◆JERA セ・リーグ 巨人11×―10阪神(13日・東京ドーム)
巨人軍前監督で、オーナー付特別顧問の原辰徳氏(67)が13日、スポーツ報知に特別寄稿した。指揮官として球団史上最多の1291勝、9度のリーグV、3度の日本一に導いた名将は、レギュラーシーズン最後の阪神戦(東京D)を観戦。
阪神とのレギュラーシーズン最終戦。最後は坂本が試合を決めた。先頭・中山の四球。リチャードのつなぎと浦田の犠打という流れを見ても、取るべくして取った点だった。今季、煮え湯を飲まされ続けた相手に逆転に次ぐ逆転で、ファンの方もわずかばかり留飲が下がる思いだろう。
目指したリーグ連覇というものには、残念ながら届かなかった。優勝した阪神とは、8勝17敗という対戦成績が物語るように、走・攻・守、それぞれにあったわずか差が、長丁場のペナントで大きく開いた。1番から5番までが固定された打線には安定感があり、まさに円熟期を迎えたチームだった。
しかし、日本一を目指せるチャンスはまだまだある。最終的にこの阪神を破るためにどうするか。
今季の巨人の最大の武器は何か。やはり強固な方程式だろう。8回の大勢、9回のマルティネスの安定感は12球団でも1、2を争う。その“伝家の宝刀”をどう抜けるようにするか。先取点が鍵になる。まず、守備に軸足を置いた意識に統一する。投手には「守りは固めるから、とにかく我慢して失点は防いでくれ」と、野手には「一気に複数点を狙うのではなく、1点を積み重ねる野球をするよ」と。“積極的なバント”という策も増えるでしょう。進塁打などのチームバッティングを含め、安打が生まれなくとも自己犠牲のプレーで補えることは少なくない。
その点では、4点を奪った初回の攻撃で岡本の四球が大きな支えとなった。3点を先行された2死一塁、強く振りたくなるところだが、4、5球目と際どいコースを見切り、続く2球はカット。
勝負事は相手に考えさせたら勝ちだよ。「おいおい、終盤はあいつらが出てくるぜ」と思わせるだけで、相手に焦りを呼ぶことだってある。チャンピオンは強いと認めても、リスペクトしすぎる必要はない。堂々とぶつかってほしい。(巨人軍オーナー付特別顧問)