◆第107回全国高校野球選手権石川大会 ▽準々決勝 星稜7―5日本航空石川=延長11回タイブレーク=(23日・金沢市民)

 2年ぶりの優勝を狙う星稜は延長11回タイブレークの末、7―5で日本航空石川を下し準決勝進出を決めた。8、9回には満塁のチャンスも無得点に終わったが、5―5の延長10回1死一、三塁のピンチで、エース右腕の道本想(3年)が緊急登板。

コンディション不良で登板回避の方向だったが、自ら登板を志願した。

 道本は「打たれても仕方がない、と開き直った。自分のベストを出そうと、プレッシャーは特に感じなかったです」とケロリとした表情。初球から全力投球を見せ、自己最速の149キロをマーク。伸びのあるストレートで2者連続の空振り三振で乗り切ると、2点をリードした11回も一ゴロ、2三振と圧巻の投球を見せつけた。

 不調だったエースが意地を見せた。3回戦の金沢龍谷戦で先発したものの、精彩を欠いて7回1/3を5安打4四死球5失点で降板。「フォームもバラバラで、体調も良くなかった」。決してコンディションは良くなかったが、練習量も上げながらフォームを見直して調整してきた。

 優勝候補同士で3時間20分に及ぶ総力戦となったが、4人の投手リレーで乗り切った。試合後、選手たちの奮闘ぶりに、山下智将監督は思わず涙を浮かべた。「私が一番、冷静にならないといけないのですが…。

なかなか、チームが一つにならない時期もあったが、苦しい場面ではみんなでミスをカバーできた。選手たちの成長が一番うれしい。また生徒と一緒にしっかりと練習して、次に挑みたい」と指揮官。ライバルチームを倒し、2年ぶりの夏甲子園を目指す。(中田 康博)

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