ラグビー・リーグワン1部の東京SGは16日、東京・府中市のグラウンドで練習を公開した。ニュージーランド出身のCTBイザヤ・プニヴァイが、取材対応。

先発する第15節の東京ベイ戦(18日、熊本・えがお健康スタジアム)に向け「80分間、一貫性を出していくことが大事」と表情を引き締めた。

 主力として11試合に出場する今季。プニヴァイはシーズン中、グラウンド外でも注目を集めた。2月11日、チームメートのSH流大が、クラブハウスの浴場で、パンツ一丁姿で大量のスパイクを洗うプニヴァイの写真を自身のXに投稿。「オフの日にクラブハウス行ったらイジーが大量のスパイクを洗ってた。他の選手が使わなくなったスパイクを一つずつ丁寧に磨いて、ニュージーランドの貧しい子供達に送るとの事。プレーも人間性も素晴らしい」とつづり、約8万の「いいね」がつけられた。プニヴァイは「ナギー(流の愛称)がポストしてくれて、注目してもらった」と、回顧する。

 年末に行うチームの大掃除。選手が使わなくなった多くのスパイクが、クラブハウスから処分される。「いい状態だとしても、履かない人もいたりする。せっかくなので、使える人に渡すいい機会だと思って」とプニヴァイは言う。

今年1月、約30セットの使用済みスパイクを、母国のニュージーランド(NZ)に自ら持って帰った。「スーツケースに、Tシャツとズボンを2枚ずつ。あとは全部、スパイクを詰め込んだよ」。寄付を始めた時期は正確に記憶していないが、22年に入団した25歳は「掃除の度に、皆が使っていないものをもらっている」と語り「自分としては、そんな大きなことをやっているつもりではなかった」と、自然な笑顔を浮かべる。セカンドハンドだがピカピカ。少しでもいい状態で、と風呂場で汗を流す。

 NZはラグビー王国。ウェリントン出身の愛称“イジー”は「兄弟がいるけど、僕たちはとてもラッキーなことに自分のブーツを持っていた」と語る。一方で「自分のいとこや、当時のチームメートにはブーツがない子どもたちもいた」と、恵まれないラグビー少年少女がいたことも事実。約15年前の原体験も、いまにつながっている。2011年、カンタベリー地方を襲った大地震。都市クライストチャーチを拠点とするNZの強豪クラブ、クルセーダーズの選手が、その後一時的に地方都市に避難したという。

「選手が地方に来た時に、アディダスのグッズやスパイクなどをくれた経験があった」。当時、オールブラックスでBKだったイズラエル・ダグのブーツをもらい、履いていたというプニヴァイ。「12歳の時だったと思うよ」と、懐かしむ。

 大きな反響を呼んだ、流によるプニヴァイのポスト。あるファンは、サイズ違いで購入したスパイクを「使ってくれるかな」と、クラブハウスに持参したという。チームは3月28日(埼玉戦)と5月10日(BR東京戦)、秩父宮ラグビー場で「IZZY Recycle」を実施。ジャージーやヘッドキャップなどを含め、使用品を世界のラグビー少年・少女へ届けるプロジェクトを始動させた。「もっと、多くの人を助けられたら嬉しい。次世代の子たちを手助けして、刺激を与えられたらうれしい」とプニヴァイ。ひとりの優しさが、楕円の絆を紡いでいる。(大谷 翔太)

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