デビューアルバムが日本で一大センセーションを巻き起こしたフリコ(Friko)の2作目『Something Worth Waiting For』は、バンドの核となる魅力を微塵も失わないまま、見違えるほどタイトでパワフルに進化した理想的な次の一手だ。と同時に、不安と希望の間で揺れ動く若きバンドの心象風景をありのままに描き出した誠実な作品でもある。


前作『Where weve been, Where we go from here』からの一番大きな変化は、ニコ・カペタン(Vo, Gt)とベイリー・ミンゼンバーガー(Dr)の2人組だったフリコが、ツアーに参加していたコーガン・ロブ(Gt)とデヴィッド・フラー(Ba)を加えた4人組へと拡張したこと。前作のレコーディング後にベーシストが脱退し、バンド編成が移行期にあったフリコだが、新作には一枚岩の”バンド”になった姿が力強く刻まれている。

そのサウンドの変化は、アルバムの1曲目「Guess」から明らかだ。ビートレスの演奏で始まり、歌とギターの抑揚だけで徐々に緊迫感を構築していきながら、最終的には全員一丸となってアグレッシブなサウンドへと突入する。そこには、格段に鍛え上げられたバンドの逞しい姿がしっかりと刻まれている。アルバム全体を通して、4人のアンサンブルは見違えるほど引き締まっていて力強い。これはフォーピースのバンドとして長いツアー生活で成長した結果であろうし、名匠ジョン・コングルトンを共同プロデューサーに迎えた成果でもあるだろう。

もちろん、ニコのどこまでも高く飛翔する美しいメロディは健在だ。特に耳を引くのは、「Seven Degrees」のようなアコースティック調のバラード。静かな曲調でありながら、ライブのハイライトとなりそうなスケールの大きさを感じさせるところには、ニコのソングライターとしての確かな成長を感じる。フリコの大きな魅力のひとつである歌/メロディと、見違えるほど頼もしくなったバンドのアンサンブル──この両輪が揃った『Something Worth Waiting For』は、まさに理想的な2作目だ。

そして今作では、ニコのリリシストとしての魅力も際立っている。
彼が綴る言葉には、長いツアー生活での疲弊や、まだこれからの若手バンドとして感じる不安や葛藤が素直に滲んでいる。だがそれと同じくらい、この4人でバンドをやっていることの喜びや興奮にも満ちている。ニコの言葉は、不安と希望の間を行き来しながら、少しずつ前に進んでいく自分自身の姿を実直に描き出す。そのリアルな筆致は、彼と同じように不器用に毎日を生きる聴き手一人ひとりの姿をも映し出すかのようだ。

既に知っている人も多いだろうが、フリコは今年のフジロックで再来日を果たす。以下の会話で本人たちが明かしているように、2024年のフジロックが現在の編成でおこなった初ライブだった。だがそれから2年、彼らは見違えるほど逞しくなって帰ってきた。今年のフジロックは、ライブバンドとして一皮も二皮も剥けた彼らの雄姿を目撃する絶好の機会になるはずだ。

「この4人だから生まれた」2作目

―『Something Worth Waiting For』は、フリコがバンドとして着実に進化していることがはっきり伝わってきます。と同時に、不安であれ希望であれ、いま抱えている気持ちが率直に反映された誠実な作品だとも思いました。自分たちとしては、このアルバムはどんな作品だと感じていますか?

ニコ:僕ら4人が一つになった音が体現されてるアルバムだよね。もちろん、その前からバンドではあったんだけど、ちょうど中間の移行期にあって。
ルーク(・スタモス:Ba)がバンドを抜けた後、自分とベイリーがライブ活動を続けていく中で、ちょいちょいコーガンやデヴィッドが入ってきてくれてっていう。コーガンとデヴィッドと一緒にライブをやるようになって3、4年くらいになるし、考えてみたら今の4人体制になってかなり経つんだよね。しかも超絶なのが、この4人のラインナップになってから一番最初にやったステージがフジロックで、しかもそのステージがもう強烈で! 

―ああ、あれが初めてだったんですね。

ニコ:そこから今のバンドとして一体化した4人の姿が、今回のアルバムには象徴されてる。それこそ、このアルバムの中にある悲しみだとか不安だとか、そうした感情すべてが最終的には喜びの方向に向かっているような……もちろん、悲しい瞬間は今でもたくさんあるんだけどね。それでも、自分たちがバンドとして一つになっていくまでが、ここに記録されてるんだ。

Frikoが語る「理想の2作目」と一皮剥けた4人体制の新章、フジロック再来日への熱い想い

左からコーガン・ロブ(Gt)、ニコ・カペタン(Vo, Gt)、ベイリー・ミンゼンバーガー(Dr)、デヴィッド・フラー(Ba)

―やはりこのアルバムでの最大の変化は、デヴィッドとコーガンが正式メンバーとして加入し、フリコが4人組となったことですよね。正式な加入はいつ頃、どのようにして決まったのでしょうか?

ニコ:その経緯については、当事者であるデヴィッドとコーガンの2人が語るべきじゃない?

