◆日本生命セ・パ交流戦 2025 オリックス2×―1巨人=延長11回=(14日・京セラドーム大阪)
十分に先発の仕事を果たした。下を向いてマウンドを降りるF・グリフィン投手(29)に、大阪のG党から温かい拍手が送られた。
エース・宮城との左腕対決で投手戦を繰り広げた。最速150キロの直球にスライダー、カーブ、チェンジアップなどを丁寧に散らして5奪三振。5回1死一、三塁から内野ゴロの間に先制を許したが、最少失点でゲームメイクした。「ターニングポイント」と振り返った6回1死一、三塁では杉本を併殺斬り。「すごくうれしかった」とクールな男が感情をむき出しにした。
ナイスガイらしく、真剣勝負の中でもリスペクトを忘れなかった。3回先頭。誕生日を迎えたオリックス・大城を祝うため敵軍スタンドからバースデーソングが流れた。すると、セットに入らず演奏が終わるまで靴ひもを結んで時間を作る粋な計らいを見せた。
球団トレーナーは言う。「グリフィンはスーパーナイスガイだよ。本当に、日本人よりも気遣いができる」。日頃の練習中、スタッフが他の投手のサポートで忙しそうにしていれば、たとえ用があっても自分からは決して声をかけず黙々と待つ。そんな気配り上手な人柄だからこそ「グリが気を使ってくれるからこそ、こっちも気を使わせないようにしたいと思える」と周囲からの信頼も厚い。
防御率は0・78に上昇。再び見せた熱投に野手陣も好守や一時同点劇で報いようとした。「得点圏に走者を置いた時の制球がよかった」と前を向いた左腕。今季7先発全てでコンビを組む岸田ともイニング間に入念に話し合い、ベストを尽くした。(堀内 啓太)