公開中の映画『箱の中の羊』より、綾瀬はるかと大悟(千鳥)が演じる夫婦の心の揺らぎが見られる本編映像が公開された。是枝裕和監督は、大悟の演技によって「脚本にはなかった感情が見えてきた」と振り返っている。

 本作は、是枝監督のオリジナル脚本作品。“少し先の未来”を舞台に、亡くした息子と同じ姿をしたヒューマノイドを迎え入れた夫婦の姿を描く。

 綾瀬が演じるのは建築家の甲本音々(こうもと・おとね)、大悟が演じるのは工務店を営む夫・健介(けんすけ)。止まっていた家族の時間が再び動き始める中で、新たな“家族のかたち”と向き合っていく。

 今回解禁された映像は、音々と健介が亡き息子・翔との思い出の写真や動画を見返す場面。ヒューマノイドの翔を迎える準備を楽しそうに進める音々とは対照的に、健介はどこか戸惑いを隠せない様子。

 タブレットの中で弾けるように笑う妻の姿を、健介は拡大しながらじっと見つめる。さらに、音々が翔の服を準備しながら、「高かったんだよねぇ、これ」と無邪気に話すシーンへと続いていく。何気ないシーンだが、是枝監督はこの瞬間に大悟ならではの表現が生まれたと明かす。

 「脚本上は、文字通り2人で写真を選んでいるだけなんです。その後、音々が翔を亡くした後も服を買っていることに健介が気づいて、ヒューマノイドを受け入れようと思う、そういう場面なんだけど、動画を見ている大悟さんは、すごく悲しそうな顔をしているわけじゃないのに、『あ、家からこの笑顔が失われているんだ』というのが伝わってきた。脚本には書いてない、もう1つの大きく眠っていた感情が見えてきて、これは良いと思った」

 その演技を受けて、是枝監督は現場で演出を変更。タブレットに映る音々の姿を健介が拡大して見つめる動きを加えたことで、作品の重要なシーンへと発展したという。

 大悟自身は撮影について、「『大悟さんのしゃべりやすいように』と言われて、撮る直前に監督が少し言葉を足したり調整したりするくらいで、そのままどうぞみたいな感じでした。だから不思議なくらい、やった手応えがないというか(笑)」と振り返る。

 さらに、「そもそも健介は自分とあんまりかけ離れてないんですよね。僕らがよく知っている日本の親父というイメージ。うちの親父も健介と同じように職人なんです」と役柄への共感を語っている。

 本作が初の映画主演、さらに是枝組へ初参加した大悟。公開直前にフランスで開催された「第79回カンヌ国際映画祭」では、レッドカーペットで綾瀬をエスコートする姿も大きな話題となった。

 映画公開後は「大悟の演技が自然すぎて、何度も涙が」「千鳥の大悟さんを大悟さんのままで役柄に落とし込むことで絶妙なバランスで成立させている」「本作で役者・大悟が爆誕したのは確実に是枝監督のお手柄だと思う」といった鑑賞コメントが続出。お笑い芸人としてのイメージを鮮やかに裏切る、俳優・大悟の新境地にも注目が集まっている。

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