※本稿は荻野修一郎『1日15分健康ウォーキング』(高橋書店)の一部を再編集したものです。
■ウォーキング前に体調をチェック
雨や風の強い日や雪が降っているときは、地面が濡れていたり凍結していたりして転倒のリスクが高いので、無理にウォーキングをしないでください。
また、猛暑日は熱中症リスクが高いので、炎天下は回避し、朝早い時間や夕方など、時間をずらして歩くようにしてください。
外を歩けそうにない場合は、自宅でできる「おうちウォーキング」をおすすめします。
風邪気味、頭痛、めまいがあるなど、体調がすぐれないときは、出先で思わぬケガにつながる恐れがあるので控えてください。
高血圧や糖尿病など持病がある人の場合は出発前後に体温や血圧など、バイタルサインを確認することが大事です。
また、歩いている最中に息切れや動悸がある場合は休憩をして様子を見てください。
5~10分たっても症状が落ち着かない場合は、ウォーキングを中止してください。
ウォーキング中に足や腰に痛みが出た場合も、痛みの種類によっては歩かないほうが良い場合もあるので、症状が深刻な場合は中止してください。
■「歩きスマホ」はNG
住み慣れた自宅でもわずかな段差につまずいたり、足を滑らせたり、つまずくなど転倒のリスクが潜んでいます。
屋外であればそのリスクはさらに高まります。
また、音楽を聴きながら歩く場合も、車や人通りの多い場所では控えて、河川敷や公園内で聴くようにしてください。
「ながらスマホ」や「歩きスマホ」も周囲への注意力が散漫になり、事故につながる恐れがあります。
歩いている途中に「ちょっと息があがってきた」「鼓動が速い」「頭が痛い」など、体調不良を感じたときには一旦休憩し、5~10分たっても症状が改善されない場合は中止しましょう。
ウォーキング中に天候が悪くなった場合も無理して続けないでください。
■「歩数計アプリ」を活用する
日々の歩数を積み重ねて記録することは、モチベーション維持の助けになります。
シニアも含め、多くの方が持っているスマートフォンの中には、持ち主の移動に応じて歩数をカウントしてくれる歩数計アプリがあります。
もちろん手書きでもかまわないので、歩数のほかに体調管理の観点からウォーキング前後の脈や血圧、体温も記録して残しておくと良いです。
血圧が高いのであれば、その記録で一過性のものなのか慢性的なものなのかがわかり、病院を受診する判断基準にもなります。
もし5000歩ほど歩いて、ひざの痛みを感じたときにそのことをメモしておけば、受診した際には、そのメモがお医者さんの診断材料にもなります。
数値の高低に、どうしても敏感になりがちですが、たまたま1日だけ数値が高いということであれば、気にしすぎているだけかもしれません。「こういうときもあるよ」くらいの気持ちで、歩くのをやめる理由にはしないでほしいですね。
■短期と長期の目標を設定する
人のやる気は脳で分泌されるドーパミンという神経伝達物質によってもたらされています。
ドーパミンはやる気だけにとどまらず、生命活動や感情、意欲、思考など心の機能にも関与しているため、人格形成においても重要とされています。
ドーパミンは達成感を得られたときに分泌され、「よし次はもっと頑張ろう」とさらなる意欲につながっていくため、目的や目標を持つことはとても大事なのです。
目標は長期・短期と2種類に分けて設定するとよいでしょう。例えばバスで通院している方が、「病院まで歩いて行けるようになる」といったような、ちょっと頑張れば達成可能な小さなゴール、短期目標を定めることはささやかなモチベーションになり、達成時の満足感を高めることが可能になります。
長期目標だけではゴールが遠くて、今やっていることの意義を見失いがちです。
ゴールが近い小さな短期目標があることで、目標から遠ざかることを防ぎ、あらかじめ定めた大きな目標を達成しやすくなります。
■健康ウォーキングQ&A
Q:ウォーキングの前後で、食べたほうがいいものはありますか。
A:朝にウォーキングをする場合、その前に朝食をとっておくとよいです。その際はまんべんなく栄養をとるようにしましょう。
パンにジャムをつけただけというように、簡単にすませてしまう人も多いのですが、それでは栄養がかたよってしまいます。ふだんの和食をイメージして、ご飯にみそ汁、魚、納豆などが良いでしょう。
また、朝食をしっかり食べていれば、ウォーキング後に無理して何か食べる必要はありません。
Q:ウォーキング後の水分補給に好ましい飲みものはありますか。
A:水分補給として、ウォーキング後にはお水かお茶を飲むといいでしょう。
一方で、ジュース類やスポーツドリンクはあまりおすすめしません。これらには相当な量の砂糖が入っており、糖分過多になってしまうおそれがあります。
また、コーヒーやアルコールもおすすめできません。これらには利尿作用があり、たとえ飲んでも水分が尿になって出てしまうので、水分補給に適していないからです。
Q:水分は1日どのくらいとったほうが良いでしょうか?
A:文献によって多少の誤差はありますが、一般に体重×30ミリリットルが必要とされています。
例えば、体重が50キロの人なら50キロ×30ミリリットル=1500ミリリットルを飲むようにすると良いでしょう。
■歩く時間は朝が最適
朝日を浴びながらのウォーキングは骨密度アップとともに睡眠にも良いとされています。
朝日を浴びたあと、14~16時間後に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌され、睡眠の質が向上します。
起きるのが遅く、朝11時ごろから日常生活を開始すると、メラトニンが分泌されるのは14時間後になるので、眠気を感じるのが深夜の時間帯になってしまいます。
ですが、朝早くであれば20時ごろには睡魔が。体内時計がリセットされて睡眠の質が向上し、規則正しい生活が送れるようになるのです。もちろん天候や体調に合わせて歩く時間帯を選んでもかまいません。
食事の1時間後をめどにしたウォーキングを推奨しますが、食前のほうが良いという人は低血糖でふらついたり、脱力で転ばないようにバナナやおにぎりなどを口にしてから出発しましょう。
朝は肌寒く体がいちばん硬い時間帯でもあります。体を痛めたり、足をあげたつもりでもあがいなくて転びやすいので出発前のウォーミングアップも大切です。
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荻野 秀一郎(おぎの・しゅういちろう)
作業療法士、「フラミンゴの介護予防チャンネル」主宰
1989年生まれ。2012年より回復期リハビリ病院で勤務し、在宅復帰に向けたリハビリ業務を行う。2015年から急性期病棟のリハビリに勤務し、ICUでのリハビリに従事。2017年から訪問リハビリに携わり、在宅での自立に向けたリハビリを行う。2020年、東京都大田区に「認知症と転倒予防教室フラミンゴ」を開業。同年、YouTubeにて「フラミンゴの介護予防チャンネル」を開設。
著書に『動画つきで一目でわかる 家庭の介護 要介護にならない!自宅でできるかんたんストレッチ』(株式会社アスク)がある。
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(作業療法士、「フラミンゴの介護予防チャンネル」主宰 荻野 秀一郎)

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