「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が10月23日の午後4時50分から、都内で行われる。“運命の日”まで残り1か月を切り、視察を重ねる12球団スカウトの「眼」も、さらに熱を帯びている。

スポーツ報知では3人の記者が「イチ推し」のドラフト候補をピックアップするとともに、今秋のドラフトについて展望した。

◆奥村頼人 横浜3年 投手

 将来的に奥村頼人は投手か、打者か。スカウトの見方も分かれるほど、両面に高いレベルの可能性を秘めている。名門・横浜の「エースで4番」という重責を担った左腕はこの9月、高校日本代表の一員として世界列強との勝負に臨んだ。日の丸を背負い、託される役割もまた、投手であり打者だった。「国内の同世代で最も野球がうまい選手」と呼んでも過言ではないだろう。

 高校最後の夏は主に打者として暴れまくった。神奈川大会準決勝の立花学園戦では、3点を追う4回先頭、強烈なバックスクリーン弾を放つと、続く2点ビハインドの5回2死一、三塁では右翼席へ2打席連続アーチとなる逆転3ラン。決勝の東海大相模戦では3点を追う4回1死二塁。直球を弾丸ライナーで右翼席へ突き刺す2ラン。ハマスタでの「2戦3発」で3年ぶり夏切符の原動力になった。「チームの流れが悪い時に打たなきゃならない打順。

流れを変えるしかないと思った」と胸を張った。

 しかし、私の脳裏に焼き付くのは「投手・奥村」の尋常ならざるすごみだ。今春センバツ準々決勝の西日本短大付戦。同点の6回から救援すると、いきなり3者連続3球奪三振の「イマキュレート(完全無欠の)イニング」で流れを呼び込み、4回完全で白星をたぐり寄せた。西短の3人は、そのセンバツでいずれも本塁打を記録した強力クリーンアップだった。投手としての進化も見てみたい。

 趣味は読書。言語学者・外山滋比古さんの著作がお気に入りだ。「『思考の整理学』が小5からずっと愛読書で、何回も読みました。めっちゃ面白いですよ」。そこから得た学びは「ただ人のいいなりになるのではなく、自分の個性を伸ばしていくことの大切さ」だという。その個性は今後、どのように進化していくのか。

未来予想図には、楽しみしかない。(加藤 弘士)

 ◆奥村 頼人(おくむら・らいと)2007年9月8日、滋賀・彦根市生まれ。18歳。小1から高宮スポーツ少年団で野球を始め、小6ではタイガースジュニアに選出。中1から滋賀野洲ボーイズでプレー。中3時は鶴岡一人記念大会に関西選抜として出場し、優勝。横浜では1年春からベンチ入り。2年春からエースナンバー。特技はスキーで習字は1級。179センチ、84キロ。左投左打。

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