白熱のJ1残留争い!各クラブの立ち位置と残りの対戦カードを徹底分析【16位:柏レイソル編】
白熱のJ1残留争い!各クラブの立ち位置と残りの対戦カードを徹底分析【16位:柏レイソル編】

J1リーグも残すところ5試合となりました。

残留争い、優勝争い、そしてACL圏内争いと激化していくそれぞれの闘い。

今回は柏レイソルの現状と立ち位置、そして残り6試合について考えてみようと思います!

柏レイソル

16位:9勝 11分 12敗(32試合)、勝点38

得点35、失点44、得失点差-9

現在のベストスタメン

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夏の移籍期間の動きと補強について

【IN】

• 手塚康平(8/5)[鳥栖/新加入]

• 垣田裕暉(7/4)[鹿島/新加入]

【OUT】

• 山本桜大(8/2)[栃木/期限付き]

• 武藤雄樹(8/2)[相模原]

• 高嶺朋樹(7/30)[KVコルトレイク(ベルギー)]

チームの主軸として、チームの心臓として働いていた高嶺朋樹の移籍は痛かったのは間違いないです。

しかしそこで白羽の矢がたったのはサガン鳥栖の手塚康平。高嶺朋樹ほどの運動量とトランジションの強度はないかもしれませんが、そのキック精度とボール保持のビジョンは確かなものがあります。速さを選択し続ける柏レイソルにとって、手塚康平の加入はテンポを管理する上で重要な選手となりそうです。さらに細谷真大への一発回答のスルーパスなどにも期待できます。

もう1人、柏レイソルは垣田裕暉を補強。大柄なストライカーですが、しっかりとプレッシングも行うことができる選手です。442のハイプレスとミドルプレスを基盤に戦うチームにとって、1stプレスラインの強度と上手さ、そして機動力は必要不可欠。垣田裕暉の加入は高さと守備強度を担保しつつ、クロスからのフィニッシュを上乗せすることができるでしょう。ここも納得の補強です。

徐々に降格圏が近づいてきている中、今一度守備強度を高めつつ、ショートカウンターからゴールを仕留め切りたいところです。手塚康平の加入によってセットプレーという武器も手にすることができました。高さと強さを兼ね備える選手が多いので、セットプレーからの得点にも期待がかかります。新たな武器と本来持つ武器を手に、残留を掴み取りたいところです。

残りの対戦相手とその予想

34節 町田ゼルビア戦(H)

ハイプレスとショートカウンター、手数をかけない積極的なロングパスとゲーゲンプレスでJ1を掻き回した町田ゼルビア。強度と走力を売りに戦い抜いたが、後半戦に来て失速しているのが現状です。1stプレスラインの制限と方向付けやボールを持たされた時の対応など、最初のプランは屈強ですが、それに対応された時の脆さを露呈してしまっている印象です。

そこでレイソルです。優勝争いをしている相手とはいえ、突け入る隙はあります。

まずは町田にボールを持たせることから試合を進めていきたいところです。レイソルの強みとして、ハイプレスもしくはミドルプレスからのショートカウンターがあります。こう考えた時に、町田にボールを持たせて守備から試合を作っていくことは理に適っていると思います。

442で構えながら、2トップでCHの管理、CHは上のパスを選択し2ndボールを作られた時の回収要員としてのタスクに重きを置くことができるならば、町田の攻撃を食い止めつつ、カウンターに出ることができるでしょう。

さらにサヴィオとジエゴのサイドです。特にサヴィオがボールを持った時には、ジエゴはインナーラップを行うことが多い傾向にあります。町田の1つの弱点として、SBとCBが割れるところにあります。

ジエゴのチャンネルランによって、大外ではなく1つ内側の奥を取って攻撃を仕掛けることができるので、ゴールに近づくことは出来るでしょう。横からの攻撃に脆さのある町田の弱点を狙って、しっかりとシュートを叩き込みたいところです。

25節 浦和レッズ戦(A)

大雨による延期分。当時とは全く違ったチーム状況です。浦和レッズはマチェイ・スコルジャ監督を再び招聘しました。初戦のガンバ大阪戦こそ堅守を誇り、ソリッドなチームの復活の予感をさせたのですが、現状は攻守において苦しんでいます。

