■実家にあったら即確保したい貨幣
今注目すべき日本の貨幣があるのをご存じでしょうか。実はこれらの貨幣はじわじわと価格が上昇してきており、状態次第では額面価格の100倍どころか780倍や1000倍以上になるケースも存在するのです。
そんなのうちにあるわけない。多くの方がそう思われるかもしれません。しかしながら、状態はさておき、実家や祖父母のご自宅であれば1枚は保有されている方も多くいるかもしれないという貨幣なのです。
いったいどのような貨幣が大化けしているのか。本稿では、注目すべき日本の貨幣のうち「銀貨」に注目して解説していきたいと思います。
■1964年発行、日本初の記念硬貨
日本で最初の記念硬貨が、1964年の東京オリンピックを記念した千円銀貨と百円銀貨です。「実家にありそう」「うちにもある」という方は多いのではないでしょうか。千円銀貨は1500万枚、百円銀貨は8000万枚発行されたため、実家に眠っているというケースは十分あり得ます。
これら銀貨の価格は数年前から大きく上昇してきています。
田中貴金属「過去5年間 月次銀価格推移」における参考小売価格(税抜)を確認すると、2024年1月の段階ではグラム平均110円ほどであったものが2026年3月には平均で414円ほどと、およそ3.7倍程度に上昇しています。こうした銀価格の上昇が記念銀貨の価格押し上げにもつながっているのです。
数年前であれば、1964年の東京オリンピック千円銀貨は2000円前後で購入することができましたが、今では「Yahoo!オークション」の落札価格で見ても6000円前後します。
額面の6倍程度かと思われたかもしれませんが、実際には状態によって異なってきます。仮に実家で大切に保管してあり一度も触ったこともない完全未使用レベルであればさらに価格が跳ね上がる可能性があります。
■過去の落札額は「最高78万円」
オークションワールド「AWオークション(提携先のオークションも含む)」における過去の落札結果を見ると、1964年の東京オリンピック千円銀貨で最も高額となったケースの落札価格は78万2550円(手数料込み)。これは、コイン鑑定機関・PCGSによる評価が「MS67PL」のものです。
世界的なコインの鑑定機関では、コインの評価は通常70段階で行われ、数字が高いほど状態が良く、70は「完全未使用の中で欠点のないコイン」を示します。
さすがに60年以上経過する1964年の東京オリンピック千円銀貨では70評価のものはありませんが、落札されたものは67というグレードが高いもので、かつPL(プルーフライク)と呼ばれる鏡のように光沢をもつコインの評価となっています。
PCGSにおけるMS67PL評価のものは、2026年4月現在で8枚しか存在しません。極めて状態が良く、美しい光沢をもつため高額落札となったのです。
■百円銀貨も価格上昇中
同様に、1964年の東京オリンピック百円銀貨も価格が上昇しています。2026年4月現在におけるYahoo!オークションの落札結果を見ても1枚700~800円ほどで取引されています。
以前であれば200円ほどで購入できた時期もあります。こちらも評価次第で大きく跳ね上がり、過去のAWオークションではPCGSの鑑定で「MS63PL」のものが8万3250円(手数料込み)で落札されたことがあります。
なお、いずれの記念硬貨においても「エラー硬貨」が存在します。例えば、180度傾いて打刻された東京オリンピック百円銀貨では、PCGSの「MS63」評価で31万800円(手数料込み)で落札されたケースがあります。このように、エラーコインの場合、さらに大化けする可能性があります。
参考までに、1964年の東京オリンピック千円銀貨は、重量が20グラム、うち銀が92.5%、銅が7.5%。百円銀貨は重量が4.8グラム、うち銀60%、銅30%、亜鉛10%です。千円銀貨は18.5グラム、百円銀貨は2.88グラムの銀が使用されています。銀価格が上昇すれば自ずとこれらの価格は上昇していくことでしょう。
■以前の百円は「銀貨」だった
もうふたつほど、実家などに眠っていることがあり、大化けする可能性がある日本の貨幣をご紹介しましょう。それは百円硬貨です。
といっても今の百円玉ではなく、その前に使用されていた百円玉です。ひとつは「鳳凰百円」、もうひとつは「稲百円」です。この2種類の百円はいずれも銀貨であり、今では額面以上の銀が使用されているため価格が上昇しています。
鳳凰百円銀貨は1957年(昭和32年)および1958年(昭和33年)に、稲百円銀貨は1959年(昭和34年)から1966年(昭和41年)まで発行されました〔1962年(昭和37年)除く〕。
いずれも重さは東京オリンピック百円銀貨と同じ4.8グラム、うち銀の含有量は60%で、2.88グラムの銀が使用されています。単純計算でいえば、百円玉なのに現在では1000円以上の価値があるのです。
これら百円銀貨の価値も、状態次第で大きく跳ね上がる可能性があります。例えば、鳳凰百円銀貨では、昭和32年発行のものでコイン鑑定機関・NGCによる「MS67」評価のものが、16万8720円(手数料込み)で落札されたことがあります。
また、稲百円銀貨では、昭和41年発行のものでNGCによる評価が「MS62PL」のものが、5万8830円(手数料込み)で落札されています。
この2つの百円銀貨は通常貨幣のため、なかなかグレードの高いものがありません。
とはいえ、鑑定に出されているこれらの銀貨は、まだまだ数が少ないといってよく、鑑定に出してみたら思わぬ高評価で、想定もしていない高値になる可能性があります。
■硬貨を鑑定に出す際の注意点
鑑定に出すべき硬貨は、完全未使用~未使用のもので、できるだけ綺麗なものがおすすめです。普通の百円玉を鑑定に出しても、鑑定料金の方が高くつく可能性があるからです。
コインの鑑定は日本のコイン商を通して行うことができます(ワールドコインズジャパン、泰星コインなど)。コインの鑑定機関は複数ありますが、最も有名なのがPCGSとNGCです。実家に帰省した時などにこうした硬貨を発見したら鑑定に出すことも検討してみましょう。保管状態の良いものであれば一攫千金も夢ではないかもしれませんよ。
なお、コインを綺麗にするために洗浄すると、評価が大きく下がってしまいます。磨いたりせず、ありのままのコインの評価を受けることが大切です。
また、銀貨を溶かして銀の塊にするといった行為は、貨幣損傷等取締法により固く禁じられていますのでご注意ください。
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伊藤 亮太(いとう・りょうた)
ファイナンシャル・プランナー
慶應義塾大学大学院修了。CFP資格、DCアドバイザー資格取得。証券会社勤務、投資顧問会社設立を経て、2007年スキラージャパン設立、取締役。約100銘柄の株を保持、50人以上の投資家に取材。
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(ファイナンシャル・プランナー 伊藤 亮太)

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