◆米大リーグ オリオールズ―ドジャース(5日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパーク)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が5日(日本時間6日)、敵地・オリオールズ戦に「1番投手兼DH」で先発出場。投手としては3回2/3を3安打無失点5奪三振で降板した。

メジャー移籍後の最速(101・7マイル)に迫る101・5マイル(約163・3キロ)を計測するなど、体調不良から復帰後初マウンドとは思えない球威を披露した。

 ベーブ・ルース生誕の地として知られるボルティモアではエンゼルス時代の23年5月15日(同16日)以来2年ぶり3度目の登板。初回は3番ヘンダーソンのバットをカットボールでへし折って二ゴロに打ち取るなど3者凡退。2回。2死から6番リベラに初安打となる中前打を許したが、続くビーバーズからスイーパーで空振り三振を奪うと大きくほえた。

 3回は1死から9番メヨのボテボテの打球が不規則な回転でファウルゾーンから一塁フェアゾーンへ。大谷は自ら処理して両手でタッチアウトにしたが、右手首を気にするしぐさもあった。四球と内野安打で2死一、二塁とされたが、ヘンダーソンを投ゴロに仕留めてピンチを脱した。しかし、味方が2死満塁のチャンスを逃した直後の4回。先頭の4番マウントキャッスルに三塁線を破る二塁打を許し、暴投で無死三塁。ここでセットポジションからノーワインドアップになると、ギアチェンジした。100マイル(約160・9キロ)超を連発し、5番カウザーは100・9マイル(約162・4キロ)直球で空振り三振。

6番リベラには101・5マイル(約163・3キロ)直球などで追い込み、最後はスイーパーで空振り三振に斬った。球数70球に達し、2死三塁の場面で2番手バンダに交代となった。

 この日は登板予定だったグラスノーが背中の張りを訴えて登板回避。体調不良で3日(同4日)の敵地・パイレーツ戦の登板を回避し、8日(同9日)の本拠地・ロッキーズ戦で先発することが発表されていた大谷の“漢気登板”が決定した。試合前に取材に応じたロバーツ監督は「最も重要なのは翔平が気分がいいと感じていること。病み上がりではあるが、トレーナーや関係者全員が(登板することを)了承した」と明かした。

 指揮官によると「今日の午後になってタイラー(グラスノー)が背中の張りを訴えた。昨晩遅くに(ボルティモア行きの)飛行機から降りた後に何かあったようだが、我々は無理をさせないようにするのが最善だと判断した」と説明。プライアー投手コーチを通じて登板を打診したのは試合開始約5時間前の現地午後2時頃だったというが、大谷は快諾した。指揮官は「先発投手は数日後に登板するためのルーチンがある。それを急に変えるというのはチームが必要としていることを彼が理解している証拠だ。翔平はチームを助けたいと思っていて、私は本当に尊敬している」。

全ては3連敗中で4日(同5日)に地区優勝マジックが消滅したド軍のためだ。

 23年9月に自身2度目の右肘手術を受けた「投手・大谷」は今年6月に電撃復帰。11度目の登板だった前回8月27日(同28日)の本拠地・レッズ戦では復帰後初めて5回を投げ切り、2安打1失点9奪三振の快投でエンゼルス時代の23年8月9日(同10日)以来の勝ち投手となった。「感極まることはないですけど…」としつつ、「5回を投げ切れたことが一番いいことかなと思います」と笑顔。リハビリを支えてくれた球団やトレーナーらに感謝の思いを口にしていた。

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