大相撲秋場所9日目(22日、両国国技館)

 平幕・正代は1敗をキープして勝ち越しを決めた。

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 久しぶりの正代である。

翔猿を土俵の外まで吹き飛ばす地力全開のパワー相撲で豪快に勝ち越した。立ち合いは相変わらずの腰高。顎も上がっていた。この悪癖はおそらく直らないだろう。それでも潜ってきた翔猿の右差し手をとったりで振って、右をのぞかせながら一気に走った。

 相撲の形は変わらないが、今場所は思い切りの良さが光っている。前に出る時はガムシャラに、投げる時は“ぶん投げる”という表現がぴったり。押されても棒立ちにならないから、残った時には前かがみになって反撃することができる。本来の形は左を差してからの右の押っ付け。これが再び完成形に近づけば幕内上位でも活躍できる。

 若手の活躍も素晴らしいが、やはり「昔の名前で出ています」も捨てがたい。早く両横綱との対戦を見たい。

特に豊昇龍との一番は必見。体が大きくない力士は、大きな相撲に弱いからだ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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