※本稿は、牧田善二『腎臓 人工透析にさせない最強の医療・食べ方』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
■中高年のプロテイン摂取は危険
すでに腎臓病がある人は、タンパク質の摂取を一日60グラム以下くらいに制限されます。タンパク質を分解する過程で生じる尿素が増えれば、それを濾過する腎臓の負担も大きくなるからです。
腎臓病がない人は、肉も魚も普通に食べて構いませんが、あえて粉末や液体の「プロテイン」を摂ることはやめましょう。
食が細くなってきた高齢者や、ジムで体を鍛えている人などを対象に、最近はプロテインの摂取がすすめられています。肌や毛髪などを美しく保ったり、骨を丈夫にしたりするためにも、プロテインが効果的だと思い込んでいる人もいます。
しかし、それによって腎臓を悪くするケースが多々あるのです。
粉末や液体のプロテインは、肉や魚などの食品よりもはるかに高濃度のタンパク質を含んでいます。ただでさえ、加齢で腎機能が落ちているのに、中高年からのさらなるプロテイン摂取は腎臓に負荷をかけ、とても危険です。
プロテインを「よいもの」として捉えている人たちは、「健康維持のためにタンパク質を積極的に摂らねばならない」と考えています。
私たちの体内では、絶えずタンパク質が新しくつくり替えられているため、「タンパク質が足りなくなったら大変だ」と心配しているのでしょう。
でも、菜食主義者が健康を保っているのを見ればわかるように、タンパク質が足りなくなることはありません。
野菜にもタンパク質は含まれています。肉や魚などを完全に遠ざけるのもいけませんが、要はバランスです。無理に頑張って摂取する必要はないのです。
■高濃度のプロテイン摂取が不要な理由
というのも、私たちの体には「アミノ酸プール」という優れた仕組みがあるからです。プールという名のとおり、そこには一定量のアミノ酸がストックされています。
このプールには、次の3つの生成経路によって、いつでも一定量のアミノ酸が保たれています。
1 筋肉など体のタンパク質が分解される
2 食事などで摂ったタンパク質が分解される
3 体の中でつくられる
私たちの体のタンパク質は、分解されてアミノ酸となり、そのアミノ酸からまたタンパク質をつくるという形で再利用されます(1)。
さらに、食事で摂ったタンパク質もあるし(2)、自分でつくりだすこともできます(3)。
つまり、十分すぎるほどのアミノ酸があるわけです。それにもかかわらず、高濃度のプロテインを摂れば、体内で分解されてどんどんアミノ酸がつくられます。
プールから溢れ出る過剰なアミノ酸は、分解されて尿素などの老害物を多量に生成します。そうなればそれを濾過する腎臓が疲れきってしまうことは、容易に想像がつきます。
実際に、私のクリニックで定期的に行なっている検査で、尿アルブミン値がいきなり高くなった女性の患者さんがいました。詳しく話を聞くと、健康のためにと通い始めたスポーツクラブですすめられたプロテインを飲んでいることがわかりました。
そのプロテインをすぐにやめてもらうことで、尿アルブミン値も正常化しましたが、定期的に検査を受けていなければわからなかったでしょう。
■それでも摂りたいなら……
タンパク質を摂りすぎると過剰濾過が生じて腎臓を悪くするということは、すでに1982年に、アメリカの著名な腎臓病専門医のブレンナー教授によって示唆されています。医学的に揺るぎない事実なのです。
腎臓病は気づかないうちに進行します。「自分は健康だ」と思っているうちに進行します。だから、現在どれだけ健康な人でも、高濃度のプロテインなどは摂らないほうがいいと、私は考えています。
どうしても摂りたいというなら、先の記事でお伝えした尿アルブミンとeGFRを3~6カ月ごとに検査し、異常値が出たらすぐにやめるようにしてください。
■塩分を欧米人並みに減らす
腎臓は、体液中の塩分濃度の調節も行なっています。塩分を摂りすぎると、腎臓は体内の水分を増やすことで塩分濃度を保とうと努めます。そして、体内の水分が増えれば、血管内の水分量も増え、血圧が上がります。
高血圧が腎臓病の大きなリスクであることは、繰り返し述べてきたとおりです。つまり、塩分の過剰摂取は、腎臓の仕事を増やして疲弊させ、かつ血圧を上げるというダブルパンチで腎臓を悪くします。
世界で行なわれたいくつかの研究から、一日の塩分摂取量が3グラム以下の人に高血圧はまれで、6グラムを超えると高血圧のリスクが増すことがわかっています。
