◆秋季兵庫県大会 ▽1回戦 篠山産12―4県伊丹=8回コールド=(14日・ベイコム野球場)

  篠山産が県伊丹に17安打12得点で8回コールド勝ちした。神村学園(鹿児島)と創志学園(岡山)で甲子園に計7度出場した長沢宏行前監督(72)が部員への暴力で辞任。

7月中旬から指揮を執る藤田喜継新監督(42)の下で、3年ぶりに秋季県大会で白星を挙げた。夏の兵庫大会準優勝の報徳学園は、U―18日本代表のコーチも務める大角健二監督(45)が不在のなか、津名に11―1で6回コールド勝ちした。

 歓喜の輪ができた。試合後のミーティング。篠山産・藤田監督の「10秒だけ、はしゃいでいいぞ」という言葉に、ナインはNO1ポーズをつくり、体をぶつけあった。「この子たちにはエネルギーがある。試合中は冷静なぶん、終わってからは喜ぶ時間を与えてあげよう」という粋な計らいだった。

 藤田監督が「長打が出たら一気にいける」と感じた6―4の8回1死一、二塁、千葉陽真右翼手(2年)が右越えに2点三塁打を放った。監督の読み通り、勢いづいた打線はこの回に5長短打で6得点を挙げた。

 新チームは動揺が収まらないまま始動した。7月10日に長沢前監督が部員に暴力を振るい、その後に辞任した。05年センバツで初出場の神村学園を準優勝に導いた名将を慕って入学した部員も多く、ショックは大きかった。

井関春道主将(2年)は「長沢監督とやりたかったけど、一緒にやることがメインではなく、チームが強くなっていくことが一番重要」と強調した。

 藤田監督は選手と対話をする時間を増やし、指導者に相談できない場合は、カウンセラーを紹介して心の傷を埋めようとしている。ポリシーは「子どもたちに野球を思い切り楽しんでもらうこと」。吹き込んだ新しい風が、チームを押し上げる。(藤田 芽生)

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