手を取り合う 二次被害を防ぐためのペット防災の核心

 快晴に恵まれたこの日、オープンから多くの犬と飼い主が来場。オープニングから盛況の中、イベントを後援するいわき市からは山田誠 副市長が来場し、関と共に出展ブースを訪問する姿が見られた。

 情熱クラブが主催する防災を軸にしたイベントは、これまでも2025年6月の北海道札幌市における「スポーツ・防災フェス in 北海道」、同年11月の東京都新宿区での「新宿歌舞伎町防災・防犯フェス」などが実施されてきた。毎回、付随するテーマや開催地が異なっている理由について、静かながらも熱い思いを乗せた言葉を聞けた。

 「情熱クラブというプラットフォームを立ち上げたら、テレビの力のおかげもあり全国で応援してくれる人たちが集まりました。それに対して各地域で一緒に防災活動や子どもたちの教育の活動につながることをやっていこうと思い、全国にわたってイベントをやっています」

 今回のテーマがペット防災になった経緯は何なのだろうか。関の口からは、災害時にペットを思うがあまりの二次被害への懸念が語られた。

 「震災時、きっと助かったであろう命だったにもかかわらず、ペットと共に避難所に入れないため自宅避難したり、車中で余儀なく避難生活をしたりで二次被害に遭われた方もいるのでは。飼い主にとってペットは家族。大事な災害備蓄も全てのペットに必要です。いろいろな企業がこうした取り組みを社会に出していってもらいたい」と訴えた。


■エンタメと学びが融合した多彩な出展ブース

 会場内には防災を体感できるスペースやふれあい動物園、ドッグショー会場、キッチンカーエリアにワークショップ、防災にまつわる展示など、あらゆる角度からのブースが設置された。シールラリーも行われており、防災に対する啓蒙を、エンターテインメントの面からも来場者を楽しませていた。

 多彩な出展ブースの選定基準に関して、関は地元の協力への謝辞を述べた。

 「福島県いわき市で開催ということで、いわき市の方々にまずはお声がけさせていただきました。皆さん災害意識が高い人たちばかりで、SNSの方でも応援してくださって。一人ひとりの重なり、つながりの上でイベントも開催できました。感謝しております」

 出展ブースで特に目についたのは防災ブース。ペット防災がテーマとあって、特に飼われていることも多い犬に関する防災グッズが多数展示されており、なかでも散歩中に地震などの災害に遭った際に持っておくと便利なペット防災ボトルや、実際の犬猫の重さを再現したぬいぐるみを入れたゲージを使った同行避難の体験ができるブースもあり、ペットを含めた自助を考えるきっかけを与えてくれた。

 またキッチンカー・フードエリアでは、いわき市内で活動する店のほか、関と高橋商店の「やすまるだし」がコラボした「だしカレー」を提供するキッチンカーも出店しており、防災のみならず食育に力を入れている情熱クラブ主催のイベントならではの光景も見かけられた。

■愛犬との絆が試された防災ドッグレース 優勝者は大切な気づきも

 本イベントの醍醐味は、キャッチフレーズである「体感型」の通り、ペット防災に関する体験をできること。防災ドッグレース、盲導犬・レスキュー犬・セラピードッグの各ドッグショーが開催され、どの催しも熱心な来場者が大勢集まり、ペット防災への意識改革に一役買っていた。

 防災ドッグレースは、災害が発生した際に愛犬と一緒に動けるかをテーマにした「同行避難」を体感するレース。
災害時の瓦礫に見立てた障害物、トンネル、犬に「待て」を要するタイミング、そして飼い主が犬を持ち運ぶ準備と、災害時に必要とされる行動が詰まっていた。参加者のみならず見学しているドッグオーナーたちも、誰しもが自分事として捉えて熱狂していた。

 なかでも注目はレース最後の難関である、FAV Reactive株式会社による犬を抱えるためのグッズ「キャリーオン」の装着、活用だ。災害時には犬をキャリーリュックに入れることが多いが、キャリーオンは胸側で支える設計で安心と安定を両立。しかも犬の体にフィットする設計で犬の負担にもならないのが大きな特徴となっている。

 第一戦から白熱の戦いを繰り広げる中、優勝したのはジャックラッセルテリアの輝華(テルカ)ちゃん(2歳・雌)。飼い主の女性は同レースに参加した感想を、「緊張したけど災害に向けて良い経験ができた」と喜びと共に語り、まさにイベント趣旨に則った場面と言えよう。

 続く盲導犬のドッグショーは、訓練の模様に関して実地を交えて披露。その後、アイマスクをして実際に盲導犬に誘導してもらう体感イベントが行われ、関も参加した。関が盲導犬に導かれて歩いていく様子には、場内から大きな拍手が。盲導犬と歩いた感触を関は、「自分が引っ張られているわけでもなく引っ張っているわけでもない。同じ心であり足であり胴であり、ある意味、手綱というのかな。
手綱を持った瞬間にシンクロするから、重さも何も感じない。ただ自分で歩いている感じがするだけ。それなのに、実際は歩かされているという不思議な感覚になる」と驚きながら話した。