どこでどのようにボールを奪っていくのか、どのように前進ルートを作っていくのか、このあたりの混乱は否めません。特に後者においては深刻で、全員がボールを受けに下がってくることが散見され、距離が近くなり、自らスペースを消している状況になっています。

ボールに寄るので深さと幅がなくなって相手の迎撃を助長してしまっている状況です。この中断期間でどれぐらいビルドアップのところを修正できるかは大切なポイントになるでしょう。

そこでレイソルです。まずはやはりレッズの前進に対して制限をかけていきたいところです。特に4バックのチームと対戦する時のレイソルの守備の安定感は抜群です。対面が明確になる分、SHとCHの繋がりが強くなってサイドで圧縮することができています。

33節の横浜F・マリノス戦などはその強みが出た一戦だっと思います。特にCBに制限をかけていくと、GKからの長いパスか前線の選手が降りてきて出口を作り続けます。こうなってくると先ほども触れたように、敵陣で迎撃を作り出すことが可能になるでしょう。

さらにCBに制限をかけている分だけ、差し込むパスは精度が下がっています。準備の時間を削れば削るだけ、レッズは人を降ろしてきます。この状況を多く作り出すことができれば、ボールを持たずとも自分たちのペースだ!と考えながら試合を進めていくことができそうです。

35節 アビスパ福岡戦(A)

勝てない時期が長く続いたアビスパですが、それでも内容は悲観するものではありませんでした。守備から試合を作り、そして新たな取り組みとして保持にも挑戦していたから勝てない時期が続いたのだと思います。

そして33節の名古屋グランパス戦で勝利を取り戻しました。ウノゼロとらしい勝ち方で勝利を取り戻したので、残りの試合に向けた勢いがついている現状です。

アビスパは523のプレッシングと442のプレッシングを使い分けながら試合を作り出していきます。ボールを握らずとも、試合を作っていける稀有なチームだと思います。3バックの迎撃とCHの挟撃を上手く使い分けながら、ショートカウンターに出ていくことが彼らの最大の強みです。

そこでレイソルです。ボールを持つ時間帯が長くなる分、どこに出口を作るのか、どのように3CBの脇のスペースを強襲していくのかがポイントになりそうです。

アビスパはSBに対してWBを押し出すのではなく、STに対応させることが多いです。だからCHの横移動が必須となってくるのですが、レイソルからするとSTの背後のスペース周辺で呼吸場所を確保していきたいところです。

そのために、2-2の土台を作りながら、まずは1stプレスラインを中央に寄せること、アビスパCHを中央で止めることから組み立てを考えていきたいところです。そうするとSBとSTの距離が長くなる分、WBを引っ張り出せるか、時間を作り出すことができそうです。

WBを引っ張り出した場合は、SHやCFの背後で3CBの脇を突いていく形、出てこない場合は横断しながら攻撃を仕掛けていくとゴール前まで到達できそうです。

そこでこの試合のキーマンとなりそうなのが、小屋松知哉です。動きながらエリアを移動し、リンクを作り続ける彼は、アビスパ福岡のゾーンを跨ぐことができます。そうすると少なくとも受け渡しと目線の入れ替えが発生するので、その遅れを利用しながら横断し、攻撃を完結させられることもできそうです。

いかにして迎撃を受けないエリアを早く見つけ出し、それを空転することができるか。これが勝利を掴むための絶対条件でしょう。

36節 アルビレックス新潟戦(H)

リーグで最もボールと共にプレーをし、ボールと共に前進し、そしてゴールに迫っていけるチームです。変わらぬ哲学で今シーズンも戦い抜いています。

相手のプレスを待つことやスペースの共有は高次元にあり、ボールを奪いにいくと剥がされる、ブロックを作りだせば1つ1つ動かされながら攻撃を仕掛けられてしまう。さらに守備の安定感もある。

442のブロックやプレスの線引きも明確で、堅実なチームになっていることは間違いないです。ルヴァンカップ準決勝川崎フロンターレの2戦とも、守備を考えながら試合に入って見事に決勝へ進んでいます。確かな信念の下、相手を上回ることで勝利を掴みにかかるチームです。

