大相撲秋場所7日目(20日、両国国技館)

 大関取りの関脇・若隆景が新小結・安青錦に押し出され、4勝3敗となった。平成以降で7日目までに3敗を喫した力士が大関に昇進した例はなく、苦しい状況に追い込まれた。

単独首位の横綱・豊昇龍は平戸海をすくい投げで下し、全勝をキープ。横綱・大の里は西前頭3枚目・豪ノ山を押し倒して6勝目。勝ちっ放しの豊昇龍を1敗で大の里と平幕・隆の勝、宇良、正代が追う。

 若隆景の大関昇進に黄信号がともった。立ち合いで踏み込んで前みつを握りかけたが、低く当たってきた安青錦に突き放された。押し合いに後退し、6秒3で押し出された。日頃から心がける下からの攻めのお株を奪われる完敗。思わず首を横に振り、取組後の支度部屋で「切り替えてまた明日」と淡々と話した。安青錦は8月の夏巡業の支度部屋で隣同士。明け荷を置き、仲むつまじく話す姿も見られた。安青錦への意識を聞かれると「また一番集中する」とさえぎった。

 平成以降に大関へ昇進した33人のうち、直近1場所で7日目を終え3敗した力士はいない。

若隆景は好調の豊昇龍、大の里の両横綱、大関・琴桜との上位との対戦を残す。八角理事長(元横綱・北勝海)は「若隆景は押し負けた。今場所は上位が元気で苦しいが、やっていくしかない」と奮起を促した。

 ただ、大関の足固めだった先場所も7日目を終えて3勝4敗だった。8日目から6連勝し、10勝5敗で大関取りにつなげた。「自分のことに集中し、下からの攻めを出していきたい」と若隆景。23年に右膝の大けがで関脇から幕下に転落した男が、勝負の秋場所で正念場を迎えた。(山田 豊)

 ◆平成以降に大関昇進力士の直近場所の7日目まで成績 平成以降、初代霧島から大の里まで33人の新大関が誕生。7日目を終えた時点で2敗は雅山、魁皇、琴欧州、安馬、豪栄道、正代、2代目霧島の7人。3敗で昇進した力士はいない。

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