◆日本生命セ・パ交流戦 2025 ソフトバンク3―7巨人(11日・みずほペイペイドーム)

 迷いはなかった。巨人・岸田行倫捕手(28)の積極的なスイングが勝利の扉を開けた。

初回2死一、二塁。初球だ。前田純のカーブを中前へ運んだ。「(先発の)西舘を援護してあげたかったので、良かったです」。2試合ぶりの先発で先制の決勝打を放った。生還を見届けると、一塁ベース付近で両手を上げて上体を少し傾けながら、左足を上げるパフォーマンス。「(小林)誠司さんとかがやり始めて、その流れでやってる」と、ドジャースの大谷らも行うヒップロックポーズで喜びを分かちあった。

 Hランプをともし続けた。2回2死満塁では右前への2点打。さらに7回先頭で中前、9回1死一塁では右前打を連ね、自身初の4安打をマークした。「たまたまですけど、打てるにこしたことはないです」とニッコリ。捕手としては今季初先発の西舘を引っ張り、攻守で白星をアシストした。

 指揮官との“特訓”に結果で応えた。雨天中止となった3日のロッテ戦(ZOZO)の練習中。室内練習場で阿部監督から声をかけられた。「キシも打ちたかったら来ていいぞ」。指揮官が打撃投手を務めながら、個別で打撃練習。リチャードとともに1時間以上バットを振った。「ファームの監督になられた時から僕もずっと一緒にファームでやっていて、特打とかも選手を思っていっぱい投げてくださる」。直近の出場2試合で6安打8打点。感謝の思いをバットで示している。

 昨季は自己最多の88試合に出場したが、今季序盤は出番が激減。それでも徐々に出場機会を増やして、戸郷、グリフィンの先発時にマスクを任され、甲斐、大城卓、小林ら侍ジャパン経験者がそろう捕手陣の中で存在感を発揮している。「勝つことが一番だと思う」と岸田。

勝利のために攻守で奮闘し続ける。(宮内 孝太)

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