燕郊鎮は河北省廊坊市にある、北京市に隣接した地域だ。最近ではマンションも多く建てられ、北京市のベッドタウンになった。北京駅と燕郊駅を結ぶ高速列車の運行が始まった12日にメディアは「今までは渋滞で1時間もかかっていたのに、高速列車で便利になる」などと、利用者の喜びの声を伝えた。
北京駅と燕郊駅間の所要時間は21分になった。地下鉄との乗り継ぎを考えても、北京部中心部への通勤が極めて楽になったという。同列車には多くの乗客が詰めかけた。座れない人も出るほどだった。
記事はさらに「16日には連結車両を増やして輸送力をさらに増強」などと伝えた。
中国メディアの中国新聞社は23日付で、北京・燕郊間を結ぶ通勤高速列車便が1月31日をもって、運行を停止すると報じた。乗車率が3割に満たず、「1人も乗っていない車両」まで出現したためだった。開業時のにぎわいは消え失せた。足はあっというまに遠のいた。
中国は春節(旧正月)期に1週間の連休が設けられる。今年の連休は「旧暦大晦日」である2月18日だ。通勤客は平時よりもずっと少なくなる。通勤高速列車の運行停止は、春節期の帰省客/旅行客の激増に対応する車両のやりくりも関係しているとみられる。
ただし、同列車便の運行再開は未定とされている。
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◆解説◆
上記記事には、興味深い点がある。
中国の場合、経済行為が政界などの有力者の一存で決まることがある。北京・燕郊間を結ぶ通勤高速列車の運行開始についても、どのような経緯で決まったのか疑問が残る。
次に驚かされるのが、運行停止の決定の速さだ。中国人のビジネス感覚の特徴として「機を見るに敏」という特徴がある。「これは儲かる」と思えば、ただちに参画する。「赤字が拡大するばかりだ」と判断したら、ただちに次のステップに移行する。このあたりは「見事だ」と評価することもできるだろう。
写真は同話題を報じる中国新聞社報道ページよりキャプチャー。発車前の同列車。客の姿は見当たらない。見出しには「惨憺たる乗車率」の表現が見える。
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