◆第107回全国高校野球選手権栃木大会 ▽準決勝 作新学院5X―4国学院栃木=延長10回タイブレーク=(25日・エイジェックスタジアム)

 国学院栃木が2時間50分に及ぶ死闘の末、作新学院に敗れ決勝進出を逃した。

 2点ビハインドで迎えた7回に3点を追加し、一時は逆転に成功。

しかし、直後に同点に追いつかれると9回で決着がつかず、延長戦に突入した。10回1死満塁のチャンスも併殺打で無得点。直後にサヨナラ犠飛を打たれ、力尽きた。

 試合後、背番号1・辺見斗磨(2年)の胸元は涙でびっしょりになっていた。今大会は2年生ながらエースナンバーを任され、全試合に登板。抜群のコントロールを武器に凡打の山を築き、チームを準決勝まで導いた。この日も4回2死一、二塁から登板。ピンチを無失点で乗り越え、9回まで1失点に抑えた。

 そんな右腕が悔やんだのは最後の1球。低めを狙った変化球が甘く入り、外野まで運ばれた。「良いバッターなので、甘く入っちゃいけないと思っていた。作新(学院)さんの気持ちの強さ、本気度に怖さが出てしまった」と精神面の弱さを痛感した。

チームを率いる三浦純監督も「『本当に甲子園に行けるんだ』と思えないとこの壁は越えられない」と精神面での成長が必要だと分析した。

 昨夏は決勝で惜敗。今年も準決勝の舞台で涙をのんだ。2年生エースは「(入学から)悔しい思いを2回もした。今大会は先輩に助けられて、自分の良さが出せたので、新チームは自分がチームを(勝利に)導きたい」。涙であふれる瞳の中に強い覚悟をのぞかせた。自分の弱さを認め、成長を誓ったエースが涙を拭いて、前へ進む。(高澤 孝介)

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