◆米大リーグ ダイヤモンドバックス0―8ドジャース(25日、米アリゾナ州フェニックス=チェースフィールド)

 ドジャースが25日(日本時間26日)の敵地・Dバックス戦で快勝し、ナ・リーグ西地区4連覇を決めた。「1番・DH」の大谷翔平投手(31)は、4回に自己最多タイの54号2ラン。

今季は2年ぶりに二刀流に復帰したが、打者に専念した昨季と変わらぬ打棒を見せ、優勝の原動力となった。ポストシーズン(PS)は30日(同10月1日)から始まり、ワールドシリーズ(WS)2連覇を目指すド軍は同日からワイルドカードシリーズ(相手未定・3回戦制)に臨む。

 シャンパンファイトで美酒を浴びた大谷は、少年のように笑った。「本当にみんなここを目指して頑張ってきたので、最後、しっかり決められてよかった」。2年ぶりに二刀流に復帰し、父にもなった2025年。自己最多に並ぶ54号で4年連続地区優勝を彩り、達成感に酔った。

 移籍後2年連続地区Vを決定づけたのは、大谷らしい非現実的なアーチだった。4点リードの4回1死三塁、低めに外れたチェンジアップに左膝をつきそうになるほど体勢を崩されたが、最後は右手一本で払い、中堅右のプールまで運んだ。「うまく拾えてよかった」。6月から二刀流となり負担が増大する中、昨季の自己最多に並ぶ54号2ラン。残り3試合で本塁打王を争うシュワバー(フィリーズ)に2本差に迫った。

 移籍2年目。

全てが自然体になった。同僚のモノマネをして同僚やスタッフと戯れるシーンが増えた。一方で、スーパースターでありながら“イジられ役”でもあるのが、大谷の愛されるゆえん。本塁打を放った際の「デコルテポーズ」は、開幕前、CMに出演した大谷のグラウンド上では見られない姿を首脳陣がミーティング動画に忍び込ませたことがきっかけ。同僚とのルーチンも、ロバーツ監督とのジャンプ&右手タッチ、ロハスとのデコピンポーズなど数え切れない。すっかり常勝軍団に溶け込んだ。

 レジェンドが大谷を認めたことで、名実ともにドジャースの顔になった。8月下旬。右肘のリハビリ段階で中6日以上の間隔が必要だった。その影響でローテ順が入れ替わり、中4日で登板せざるを得なくなったのが、37歳の通算222勝左腕・カーショーだ。ド軍一筋18年の功労者。サイ・ヤング賞3度のプライドもある。

だが、ロバーツ監督の提案にすんなり首を縦に振った。「ウチの選手はみんな、大谷の重要性を理解しているので、柔軟に対応してくれた」と指揮官。野球への真摯(しんし)な取り組み、愛すべき人柄、そして誰もが納得する結果を出し続け、ド軍の中心となった瞬間だった。

 4月には、昨年2月に結婚を発表した真美子夫人との間に第1子の長女が誕生。「(娘を見ると)疲れとかもなくなりますし、それが一番幸せ」と活力になった。全てを野球にささげてきたが、今季は家族に割く時間が増加。心身とも充実した1年を過ごし、まな娘に初めて優勝を届けた。

 投手としてはリハビリ中の6月から登板するという異例の形で復帰。あっという間に山本、スネルと並ぶ3本柱の一角に食い込み、30日(日本時間10月1日)から始まるPSでも先発起用される。「ちょっと(投手として)出遅れはしましたけど、これから先に合わせて後半やってきたつもりなので、しっかりとその仕事ができるように頑張りたいなと思います」。投手に復帰して54発を放ってなお、照準を合わせてきたのは「これから先」の舞台と言い切った。打者一本で世界一を射止めてから1年。

今季は完全体の二刀流で2年連続世界一に挑戦する。

(安藤 宏太)

◆翔平に聞く

 ―今季最初のシャンパンファイト。

 「ここを目指してやってきたので、まだ先にポストシーズンはありますけど、今日はみんなで楽しんで明日以降また頑張りたい」

 ―54号。

 「あの打席は良かった。前の打席(2回1死満塁で空振り三振)でいいところで打てなかったので、取り返せて良かった」

 ―ポストシーズンへ。

 「まだどういうふうに進んでいくか分からないけど、自分の仕事を一人ひとりがやれば必ず勝てると思うので、頑張っていきたい」

 ―打撃の状態は。

 「少しずつ良くはなってきているのかなと思っている。もう少しいい流れに乗れるのかなと思っているので、あと3試合、そこでしっかり準備して臨めれば」

 ―今季のドジャースは。

 「(故障による)離脱者がいたり、なかなか自分も含めて(調子の)いい時期がなかったりとかという中で、みんなが支えてここまで来られた。それはポストシーズンも変わらないと思うし、ここからは個人の成績よりもチームの成績が一番大事になるので、チーム一丸で頑張りたい」

 ―家族らへの感謝は。

 「球場以外の面でもいろいろな人に支えてもらっているので感謝したいですし、球場の中でもフィールド外のところでいろいろな人に支えられている日々が続いている。もう少しですけど、そういう裏方の人たちと一緒に頑張りたい」

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