コーガン:まあ、自然にって感じだったよね。このアルバムのために曲作りを始めようってなったタイミングで、ニコとベイリーから「一緒にやらない?」って声をかけてもらったんじゃなかったかな。僕ら2人ともすでに今回のアルバムの曲に自分たちのパートを書くって形で参加してたし、そのまま一緒にレコーディングにも入っていった、っていう感じで。

ニコ:決定的な瞬間があったというよりも、気がついたときにはもうバンドの一員になっていたよね。だって、すでに何年も一緒にライブやってきたわけだし、1stアルバムにこそ参加してなくても、ライブではずっと一緒に演奏してきたわけだしさ。


デヴィッド:しかも、今回のアルバムって長期にわたって作ってきた作品なんだよね。それこそ振り返ってみると、自分たちですらビックリするほどの長いスパンで。タイトル曲の 「Something Worth Waiting For」 なんて、1stアルバムがリリースされる前からすでに着想があったし……まだほんの初期のアイディアの段階とはいえね。だから、今回のアルバムって、自分たちの中でずっと継続中だったプロジェクトみたいなもので。自分でもいつからか思い出せないくらい長期のプロセスを経て完成に至ってるんだ。

―なるほど。

デヴィッド:自分もコーガンも、ニコとベイリーの2人にはメンバーの一員として大切に扱ってもらってた記憶しかない。だから、正式なメンバーになるかどうかって話も自然の流れで出てきたっていうか、その話が出る前からすでにメンバーの一員みたいになってたんだよ。

―ニコとベイリーの立場からは、4人組になったことで、1stを作ったときとの違いは感じましたか?

ニコ:1stアルバムのときは、ほぼすべて自分たちの持ち出しというか、スタジオを持ってる友達にタダで貸してもらったり、まわりに助けられてようやく完成に漕ぎつけた作品で。ジャック(・ヘンリー:共同プロデューサー)とスコット(・タラリダ:共同プロデューサー)と一緒に作品を作ったことは自分たちにとってすごく大きな学びだったし、あのアルバムがあるからこそ今の自分たちがあるわけで。しかも、それが自分たちの運命を変えた一枚になったっていう。

―ええ。


ニコ:対して今回の2ndは、初めてきちんとした条件のもとに作れたとこが一番大きな違いかな。曲自体は事前に書いてあって、レコーディング期間として2週間もらって、その2週間のうちに自分たちが持っているエネルギーなり感情なり、思いの丈をすべてぶつけていった、みたいな。その間に味わった苦しみも、めちゃくちゃ楽しい瞬間も、その2週間の中にギュッと凝縮されてる。あの条件下だったからこそ、あの表現に辿り着けたみたいなところがあったよね。

ベイリー:ニコの意見に完全に同意。今回、限られたレコーディング期間っていう制約があったからこそ、かえって解放されたところがあって。だって、細かいところまでいちいち悩んでる余裕がないからね。「あ、今の演奏で決まった?」って思ったら、どんどん次に進むしかない。あの一つ一つにこだわりすぎない感じがすごく貴重だった気がする。それと、シカゴを離れてレコーディングしたことも、今回のアルバム制作期間をより特別で濃密な体験にしてくれたと思う。メンバー全員とそれまでLAに長期滞在した経験がなかったし、LAでレコーディングした期間が一つの切り取られた時間みたいな、自分の人生における唯一無二の2週間があのアルバムの中には詰め込まれてる。

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―新作の中で「この4人だからこそ生まれた」と一番強く実感している曲はどれですか?

ニコ:ああ、いい質問。
4人全員で同時に演奏したのでいうと、「Something Worth Waiting For」が一番わかりやすいかな。あれはジョン・コングルトンの提案であの録り方になったんだよね。最初のパートは自分がアコースティックギターだけ持って別室で録って、一回録音を止めて、残りのパートは4人全員で同じ部屋に入ってガンガンにノイズを叩きつけていったっていう感じで、塊に分けて録ってるんだ。あの絶妙な感じが、まさにこの4人ならではの味が出てるって感じがする。

デヴィッド:本当にその通りだと思う。4人全員分の音をまとめるのに一番苦労した曲でもあるし。あの完成形に辿り着くまでにどれだけ注力したことか……必要な要素はすべて揃ってるのに、「最終的に曲としてどう感じさせたいか?」ってとこを何度も話し合っていったし、4人全員が全エネルギーを投入してなかったら絶対にあのレベルには到達できなかったはず。それを言うなら、今回のアルバムのすべてに今言ったことが当てはまるんだけどね。どの曲もまさにこの4人だからこそ辿り着けた音になってる。とはいえ、「Something Worth Waiting For」は、それを一番象徴してる曲だよね。実際に曲を作ってる最中のバンド内の深いコミュニケーションのレベルっていう意味でも、すごく特別な一曲なんだ。

―いま名前が出ましたが、今回のプロデューサーにジョン・コングルトンを迎えた理由は?