それに対してレイソルです。実はボールを持っていない方が勝利することが多いアルビレックス。完全にボールを持たせるという文脈ではなく、ハイプレスの線引きを上手く使い分けながら制限をかけていきたいところです。

プレスをかける時は完全に人を捕まえて時間を潰して前進で引っ掛けるとゴールに迫れると思います。現にアルビレックス新潟はこの形で失点するシーンが多くあります。

さらに前進が難しくなってくると、どんどん人を下ろしてくるので、より引っ掛けることが簡単になっていきます。このプレスをかける瞬間を間違わず、足並み揃えて前に出ていくことができると、勝機を窺うことができるでしょう。

37節 ヴィッセル神戸戦(H)

優勝争いをしているチームで残りの対戦相手で最も高い障壁です。

速さと強さを兼ね備えている強敵で、さらにここにボール保持の局面を積み上げつつあります。だからこそ、最後まで戦い抜くエネルギーを保ちながら試合を進めることができるようになっているのも勝ち続けられる理由だと思います。また424で行われるハイプレスも強固で攻守において強度が高いチームです。

対するレイソルです。隙のないチームに思えますが、まだ完全にボール保持の局面が積み上がっているわけではないので、ここに制限をかけていきたいところです。33節の京都サンガ戦では前進を引っ掛けられて失点も喫しています。

よって、新潟戦と同様プレスの線引きを上手く使い分けながら、足並みを揃えて進んでいきたいところです。このプレスの線引きが必要な理由として、ヴィッセルはシンプルな長いパスも持ち合わせているからです。

大迫への上のパスとゲーゲンプレスはヴィッセル最大の矛であり、これを潰すために構えた守備も必要になってきます。この使い分けこそが強敵相手に打ち勝つポイントになるかもしれません。

38節 北海道コンサドーレ札幌戦(A)

後半戦の勝ち点の稼ぎ方は強者のそれです。コンサドーレは混乱をきちんと整理したことによって自分たちを取り戻しました。

影響を与えられる可変はどのようなものなのか、ボールを引き取る前の準備と出し手のタイミングは合っているのか、背後と手前はきちんと用意されているのか。この辺りを再整理したことにより、空洞化していた中盤と機能不全を起こしていたネガティブ・トランジションを解決しました。

特に前進のときに4枚の土台になった瞬間のスペースにIHやCFが降りながらリンクを作るプレーも出始めて、前進も安定しています。守備では完全なマンツーマンではなく、受け渡しをしながらプレッシングをかけます。さらにブロックも形成するようになっており、442で守備ブロックを作り出すこともあります。

良くも悪くも自分たちにしかベクトルが向いてなかった時期と比べ、現在は相手を意識しながら自分たちの色を出すことを選択しています。戦い方が大人になったからこそ、後半戦で勝ち点を荒稼ぎしているのだと思います。

そんなコンサドーレに対してレイソルです。まず最初にぼかしていきたいのがDMFのところです。ここを経由されてしまうと、CHが引っ張り出されることになってしまいます。

基本的にレイソルは2トップのラインを突破されるとアンカーに対してCHを押し出すことが多くなっています。だから丁寧に2トップでDMFを隠しながら可変を行って4枚化するであろう最終ラインに制限をかけていきたいところです。

これを行うことができなければ、中盤が広げられてスペースを開け渡してしまいます。そうなってくると外に誘導できなくなり、迎撃も作れない状況下になってしまいます。

しかし裏を返せば、しっかりと中央を消すことができれば、広がるCBにはSH、高さと幅を作るWBにはSBとサイドで当てはめることが可能になってきます。そうすると迎撃を作り出しやすくなるので、細谷真大を中心としたショートカウンターでゴールまで迫っていくことはできるでしょう。

多くの試合がそうですが、レイソルの命綱であるハイプレスをこの試合も押し出せるか否かは重要です。

レイソルは基本的にプレッシングを仕掛けながら、ショートカウンターを押し出すことで勝利を掴み取っていくチームです、言わばプレスがハマるか否かは勝敗に直結します。そこで各試合のハイプレスを行う際の文脈とそのタイミングや線引きを間違わないことが、残留に向けての大きなポイントになりそうです。

Nobuya Akazawa|J1全部見るマン|

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