また、4週間以上にわたって一日3グラム以下に塩分制限すると、血圧が3.6~5.6低下するという研究結果も報告されています。
さらに、高血圧があっても、30カ月にわたって一日5.2グラムまでの塩分摂取量に抑えたところ、4割の患者さんが降圧剤をやめることができたという報告もあります。
こうしたことから、高血圧を予防して腎臓を守るには、塩分摂取量を一日5グラム未満にすることが望ましいといえます。一日5グラム未満というのは、WHO(世界保健機関)が推奨する基準でもあります。
■世界基準は日本の平均値の半分以下
ところが、日本人の一日の塩分摂取量はこれよりはるかに多く、男性で平均10.7グラム、女性で9.1グラムも摂っています(厚生労働省「国民健康・栄養調査」2023年)。しかも、これは平均値ですから、もっとたくさん摂っている人がいるわけです。
ちなみに、男性が女性より塩分摂取量が多いのは、男性が濃い味を好むからではありません。単純に、女性より食べる量が多いから、そこに含まれる塩分も多いのです。だから、性別や年齢を問わず、食事の量が多い人は、なおさら薄味を心がける必要があります。
薄味の料理ではどうしても物足りない人は、「エレキソルトスプーン」(微弱な電気によって塩味・うま味を強く感じさせる減塩サポート食器)を使ってみるのもいいでしょう。
■魔法のようなレモンや酢をうまく使う
高温調理した揚げ物は老化促進物質であるAGEをたくさん含んでおり、あまり頻繁に食べないほうがいいのですが、唐揚げもとんかつも美味しいですよね。
こうしたものを食べるときに、レモン汁や酢をかけると、AGEの量が減ることがわかっています。飲食店で揚げ物を注文すると、カットされたレモンが添えられていることがあります。あれは、しっかり絞りかけて食べるのが正解です。
中華料理店のテーブルにはたいてい、醬油やからしと一緒に酢が置いてあります。中華料理は炒め物など、高温で調理されるケースが多いので、積極的に酢をかけて食べるといいでしょう。
そして自宅で料理するときは、仕上げにかけるのではなく、事前にレモン汁や酢をかけてから加熱調理すると、AGEが半分くらいに減少します。
■外食より自炊が安心
なお、こうした自由が利くという理由だけでなく、やはり、外食よりも家で調理したほうが安心です。外食は、ひと口目で「美味しい」と感じさせるインパクトを重視するため、どうしても味が濃くなっています。当然、塩分量も多く、血圧を上げます。
また、腎臓の負担を増やす怪しい添加物が、どれほど入っているかもわかりません。
できれば自宅で、自分の目で確認できる素材を調理し、レモン汁や酢を上手に使いながらAGE対策をしていきましょう。
----------
牧田 善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長
1979年、北海道大学医学部卒業。地域医療に従事した後、ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、「The New England Journal of Medicine」「Science」「THE LANCET」等のトップジャーナルにAGEに関する論文を筆頭著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師、2000年より久留米大学医学部教授を歴任。
2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業。世界アンチエイジング学会に所属し、エイジングケアやダイエットの分野でも活躍、これまでに延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)、『糖質オフのやせる作おき』(新星出版社)、『糖尿病専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『日本人の9割が誤解している糖質制限』(ベスト新書)、『人間ドックの9割は間違い』(幻冬舎新書)他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。
----------
(AGE牧田クリニック院長 牧田 善二)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
