第1首は、故郷への思いが共感を呼ぶ『静夜思』(李白)。「床前明月光,疑是地上霜。(床前 月光を看る 疑うらくは是 地上の霜かと)」で始まるこの詩は、「挙頭望山月,低頭思故郷。」と続く。ホームシックを感じる時に、誰もが口ずさむ詩として今も愛吟されている。
第2首は、『遊子吟』(孟郊)。「慈母手中線,遊子身上衣。」と、母親が旅立つ我が子を思う詩。第3首は、野原の草を燃やしても春風が吹けばまた生えてくる、という前向きな一節が有名な『古原の草を賦し得て送別す』(白居易)。第4首は、兄弟げんかをいさめる『七歩詩』(曹植)。第5首は、尽きせぬ探求心をうたった『鸛鵲楼(かんじゃくろう)に登る』(王之渙)。
第6首は、異郷での孤独感に胸打たれる『九月九日山東の兄弟を憶(おも)う』(王維)。第7首は、「窈窕(ようちょう)たる淑女は君子の好逑(こうきゅう)」と男女の愛をうたった古詩『関雎(かんしょ)』(詩経)。
記事の筆者は、影響力の大きさという観点から、「通俗的で分かりやすく、覚えやすい」というポイントを考慮して上記の10首を選んだという。全く聞いたことのない詩もあれば、中学校や高校の教科書で見たような気がする、という作品も含まれていたのではないだろうか。遠い昔に作られ、今も中国の人々の心に影響を与え続ける漢詩。他国の文学ながらその情感を味わえるのは、漢字文化を共有する日本人ならではと言えるかもしれない。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)
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