第107回全国高校野球選手権大会(8月5日開幕・甲子園)の出場切符を懸けた南北海道大会が10日、札幌円山球場で開幕する。9日に公式練習が行われ、出場全16チームが調整した。

28年ぶりの優勝を狙う函館大有斗は、10日の初戦で札幌旭丘と対戦。最速146キロ右腕・長谷川結斗(3年)が函館地区予選に続き、全試合完投を目標に掲げた。

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 古豪復活へ、函館大有斗の大黒柱が南大会でもフル回転する。昨夏以来となる札幌円山球場のマウンドで投球練習し、感触を確かめた長谷川は「2年連続で2回戦(8強)で負けて、エスコンに行けていない。今年こそは壁を越えてエスコンに行く」と腕をまくった。

 昨秋から2季連続地区予選敗退に終わり、ノーシードで迎えた夏。今春敗れた函館工にリベンジ(5〇3)するなど、3試合23イニングを1人で投げ抜いた。ボール先行の場面が目立ち、満足のいく投球内容ではなかったものの、「良くなくても抑えられる。悪くても我慢強く投げられるようになったかな」と、片口伸之監督(45)は成長を認める。

 2年夏から背番号1を背負い、同秋には自己最速146キロを計測した。今年のオフは坂道ダッシュなど瞬発系のトレーニングを多く取り入れ、130キロ台後半だったアベレージは140キロ台までアップ。最速こそ変わらないが、新球種のツーシームを習得して投球の幅を広げ、昨夏とは違う姿で円山に帰ってきた。

 春夏合わせて13度の甲子園出場を誇るが、1997年夏を最後に聖地からは遠ざかる。レギュラー6人が1、2年生の若いチームを引っ張る右腕は「自分のやれることだけを意識して、一つずつ勝つ。理想は全試合1人で投げ抜きたい」。頂点まであと4勝。函館出身の「ゆいと」が、地元の名門「有斗」を甲子園に導く。

(島山 知房)

 〇…函館大谷は1975年以来50年ぶりの勝利を目指す。3季通じても2012年秋以来となる道大会の舞台。シートノック中心の公式練習を終え、後藤永匡監督(48)は「たった20分でしたけど、全然やりたいことができなかった。試合まで時間があるので、整えて初戦を迎えたい」と気を引き締めた。初戦は地区3戦39得点の北照戦。強打の相手との試合を前に、「ピッチャー3人、総力を結集して勝ちゲームをつくりたい」と力を込めた。

 ◆南北海道大会展望 実力が拮抗(きっこう)しており、混戦ムードが漂う。

その中でも、安定した投手陣で春全道を制した北海が総合力で一歩リード。U―18日本代表候補の窪田洋祐投手(3年)擁する昨年の覇者・札幌日大も引けを取らない。強打の北照、エース左腕・寺田七将(3年)が復帰した駒大苫小牧、昨夏準Vの立命館慶祥、センバツ代表の東海大札幌を破った北星学園大付、春全道4強の知内もV争いに絡んできそうだ。

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