「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が10月23日の午後4時50分から、都内で行われる。“運命の日”まで残り1か月を切り、視察を重ねる12球団スカウトの「眼」も、さらに熱を帯びている。

スポーツ報知では3人の記者が「イチ推し」のドラフト候補をピックアップするとともに、今秋のドラフトについて展望した。

◆正木悠馬 上智大4年 投手 

 東都3部からのドラフト指名―。そんなロマンを追い求め、ひたむきに腕を振るのが上智大の正木だ。最速153キロの直球に、フォークと2種類のスライダー。今夏新たにナックルカーブを習得したことで投球の幅が広がり、次々と三振を奪っている。

 「3部に150キロを投げる投手がいるらしい」。右腕の存在はスカウトの間で瞬く間に広がり、8月25日に神宮で行われた日大との交流戦には巨人、阪神などNPB10球団のスカウトが駆けつけた。2日に開幕した東都大学3部リーグ・順大戦では、5回を投げ1安打無失点、11K。圧巻の投球で相手打線をねじ伏せた。

 異色の経歴だ。1歳の頃、父の仕事の都合で米アラスカ州へ。小1で日本に戻り小2から野球を始めたが、中2で再び渡米。

米ワシントン州のレドモンド高で高校生活を過ごした。「アメリカは季節によってやるスポーツが違うんです」。野球を軸としながら、秋冬はクロスカントリースキーに励んだ。

 帰国子女枠で上智大に合格。高校までは複数のポジションをこなしたが「一番楽しかったピッチャーをやってみよう」と入学後に投手専念を決意した。1年時に140キロだった直球の最速は、今では153キロに。投手コーチがいないためインスタグラムなどの動画を参照し、独学でここまでのし上がってきた。

 プロへの思いは強い。「(支配下指名に)こだわりはない。自分ではい上がっていくしかないので、そこはあまり気にせず、指名されたら行きたい」。同日の試合を視察したロッテ・菅野スカウトは「(指に)かかったときのボールが面白い。かかるボールの確率が高くなればもっと良くなる」と将来性を評価した。

NPB入りすれば同校史上初の快挙だ。「真っすぐの精度、キレとかそういった部分も全部、ドラフトまでに伸ばしたい」。最後まで努力を続け、夢の扉を開ける。(北村 優衣)

 ◆正木 悠馬(まさき・ゆうま)2002年11月19日、横浜市生まれ。22歳。豊海小2年から月島ライオンズで野球を始め、銀座中では練馬ボーイズに所属。中2から父親の仕事の都合で米ワシントン州へ。レドモンド高では複数の守備位置を経験。上智大で投手に専念し、1年春に救援でリーグ戦初登板。フォーク、カーブ、カット系スライダーとジャイロスライダーを操る。179センチ、83キロ、右投左打。

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