ニコ:最初、ジョン・コングルトンが1stを気に入ってくれてるって話を聞いて、それで実際に本人に会ったんだよね。
たしかもう一人、別のプロデューサーとも会ったんだけど、やっぱりジョンがいいなって感じで、そのまま彼と一緒にやることにしたんだ。もともと彼が手がけた作品が好きで、とくにセイント・ヴィンセントとか、ビル・キャラハンの作品の大ファンだったんで、すごく自然な流れだったし、ほぼほぼ一択みたいな感じだったよね。

―新作はかなり録音が洗練されたと思いますが、ジョン・コングルトンを迎えたことで、音作りやレコーディング方法に変化はありましたか?

ニコ:というか、その辺のサウンドや方向性についても僕らの意志に任せてくれたんだ。一番の大きな違いで言ったら、初日に「君たちはアーティストなんだから、ただアーティストでいてほしい」って言われて、そのおかげですごく自由になれたんだよね。1stのときとは背負ってるものが全然違ってて、1stのときはすべてにおいて自分たちが関わってたし、すべてに自分たちの手が入ってるみたいな感じだった。けど今回は、ただ純粋に曲とレコーディングだけに集中できた。それがめちゃくちゃ良かったんだ。

ツアー生活と「移動」のモチーフ

―このアルバムの全体的なテーマは「移動」ということで、電車、車、自転車といった乗り物も頻繁に登場します。つまりツアー生活やそこで感じたことというのが、アルバムに大きなインスピレーションを与えたということでしょうか?

ニコ:アルバムのゴールが見えてきた時期に全体を振り返ってみたら、自転車の曲があり、熱気球の曲があり、電車の曲があり、他にも船だのバンだの色んな乗り物が登場してるってことに気がついたんだよね。歌詞に出てくる言葉にしろテーマにしろ、無意識とはいえ、自分でも知らないうちにそういうモチーフが自分の潜在意識の中に入り込んでたんだなあって。最後に一歩引いて振り返ったときに、ほとんどの曲に何かしら移動の要素が入り込んでることに気づいてハッとして……そこに当時の僕自身でありメンバー全員の心象風景が投影されてたってことだよね。

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―では、あなたたちにとって、約2年に渡るツアー生活とはどのようなものだったと言えますか?

ニコ:自分に関しては今の発言が答えになってる気がする……みんなはどう?

デヴィッド:まさに自分の人生を決定づけるような2年間だったよね。めちゃくちゃハードだったけど、自分の人生にとって価値のあるものを手に入れるには、努力しなくちゃいけないわけで。実際、あのツアー中における人生の最高の瞬間は、自分にとって一生の宝物みたいな大事な思い出になってる。それはメンバー全員にとっても同じだと思うんだよね。ツアー中に経験したハイライトの瞬間って、人生の他のことに対する見え方まで変えるようなインパクトがあるわけで……それと同時に、とことんまで落ちるみたいな経験もしてる。とはいえ、幸いなことにそこまでひどい落ち込みじゃないし、少なくともあのツアーで自分たちが得た喜びの大きさの比ではないけど。

―そのように辛くもあり楽しくもあったツアー生活から学んだ一番重要なことは何だったと思いますか?

デヴィッド:あの経験を通して僕らが学んだのは、「ホーム」っていうのはひとつじゃなくて、いろんな形があっていいんだってこと。仲間と一緒ならそこが自分にとっての「ホーム」なんだよね。大事なのは心から大切に思ってる人たちと一緒にいること、自分が心の底から好きなことをやれていること。ツアーを通してそのことを何度も味わわせてもらった。あのツアーのおかげで「ああ、自分たちは正しいことをしてるんだ、これをやるために存在してるんだ」って何度も強く実感したから。それがどれだけ美しいことか。

―では、そうしたツアー生活での経験が直接的なインスピレーションになって生まれた曲はありますか?

ニコ:間違いなく「Hot Air Balloon」だね、今パッと思いつくのでは……ちなみにコーガンが思いっきり頷いてるのがテレパシーで伝わってきたよ(笑)。

―はい、頷いているのがZoomの画面で見えます(笑)。

ニコ:あれはニューメキシコ州のアルバカーキで、クラッカー・バレルっていう朝食が有名なチェーン店の駐車場にいたときのことで。ちょうど日の出の時間帯で、全然知らなかったんだけど、その日たまたま熱気球(hot air balloon)フェスが開催されてたんだよね。ツアーの移動に使っていたバンから降りた瞬間、空に何百という熱気球が浮かんでて。色とりどりの赤とオレンジが空を一面覆い尽くしてて、これまでの人生で見た景色の中でもトップクラスに美しい景色だったんだ。あれは数少ない「絶対にこれ、後で曲になるな」って確信した瞬間だったよ。実際に曲になったしね。

コーガン:それと、ライブをやることが、曲の演奏の仕方とかレコーディングのやり方に影響を与えたっていうのは、確実にあると思う。アルバムが出る前からツアーでけっこう多くの曲を先に演奏してたのもあるし。特に「Dear Bicycle」の、少なくとも自分のパートに関しては、ライブでもエンディングがなかなか定まらなかったんだけど、現場でプレイしていく中で、どうやって演奏するのかっていうのが自然と形になっていった。まさに観客とのコミュニケーションの中で、揉まれながら形にしていった曲なんだよね。

ニコ:「Choo Choo」なんかもそうだよね。あれはうちのバンドのツアーバンのDottieについての曲でもあるんだ。今ちょうど修理に出してるんだけど、どうか無事で戻ってきますように(笑)。

―ツアー生活には、これまで経験したことがないハードな側面もあったと思います。それを経てすぐに次のアルバムの制作に向かうということで、いわゆる「2枚目のアルバムの難しさ」は感じましたか?

