◆米大リーグ ロッキーズ4―11ドジャース(19日、米コロラド州デンバー=クアーズフィールド)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が19日(日本時間20日)、敵地ロッキーズ戦に「1番・DH」でフル出場し、6戦ぶりとなるリーグトップタイ44号を放った。打球角度19度は、今季最も低弾道の一発。

前夜に悪夢のサヨナラ負けを喫したチームを18安打11得点の圧勝に導いた。20日(同21日)は、節目となる自身メジャー通算1000試合目の出場。今季10度目の先発で、エンゼルス時代の23年8月9日(同10日)のジャイアンツ戦以来742日ぶりの白星を狙う。

 クッションボールを処理しようとフェンスを向いた相手右翼手が、うなだれるように肩を落とした。大谷の弾丸ライナーが右中間のブルペンに吸い込まれた。3―0の2回2死。左腕ゴンバーの内角低め直球を振り抜くと、初速115・9マイル(約186・5キロ)で飛び出た打球が一直線にフェンスを越えた。

 6戦ぶり44号の打球角度は今季の本塁打では最小の19度。一般的に長打になりやすいとされる「バレルゾーン」は打球速度158キロ以上で打球角度は26~30度。衝撃の“超低空弾”に、ロバーツ監督も「本当にバットがよく振れている。とても見事だった」と絶賛した。

 大谷がメジャーで放った269本塁打で、自己最大の打球角度は46度(24年7月25日の本拠地ジャイアンツ戦)。

日米通算250号の節目に到達した一発で、112・6マイル(約181・2キロ)、滞空時間7秒1、最高到達点は181フィート(約55メートル)だった。一方、この日放った一発の滞空時間は4秒で、最高到達点は54フィート(約16メートル)。両極端なアーチに大谷のすごみが凝縮している。

 チーム126試合目で44号は、本塁打王に輝いた昨季を上回るシーズン56発ペース。標高約1600メートルに位置し、打球の飛距離が伸びる「打者天国」とも呼ばれるクアーズフィールドでは、今季5戦3発となった。試合前、フィリーズ・シュワバーが44号を放ち単独トップに立ったが、すぐに追いついた。

 2得点を記録し今季120得点にも到達。ブルックリン時代の1890年ハブ・コリンズがマークした球団記録「148」を上回るシーズン154得点ペースとなった。1番打者としてチームをけん引する姿に、指揮官も「ショウヘイが出塁して得点を挙げる事実は、彼が我々のチームにどれほど価値がある存在かを物語っている」と感謝した。

 チーム打撃に徹している。8月は全17試合で出塁を記録し、63打数24安打の打率3割8分1厘と絶好調だ。一時は大振りが目立ったが、最近は追い込まれてから、コンパクトなスイングにするなど新たな挑戦も。

直近5戦では複数三振もなく、献身的な打撃が目立つ。

 試合後はマウンドの状態を確認し、シャドーピッチングを実施。5イニングの登板を予定する20日(同21日)に備えた。節目のメジャー通算1000試合目の出場で、23年8月9日以来となる742日ぶりの勝利へ―。チームのために投打で躍動する。(竹内 夏紀)

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