中国メディアの参考消息によると、米外交・安全保障専門オンライン誌のディプロマットは3日、中国の電気自動車(EV)メーカーが、サウジアラビアなどペルシャ湾岸6カ国でつくる湾岸協力会議(GCC)市場への参入を加速しているとする記事を掲載した。

記事はまず、EV業界について「世界的な気候変動とカーボンニュートラル目標の追求によってもたらされる課題の中で、急成長を遂げている」とし、「中国のEVメーカーは、高度な技術と製造能力を誇り、急速に輸出を拡大している。

2023年には100万台を超えるEVを輸出した」「GCC諸国のエネルギー多様化の取り組みにより、この地域は極めて重要なEV市場として台頭しつつある。需要の拡大に伴い、中国EVメーカーのGCC市場における重要性が増していることは、中国とGCC間のクリーンエネルギーパートナーシップが拡大し、より強固になることを意味している」などと伝えた。

記事はさらに、「中国は世界のEV産業をリードしている」とし、「世界が化石燃料からの脱却を図る中、GCC諸国は経済多角化の動きを進めている。これはEV市場における中国の世界的な野心と一致するものであり、中国は湾岸地域で意欲的なパートナーを見つけた」と伝えた。

記事によると、移行目標はGCC諸国それぞれにおいて異なるが、全体的な戦略は、国内電力セクターの脱炭素化と輸出志向のクリーンエネルギー開発という二つの対話型テーマによって定義されている。どちらの面においても、EV産業は重要な役割を果たすことが期待されている。

記事は「中国EVメーカーはチャンスを認識して、GCC諸国のこの進化する市場を活用しようと急速に動いている。中国のほぼすべての大手EVメーカーは現在、この地域への参入計画を策定しており、一部はすでに存在感を確立している」とし、中国EV大手の比亜迪(BYD)が昨年、ヨルダンの販売代理店との提携を発表したこと、サウジアラビア投資省が同年6月、中国EVメーカーの華人運通(ヒューマン・ホライゾンズ)と車両の開発、製造、販売で協力する56億ドルの契約を締結したこと、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビの投資ファンドが同年12月、中国EVメーカーの蔚来汽車(NIO)への22億ドルの戦略的投資を確保し、NIOにおける同投資ファンドのシェアが20.1%に増加したことを紹介した。

記事によると、GCC諸国にとって、野心的な目標を達成するための費用対効果の高いソリューションを導入するには、中国企業が提供できるEV製造の専門知識と規模の経済が非常に必要とされている。さらに、サプライチェーンの開発と製造能力の拡大における中国EVメーカーの専門知識は、GCCの経済多角化戦略を推進する上で極めて重要な役割を果たす可能性がある。

記事は「中国EVメーカーのGCCへの関与は、エネルギーパートナーシップの新たなフロンティアを表し、太陽光や風力エネルギーなどの分野における中国とGCC諸国間の既存の再生可能協力を補完するものだ。エネルギー分野に根差したこの関係は、テクノロジー、金融、農業、観光、不動産などさまざまな経済分野にわたる協力の機会を生み出す。

これにより、GCC諸国と中国の経済統合がさらに進む可能性が高い」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)