ニコ:たしかにツアー中はめちゃくちゃハードなときもあるけど、クリエイティブな面ではそんなに影響しないっていうか、家にいるときはほぼほぼ曲を書いてたみたいなもんだったんで。とにかく手を動かし続けることだよね。スランプってよく言うけど、そんなもの本当は存在しないんじゃないか、っていうのが素直な自分の感想で。つまり、ただ書く手を止めてるだけなんじゃないかなっていう。少なくとも自分はそうだと思いたい。そのほうが自分がペンを動かし続ける力になるから。実際、今だって家にいてずっと曲を書いてるし。しかも、これまで以上にワクワクしてるんだ。壁があるのかないのかわからないけど、とにかく動き続けるしかない。それしかできないからさ。

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オアシスからフィリップ・グラスまで、新作の影響源

―新作にサウンド面でインスピレーションを与えてくれたアーティストやアルバムは何かありますか? フジロックでの来日時には、トーキング・ヘッズの名前を挙げていましたが。

ニコ:何か特定のアーティストや作品っていうのはあんまり思い浮かばないけど……外から影響を受けるとか、そういう感じではなかった気がする。もちろん、いろんな音楽を聴いて、インスピレーションを受けてはいたけど。歌詞の部分で、個人的にビル・キャラハンからすごく影響を受けてるのはあるけど。ただ、それって今回に限らずで、それで言うなら3rdでも引き続き影響を受けそうだし。

デヴィッド:こういうところから影響を受けてます、みたいな、ハッキリとした影響があったわけじゃないんだよね。みんな色んな音楽を聴いてるし、趣味も惹かれるポイントも全然違ってるから、全部がごちゃ混ぜ状態みたいな。うちのバンドでは影響ってもっと抽象的なもので、その曲なりサウンドなりを聴いたときにどういう感情や風景が立ち昇ってくるかにむしろフォーカスしてる。「このバンドみたいな曲を作りたい」とか、「こんな感じのパートにしたい」っていうやり方じゃなくて……いや、場合によっては、そういうやり方が有効なケースもあるけど、うちのバンドではそんなにメジャーではないね。

ベイリー:本編には入ってない、(日本盤)ボーナストラックの「Necessary」なんだけど、あの曲のドラムは完全にウォーター・フロム・ユア・アイズから影響を受けていて。あのインダストリアルっぽいダンスミュージックが秀逸すぎるから。何年か前に一緒にツアーをまわらせてもらって、すごく刺激を受けたんだよね。「Necessary」のドラムは、間違いなくウォーター・フロム・ユア・アイズからの影響だよ。

コーガン:レコーディングでLAに滞在してたとき、 ローリング・ストーンズの『メイン・ストリートのならず者(Exile on Main St.)』 をよく聴いてたのはあるね。 あれってたしかパリでレコーディングされてるんだけど、雰囲気がLAっぽいっていうか。今までそんなにハマってまで聴いたことはなかったんだけど、レコーディング期間によく聴いてたな。それ以外では、ジョン・コングルトンが手がけた作品を聴き返してた。昼間、現場でジョンが作業するところを見させてもらった後での復習というか、過去の作品を聴いて「なるほど、こういうことを意図してたのか」っていう振り返りのために。

ニコ:特定の影響はないと言いつつ、今思い出したけど 「Certainty」に関しては、もろフィリップ・グラスにインスピレーションを受けてるね。

デヴィッド:あれに関しては、確かにフィリップ・グラスって具体名を出してたね。

ニコ:それと坂本龍一だよね。あの時期めっちゃ聴きまくってたし。坂本龍一とフィリップ・グラスの半々みたいな。ストリングスパートは坂本龍一で、ピアノパートはフィリップ・グラスって感じ。

デヴィッド:そう、真の作曲家が作曲した、みたいな感じを狙いにいってた。「Certainty」に関しては100% そうだよね。

―フィリップ・グラスの影響は以前から公言していますが、どんなところに魅力を感じているのでしょうか?

ニコ:自分でも何に惹かれてるのか、正直わからないんだけど、 大学の頃によく聴いてたんだよね。あの時期ちょっと精神的に落ち込んでて、自然とああいう音楽に向かっていって、それ以来すごく好きで。それと、あのシンプルさだよね。イントロ部分とかすごく入りやすい。「Mad Rush」のイントロとか集中してやれば、30、40分で弾けるくらいのシンプルさで。クラシックミュージック界の中のポップミュージックみたいな感じで、間口が広いっていうか。

