中国では国土の砂漠化が問題となっている。ほとんどが西部や北部の内陸部に集中しているが、砂漠化が進めば黄砂の拡大や利用可能な土地の減少といった問題が深刻化することになるゆえ中国政府もさまざま対策に乗り出している。
中国メディアの今日頭条は2日、中国で7番目に大きい砂漠である内モンゴル自治区のクブチ砂漠と「ある日本人の深いつながり」を紹介する記事を掲載した。

 クブチ砂漠のなかに位置する恩格貝生態観光区は、総面積がおよそ2万ヘクタールで、その砂漠地帯のうち4分の1が緑化されている。そして、2009年には国が指定する4A級観光地となった。今も毎年、国外から訪れるボランティアによって植樹活動が続けられており、世界からも砂漠の緑化に成果を上げた場所として注目されている。しかし、このクブチ砂漠で植樹活動を始め、自身の人生をかけて尽力した1人の日本人については中国ではあまり知られていないようだ。

 記事は、世界でも有名な砂漠の緑地化の専門家として遠山正瑛氏について紹介した。遠山氏は1990年、83歳にしてクブチ砂漠の恩格貝地区を緑化することを志し、多くのボランティアを率いて植樹活動を開始した。記事は、遠山氏の活動は「天地を揺るがす偉大な事業であった」と指摘し、その理由として「遠山氏が自らの私財を投げうって植樹活動を続け、また彼の呼びかけに賛同した多くの日本人も自費で内モンゴルに赴き、10数年にわたる偉業を成し遂げたからだ」と説明した。

 また、遠山氏の呼びかけにより、恩格貝地区の砂漠化問題は国際的な関心を集め、海外からも植樹ボランティアが訪れるようになり、今も脈々とその志が広がっている。遠山氏は2004年に97歳で亡くなったが、その偉大な貢献に感謝を表すために、恩格貝生態観光区には遠山正瑛記念館が建てられている。そして遠山氏の功績を知った中国人は「中国にも緑地化の専門家はいるが、遠山氏のように自ら有言実行する人はいない」と述べることを紹介した。

 現在、恩格貝生態観光区は80元(約1300円)の入場料を払って観光ができる観光地となっている。
多くの中国人が恩格貝生態観光区を訪れ、その緑化を成し遂げた遠山氏の志を知り、それを脈々とつなげていくことを願いたい。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)


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