 さらにショーの最中、訓練士による盲導犬の育成に関する国の補助はゼロという発言に対し、関は「どんな形でも障害を持たれている方のために人知を尽くしている方々に支援をしていかないとダメだなと思います。まず、それを知らない人たちの心を向かせることですよね」と力を込めていた。

 レスキュー犬のドッグショーでは、災害に遭ったという想定で3つの箱のうちの一つに人間が隠れ、当てられるかをデモンストレーション。観客が注目する中、見事に的中させ大きな拍手を浴びていた。さらにセラピードッグのドッグショーは、実際に触れあうことで心の安定や癒やしを得られるという、犬愛好家にはたまらない催しだった。

 その後はFAV Reactive株式会社が参加したキャリーオンの実体験を交えながらのペット防災トークが展開された。関もキャリーオンを実際に体験し、その機能性と安全性の高さに大喜びしていた。

■関暁夫、防災活動の原動力は“恩返し” 見据える未来予想図とは

 イベント中も精力的に来場者へ声かけを行う関に、ファンサービスの合間を縫ってインタビューを敢行。防災というカテゴリーで活動されている理由を、関は「都市伝説は危機管理能力というアンテナの感度を高めて楽しむ。
世間ではこう言うけど本当はこうじゃないかという観点で、いろんな情報を吸収して楽しむもの。でも実はそういうところに正解があったりもする」と警鐘を慣らしつつ、少し照れたような雰囲気で恩返しの気持ちが込められた言葉を紡いだ。

 「『やりすぎ都市伝説』で富士山噴火に対するロケをさせてもらったことがあり、専門学者さんたちから南海トラフ巨大地震の恐れがある情報を聞いた。伝える義務を感じつつも、テレビのバラエティ番組としてまことしやかには言われているという表現をさせていただきましたが、実際には権威ある方々から話を聞いています。観ている方に気づいていただくにはいろいろ活動し、一人一人と向き合わないと危機に気づいてくれていないと感じた。応援してくれている方々も家族を築いている方も多く、少しでもご縁があるなら伝えていかなきゃいけないと思いました」

 防災に力を入れた情熱クラブの活動において、Mr.都市伝説の肩書きが役立ったことはあるのだろうか。関は、「多くの人たちがMr.都市伝説という名前をきっかけに関に興味を持ってくれました」と感謝を語る。

 「皆さんが関に興味を持ってくれて、次に何に興味を持っているのかというところで、防災・防犯へとつなげていく。応援してくれている方々が、家族を守るために何をすべきなのかを考える。今はテレビだけじゃなくインターネットなども通して、人と人が重なり合うコミュニケーションが一番大事だと思います」

 情熱クラブとしての活動を継続できる原動力について、関は「子供たちの未来」と言い切る。

 「新しい道を作っていく。それが日本の未来にもつながる。
防災を通して触れ合える方々と一緒に未来を作っていっている。だから面白い」

 誰よりも人や動物に興味を持つ関。「生きているからこそ、いろいろな選択肢に気づく。その気づいた選択肢の一個一個に学びがあり、感謝がある。そういうところで共に人間成長につながるものがあふれています。人間も動物も雲も森も木も太陽も、すべて自分の人生にある誇れるものですからね。愛があっていい」と語る。

■関暁夫にとって、いちばんの防災は?と問いかけると――答えは「愛」

 「現代社会は愛が欠損している。自分だけを守ろうとする利己的な愛はあるかもしれないけど、利他的な愛がないと社会は成り立たない。家族にできる愛は社会にもできるはずだし、自分にできる愛は他人にもできるはず。利他的な愛が今の社会には必要だと思います。現代人は心の貧困さがゆえに争いを招いていますからね。今一度、人災とされるものを防ぐためにも、愛を持って生きていってもらいたい」

 今後の防災活動に対する展望では「強い国に。世界情勢が荒れていて、いろんな角度で不信感も湧いてきている。自分が国のために何ができるのかをまず考える。まずそこから。上杉鷹山の言葉に「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」とありますが、国民が団結して世界に誇る日本になるためには、強い精神性を持たないとダメ」と熱い持論を述べた関。言葉こそ強めだが、「いろいろな入り口はあっていい。みんなと出会える環境を自分から作るのもいいし、気軽に呼んでいただいても大丈夫です。外に出ることは楽しい」と柔和な表情もみせる。そんな関の防災に関する活動への情熱を、是非とも浴びてみてほしい。(取材・文:遠藤政樹)
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