デヴィッド:「Certainty」のリズムにも、フィリップ・グラスのあの感じが出てるよね。

ニコ:あー、リズムもまさにそうだよね。

デヴィッド:ものすごく複雑ってわけでもないんだけど、脳内に入り込んでくるタイプのリズムっていうか。

ニコ:それと、スフィアン・スティーヴンスの『Illinois』の影響もある。彼もフィリップ・グラスから影響を受けたことを公言してるし、自分もあのアルバムを聴いて育ってるからね。たぶんメンバー全員、あのアルバムから影響を受けてると思う。

―僕の観点から言うと、「Still Around」のヴァースは初期ブライアン・イーノを彷彿とさせるところがありますし、「Seven Degrees」にはビートルズやオアシスに通じるアンセミックな壮大さを感じたんですよね。

ニコ:あー、なるほど。そういう見方もあるのか。人からの意見って毎回新鮮で面白いね。

デヴィッド:今言われて思い出したよ。さっき「直接的に影響を受けた作品はない」みたいな言いかたをしたけど、あれは完全に嘘だった!(笑)

―どういうことですか?(笑)

デヴィッド:「Seven Degrees」のブリッジのベースラインは、完全にオアシスの曲を参照してる。念のため、曲名は伏せておくけどね。あの、ニコがこっちをジーッと見てるんだけど(笑)。

ニコ:何だろう?……もしかして「Wonderwall」?

デヴィッド:いや、正解は「Champagne Supernova」。

ニコ:そもそも「Seven Degrees」って曲の構造自体によって、あのブリッジが導かれてるんじゃない?

デヴィッド:ああ、たしかにそれはある! ただ、あのブリッジに関しては、今言ったオアシスの曲をチラッと思い浮かべたのは事実だよ。まあ、いずれにしろ些細な影響ってことで。

ニコ:とはいえ、正解だったのは間違いない(笑)。

―嬉しいです(笑)。ちなみに、「the kids are alright」や「once in a lifetime」というフレーズがアルバムの歌詞に散りばめられていますが、これはザ・フーやトーキング・ヘッズからの意識的な引用でしょうか?

ニコ:その通り。自分たちの中でも「あ、あれだよね!」ってなったくらいだし。ナイスな指摘だね。

デヴィッド:マジでナイスなツッコミ!

―今の2つ以外に引用はありますか?

ニコ:他に何かあったっけ……誰か思いつく?

ベイリー:「Something Worth Waiting For」で自分たちの曲から引用してない?(注:1st収録「Statues」の歌詞を引用している)

ニコ:あー、たしかに。「Something Worth Waiting For」はまさに!

デヴィッド:あの曲全体がまさに1stのパクリみたいな(笑)。

ベイリー:自分で自分を引用してるよね。

ニコ:超ナルシストみたいじゃん(笑)。

明日へと進むために、過去を振り返る

―トラック・バイ・トラックのコメントでは、「Something Worth Waiting For」は「今回のアルバムの中で唯一、派手なディストーションによるギターが炸裂する形でエンディングになってる」と話しています。今作は、曲調の幅を広げることも意識的だったということでしょうか?

ニコ:やっぱり、(曲調が広がったのは)さんざんライブで経験を重ねてきたことが大きいと思う。毎回同じことばっかりやってたらさすがに飽きるし、「なんかちょっと違うことをやってみようよ」みたいな、そこから自ずと可能性が広がってきたのもあるし。そもそもデヴィッドとコーガンの2人が入った時点で、自分とベイリーとは別のテイストが入ってるわけで、そこからめちゃくちゃ影響を受けてるのもあるし。エレクトロニック方面の音楽に関しては、特にそうだよね。デヴィッドのおかげで坂本龍一の音楽と出会い、コーガンのおかげでダフト・パンクを本格的に聴くようになったり、あるいはベイリーが好きな音楽からも日々影響を受けてるしね。前よりも影響源が広がってるから、そのぶん可能性も広がってる感じだよね。

―では、このアルバムにおける一番の挑戦は何だったかと訊かれたら、どう答えますか?

コーガン:曲でいったら、個人的には「Something Worth Waiting For」かもしれない。すごく好きな曲でもあり、完成させるまで一番苦労したかもしれなくて。それこそ色んなアレンジを試して、キーも何回も変えて……最終的には2つのキーになったんだけど、途中で転調も入ってくるし。それをプロデューサーのジョンの元に持っていった瞬間に、すべてが収まるべき位置に収まるようにキレイに仕上がったんだよね。とりあえず今の質問を聞いて真っ先に思い浮かんだのがあの曲。今回のアルバムで一番最初に取りかかったのに、一番最後に完成した曲でもあるし。

ベイリー:あと技術的な面では、今回はけっこう多くの曲をクリックに合わせて演奏したんだよね。うちのバンドは普段あんまりクリックを使わないんだけど、今回クリックでやったという、それ自体が一つのクリエイティブな判断であるというか、全体的にソリッドな感じに仕上げるためにあえてクリックを使ってるっていう。バンドってそれ自体が呼吸している一つ生命体というか、生き物みたいなものだから、全員で一緒に演奏してると、どうしたってお互いの音を敏感に聴いて呼応し合っているわけで……そうやってお互いの息に合わせて呼吸を一つにしていく中で、自然とテンポにも揺らぎが生まれてくる。それもまたすごく美しいものではあるんだけど、今回のアルバムではあえてそれをしないって決めたんだよね。むしろある一定のテンポを保ったままのほうが合ってるって感じたから。

