文学部を卒業し、新卒で建設業界に
――現在も建設現場に勤めながら、インフルエンサーとしても活動をされているわけですか。プリンセスゴリラ:はい、新卒で建設業界に入り、同じ業界内で転職をして2社目です。実のところインフルエンサーというものが何たるか、いまいち私もわかっていないのですが、収益化できているのでインフルエンサーなのでしょうね。
――文学部卒業で建設現場、というのはなかなかギャップを感じますね。
プリンセスゴリラ:そうかもしれませんね。読書は現在も好きだし、学生時代もそれなりに読んできたと思います。そんな“文学少女風”が建設現場にいるのは違和感があるかもしれません。ただ、意外と本人はやりがいを感じて仕事をさせてもらっています。
――入社からすぐに溶け込めるものですか。
プリンセスゴリラ:いえ、最初は絵に描いたようなポンコツでしたよ。
インフルエンサーの収益は「寄付している」
プリンセスゴリラ:いえ、実はまるまるを寄付しておりまして。学生時代から寄付は細々と続けているわけなのですが。
――普段の面白い投稿とはまた違う一面ですね。
プリンセスゴリラ:あまり自分から「寄付してます」というのも何だかなと思いまして。それと、自分の金になると思ったら私はがめついのでインプレゾンビみたいに無意味な投稿したりしちゃいそうで(笑)。なので、純粋に自分の投稿が評価されたらその分だけをそっくりそのまま寄付することにしているんです。毎月3~4万、多いときで5万くらいですけれども。
――差し支えなければどんな団体に寄付しているのかを教えてください。
プリンセスゴリラ:主に女性や子どもの人権を守るための団体ですよね。学生時代、私は授業の一環としてボランティアに参加したんです。そこで、世界には8歳くらいの女の子が50歳くらいの男性と結婚させられる現状があることを初めて知りました。
大学で友人がひとりもできなかった
プリンセスゴリラ:たくさんいらっしゃいましたね。みんな本当に品が良くて性格も良くて……。私はそういう上流階級の家庭出身ではないので、大学にはぜんぜん馴染めませんでした。学内には友人と呼べる人がひとりもできなくて、そのまま卒業しました(笑)。友人がいないので、授業で代返(友人が代理で返事をして出席扱いにすること)してくれる人もいませんので、授業は相当真面目に受けていたと思います。
――プリンセスゴリラさんが育ったご家庭について教えてください。
プリンセスゴリラ:生まれも育ちも福岡県で、大学進学で上京するまでいました。
なぜか両親は離婚していた
プリンセスゴリラ:いや、変ではあります。母は性格的に非常に社交的で明るく、どんどん外に出ていくタイプの人です。父は保守的な性格で、「女は結婚したら家庭に入って、子どもの面倒をみる」という価値観です。私が就職したときも、そうあってほしいと思っていたと思います。そんな正反対のふたりだから、子どもながらに「なんで結婚したんだろう」と思っていました。当時、母はバイヤーとしてさまざまな場所を飛び回っていて、たまに家に帰って来る感じだったんです。ところが、私が20歳になる頃にパスポート取得のために戸籍を取り寄せてみたところ、両親が離婚していたことがわかりました(笑)。それも小学校低学年くらいの時点では別れていて……。どういうこと? となりましたね。
――同じ疑問を呈するようですが、本当に「なんで結婚したんだろう」と思いました。
プリンセスゴリラ:父親いわくなのですが、もともと合コンか何かで母とは知り合ったようです。しかしそのときは何もなく、たまたま航空機内で彼女がCAとして勤務していたのを見かけたそうなんです。お客様の赤ちゃんを代わりに抱っこする母を見て、「まさに聖母だ。絶対にいい母親になる」と確信して、アプローチをかけたらしいです。ただ、母の中身はまったく違いますから、見当違いなのですが(笑)。
「アンチは養分」と断言
プリンセスゴリラ:いや、全然していないです。ちょっと前は、会社に持っていっている弁当が「生ゴミみたいだ」とプチ炎上していましたね。ジップロックのなかに具材を入れて持ち運んでいるだけなんですけど……弁当箱も不要だし、汁も漏れないし、そのまま捨てられるし良いことだらけだと思うんですが、話題になってしまいましたね。
――炎上すると精神的にきつくないですか。
プリンセスゴリラ:きつくないです。心のなかで「アンチありがとう」って思ってますね。燃えれば燃えるほど収益が伸びて、寄付がたくさんできるので。アンチは養分です。
――すごいメンタルです! お話を聞いていると、誰かを応援することが好きなように感じます。
プリンセスゴリラ:それはあるかもしれません。福岡出身ということもあって、ソフトバンクホークスが好きなのですが、現在は2軍の選手に非常に思い入れがあるんです。Bambiesという団体があって、若鷹応援メディアとして彼らを応援するサイトを立ち上げている方々がいます。私はこれを見ながら、2軍選手の動向を知るのが日課となっています。
――どんなところが魅力ですか。
プリンセスゴリラ:彼らは1軍を目指して熱い気持ちでプレイしていて、その目はギラギラしています。でも現実は、明日契約を切られる可能性もあるわけです。
――今後の展望を聞かせてください。
プリンセスゴリラ:欲張りなので3ついいですか。
――どうぞ(笑)。
プリンセスゴリラ:ひとつは現場で大きな工事を経験することですね。そして、2軍の始球式で投げること。最後に、もっと自分が有名になってこれまで寄付に興味がなかったり考えたこともないような人たちが、行動するきっかけになることです。
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インタビュー終わりに、改めてプリンセスゴリラさんの名刺に目を落とす。軽やかに颯爽と駆け抜け、それなのに思慮深い彼女の輪郭が、はっきりと浮かんだ。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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