―確かに今回は、前作よりソリッドさが際立っていますよね。

ベイリー:それが自分的にはかなり大きなチャレンジだったかなあ……モニターのクリックと同時にバンドの音も意識するっていう、脳みそが半分に引き裂かれてるみたいな(笑)、バンド全体を引っ張りながら正確にクリックに合せることを同時にしなくちゃいけなくて、ものすごく大変だったけど、でもめちゃくちゃ楽しかった! それによって、確実に自分の中のハードルを一つクリアしたって手応えがあったからね。ここから先どんな方向にも進めるっていう、自分自身に対しての証明でもあったし、バンド全体に対しての証明にもなったよね。もしまた将来的にクリエイティブな判断によってクリックでやるって決断したとしても、対応できるっていう確信が持てたから。そこは今回確実に挑戦だったよね。

Frikoが語る「理想の2作目」と一皮剥けた4人体制の新章、フジロック再来日への熱い想い


―では、アルバムの最後に自分が子供の頃に乗っていた自転車に思いを馳せる「Dear Bicycle」という曲を持ってきた理由を教えてください。感傷的なトーンですが、〈Theres kids that want to play around / Dont let them down〉(まだ君と遊びたい子どもが待ってるんだから/そいつらをガッカリさせないでよ)と歌われるように、何かしらの希望も感じさせる曲ですよね。

ニコ:そう。ただ、それってうちのバンドにずっとつきまとってるテーマである気もしてて……ツアー中って自分を振り返る時間がめちゃくちゃ多いんだよ。バンの中だったり飛行機での移動中だったり、スマホもいいかげん見飽きたしっていう状態で。そうすると、自然と色んなことを考えるんだ。これから楽しみなことだったり、ちょっとした後悔みたいなものが次から次へと浮かんでくる。別に大きな後悔があるわけじゃないんだけど、誰だってなんとなく胸に引っかかる瞬間があるわけで……とくに理由があるわけじゃないんだけど、なんとなくふとそういう気持ちになることがある。

―わかります。

ニコ:今回のアルバムの中にある過去だったり自分を振り返ってる瞬間って、ぜんぶそういうふとした気持ちから発生してるような気がする。「少なくとも自分は昔よりも良くなってるし、あのときはあれが自分にとってのベストだったんだよな」って自分に声をかけてるみたいな……今の自分にできることはそれしかないわけで。そこから先また進んでいこう、っていうね。

―「Certainty」でも過去の自分を振り返っていますが、そこからも同じような感傷を感じます。これは、ニコが9時5時の仕事をしていた頃のことを歌った曲ですよね。

ニコ:この曲に関してはもともと色んなヴァースを書いてたんだよね。ピアノのパートだけは最初からあって、バンド用のアレンジも実は一回作ってて。ちなみにライブではストリングスじゃなくて、ギターとかベースで表現する方向でやってみようかと計画中で。歌詞とボーカルに関しては、最初からほぼ一人語りみたいな、ひたすらツラツラと喋り続けるようなボーカルになると思ってたから、とにかく大量に言葉を書きまくってたんだ。そこから最終的に落ち着いたのが、自分が昔、出勤ルートで使ってた交通手段をぜんぶ並べていって、最終的に『トゥルーマン・ショー』みたいに空の中に突然壁が現れてっていうイメージに辿り着いたんだよね。「扉の向こうには何があるのか?」……その答えは誰も知らない。この曲はライブでの構成も面白いから、そっちも早く見てもらいたい。自分がピアノとボーカルで、ベイリーとコーガンがギターで、デヴィッドがベースっていう布陣で、アルバムとは全然違う雰囲気になってるから楽しみにしててよ。

―それは本当に楽しみです。「Certainty」でベイリーは、第三者的な視点のパートを歌っていますよね。フリコでここまで大々的にボーカルを取ったのは初めてだと思いますが、実際にやってみてどうでしたか?

ベイリー:最高に美しい体験だったよ。あれはニコの提案で。デュエットみたいな形で私の声を前面に押し出していこうって言われて、まずそこにグッときちゃって……だって声って、自分が持ってるものの中で一番無防備な自分が出てしまう、まさに自分の分身みたいなものだから。それをこのバンドの中でああいう形で前面に出す機会をもらえたのは、自分にとってすごく大きかった。それとあの歌詞をニコと一緒に歌えたことも感慨深かった。「後ろからずっと見守ってるよ、絶対にはなれないものってあるんだよ」っていう。あれをニコのすぐそばで歌うっていうのが、自分にとってはすごく特別で……だって、もう長いこと友達をやってるんだから。あのフレーズはニコに向けて歌いかけてるみたいなところもあって。私たち2人の関係がそのまま映し出されてる。2人の友情の証みたいなものだよね。

―「Something Worth Waiting For」は、「あと一歩のところでクライマックスに届かない曲」だと説明されています。それは、人生が挫折の連続であることのメタファーだと受け取ることもできますし、それでもいつかゴールに到達することを信じて進み続けることの尊さを表現しているとも受け取れます。自分としてはどのような思いで書いた曲なのか、教えてください。

ニコ:そのどちらにも取れるようにしてあるんだよ。どちらの気分にいても、どちらの解釈を求めてるとしても、そのどちらにも寄り添えるように。聴き手がここから自分の好きなものを受け取ってもらえるように……音楽ってまさにそういうものだと思うから。

―その通りですね。では、この曲をアルバムのタイトルにした理由は?

ニコ:1stのボーナストラックのミックス作業でジャックと一緒にスタジオにいるとき、ちょうど日本とのインタビューがあって……Rolling Stone Japanだったかどうかは忘れちゃったけど、そのとき「次のレコードのタイトルはたぶん『Something Worth Waiting For』になる気がする」って、ジャックに言ったんだ。そのあとメンバーにも話したら全員大賛成で。そこからずっとそのマインドセットのもとにアルバムを作っていったから、最終的にはこれ以外のタイトルはあり得ないっていう感じになってたんだよね。

―ちなみに僕の解釈では、2ndを待ち望んでいたファンに対して、このアルバムは「Something Worth Waiting For (待つ甲斐のあるもの)」だったでしょ? と言っているようにも思えました。

ニコ:たしかに。これから先もずっと、待つ甲斐のある作品をたくさん出していくつもりだからね(笑)。

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フジロックで再来日、一皮剥けた4人の雄姿

―アーティストにとって、アルバムとはある時期や側面のスナップショットだという捉え方があります。だとすれば、1stと2ndはそれぞれ自分たちにとってどんな瞬間のスナップショットだと言えますか?

ニコ:2ndから参加したデヴィッドとコーガンの感想は?

コーガン:このアルバムを振り返って思うのは、自分の居場所を見つけようとしてる、あるいは見つけた自分っていう感じかな。この4人の中で、フリコというバンドの中における自分自身や、自分自身の声を見つけるまでの軌跡が記録されている。今こうして曲作りにも深くかかわるようになって、前よりもずっと居心地がよくなってる。別に前が居心地悪かったわけじゃないんだけど、昔の自分の音を聴くと「ああ、試行錯誤してるんだなあ」っていう、手探り感が伝わってくるから。今回のアルバムからはこの4人の中における自分の居場所がどこにあるのかを探って、実際にその居場所を見つけるまでの自分の姿が映ってる気がする。

デヴィッド:自分の中ではもっとボンヤリとしたものというか……さっき君が言ってくれたみたいに、今回の曲ってどれも少し感傷的なところがあって。自分がこのアルバムを作ってた頃の感覚がまさにノスタルジーじゃないけど、自分の青春時代の一部を取り戻すみたいな……今年で30代になるからさ(笑)。アルバムの発売日から3週間後とかに30歳になるんだよ。というわけで、リリース時点ではまだギリギリ20代だと主張したい(笑)。

―はい(笑)。

デヴィッド:そういう人生の節目のタイミングでこの作品に関わらせてもらってるわけで。書いてるあいだにこれまでの道のりを振り返って、そこから断片を拾い集めていくみたいだったというか。アルバムのビジュアル面ではずっと白黒のイメージが浮かんでたんだけど、ベイリーに「青が見える」って言われて、自分でもこのアルバムのどこに青を感じるのか考えてみて、それで思い出したのが、父親が乗ってたトラックなんだよね。自分が子どもの頃に父親が乗ってた青いダッジ・ダコタ。そのトラックの写真を実際に撮ったんだけど、その青からインスピレーションを受けてたり。だからと言って、自分の青春時代にリボンをかけて美しく閉じるみたいな感覚ではなく、見ての通り、まだまだ血気盛んな現役の若者なんでね!(笑)ただ、この4人でこのアルバムを作る過程を通して、自分の子供時代や青春を追体験するみたいな感覚ではあったよね。

―ニコとベイリーはどうですか?

ベイリー:自分の中では、ここ数年のツアーや旅の思い出がぜんぶ詰まってるみたいな感じかなあ。このアルバムの音の中から、みんなの笑い声が聞こえるし、全員がクタクタになってる場面が見えるし、色んな街の風景の中にいる自分とか、4人で一緒に歩きまわってる姿が思い浮かぶ。その全部を一枚の作品としてパッケージできたことがすごく美しいことだなあって。だって自分の一番大好きな思い出や人生のかけがえのない経験の多くが、この何年か、このメンバーと一緒に過ごした時間の中で起こってるからね。そのエモーションをすべてこの一枚の中に収めきったっていうのが、ひたすら感無量でしかないよ。

ニコ:1stのことを思い出すと、まずジャックでありスコットのことも思い出すし、1stをレコーディングしたTrigger Chicagoと Palisade Studiosの風景が思い浮かぶんだよね。もちろんベイリーやルークのことも……当時はまさにその布陣で作ってたから。1stはまさに当時の自分たちであり、僕らの関係性そのものであり、その風景の中にいる自分自身のスナップショットみたいな。だから1stは、自分、ベイリー、ルーク、ジャック、スコットが映ってるスナップショットだね。

―ええ。

ニコ:それに対して今回の2ndは、まさにこの4人だよね。僕ら4人とジョン・コングルトン、それからツアーマネージャーのジャクソンだよね。この数年間、全部の瞬間を一緒に過ごしてきた人だから。だから、僕ら4人と、コングルトン、ジャクソンのスナップショットだと思う。

―では、今のフリコにとって最大の目標を挙げるとすれば?

ニコ:自分にとっては、新しい音楽を作ること、もっと良いレコードを作り続けること。バンドとしても、ソングライターとしても、それ以上に望めることってないと思うから。しかも世界を体験させてもらって、本当に恵まれてることだなって思う。何しろ1stのときに初めて日本に行かせてもらったのだって、自分たちにとっては衝撃的な出来事だったんだから。今からまた日本に行けるのが楽しみで仕方ない。あ、デヴィッドが激しく同意してる(笑)。

―前回のインタビューのときは、キャリアの積み方に関してはミツキがロールモデルだと言っていましたよね。

ニコ:うん、音楽的にというよりもキャリアとして、自分のやりたいことを自分のやり方で徹底的にやってるってところでね。しかも完全に独自のペースでやってるし、アーティストとしてもキャリアとしても、今でも完全に自分自身で権限を握ってる気がするし、容赦なくガチにして実直なアーティストだと思う。だから、フジロックの日曜のミツキのパフォーマンスがすごく楽しみで! 他にも素晴らしいアクトがたくさんいるけど、ミツキは特別というか、マジで貴重なステージになると思う。

デヴィッド:これって世界中の優れた音楽に共通してることだと思うんだけど、ひたすら寛大なんだよね。聴く者に与えて与えて与えまくってくれる。聴き手に何かしら要求することがあったとしても、必ずそれ以上のものを返してくれる。ミツキってまさにそういうアーティストだと思うし、他にもそういうことができる素晴らしいアーティストはたくさんいる。だから、誰か特定のロールモデルを目指しているっていうよりは、聴く人にそれ以上にもっと大きなものを返せる音楽を作り続けることが目標かもしれない、そこが本当に大事だと思ってる。

ミツキと同じく、フリコもフジロック日曜・3日目(7月26日)に出演

―ニコがさっきから言っているように、今夏はフジロックでの来日が控えていますよね。2回目の出演となりますが、今回はどんなライブを期待していいでしょうか?

ニコ:今のこの4人体制になってから、もう100から150本くらいのライブをやってきてるんだよね。だから、初のフジロックのときとは全然違う。初めてこの4人でフジロックのステージに立ったときには「よし、4人で世界をあっと言わせてやるぞ!」みたいな殺気立ってた感すらあったけど(笑)、今ではバンドとして完全に一体化して強化されてるからね。ただひたすらフジロックのステージに立つのが楽しみで仕方ないよ。

デヴィッド:フジロックに初めて出たときは、内心、「いや、こんなにうまい話があるわけがない。絶対、途中で何かトラブルなり良からぬことが起きるはずだ」って緊張しまくってた(笑)。でも今は、ただもう心からフジロックで演奏するのが楽しみで仕方ないよ。あの体験って、このバンドをやってきた中でも一番のハイライトみたいなもので、一生忘れないと思う。しかも、こうしてまたあの場に呼んでもらえるなんて感謝でしかない。というか、あのときってまさに今の4人体制で初めてのライブだったから、「結果がどうあれ、ただやるしかない!」みたいな、当たって砕けろ的なところもあったけど、今はそれなりに場を掌握できるようになってるんでね。

コーガン:そう、今回はより自信のついた堂々たるステージを見てもらいたい。もちろん前回のフジロックも楽しみだったけど、それ以上に緊張しまくってて。今デヴィッドが言ったように、この4人体制になって自分がギタリストとしてフルセット弾いたのは、あのときが初めてだったから。当時は今みたいにまだ身体レベルで曲が入ってた状態ではなかったし、ただただ必死だったけど、今は違う。4人としての演奏が板についてるし、すごく居心地が良くて、前よりずっと良いサウンドになってるって自覚してる。それだけこの4人でさんざん一緒に演奏してきたことから培われた自信があるからね。ただ楽しみで仕方ないよ。

ベイリー:うん、今言ったこと全部に同意。とはいえ、今回も確実に緊張するはず(笑)。前回だって、めちゃくちゃ緊張しまくってたし。すごく特別な場だし、あんな大舞台で緊張しないわけがない。ただ、その緊張感を楽しさに変えられたらいいな。会場もすごく美しいし、あの場所に立たせてもらえるだけでもすごく幸せだよね。というか、とりあえず楽しみで仕方ないかも。早くまたあの場に立って演奏したいって気持ちだよ!

Photo by Adam Powell

Frikoが語る「理想の2作目」と一皮剥けた4人体制の新章、フジロック再来日への熱い想い
Something Worth Waiting For | Friko

フリコ
『Something Worth Waiting For』
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日本盤ボーナストラック2曲収録
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FUJI ROCK FESTIVAL '26
2026年7月24日(金)~26日(日)新潟・苗場スキー場
※フリコは7月26日(日)出演
公式サイト:https://fujirockfestival.com/

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