馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はベッラレイアが勝った2007年のフローラSを取り上げる。

ダイワスカーレット、ウオッカと同世代。“牝馬最強世代”の中でもファンの多かったナリタトップロード産駒が、最高の輝きを放った一戦だ。

 直線に向いた時、目の前に立ちはだかったライバルたちの壁。それを見ても、秋山は慌てることなく、ベッラレイアを外に導いた。「追い出した時には、まだイクスキューズはだいぶ前にいた。それでも、きっちりかわしてくれましたね」。うわさの大物牝馬がベールを脱いだ。

 いつもよりは五分のスタートだったが、逆に走りのリズムを狂わせた。「ポンと出たら、ペースが緩くてかかってしまった」と秋山は苦笑い。直線では手応えのなくなった馬がズルズルと下がってきたが、進路を確保してからはグイグイと脚を伸ばし、上がり34秒3の脚で難なく突き抜けた。

 「今日は勝てなくても、権利を取ればいいと思っていた。オークスへ向け、色々試したかったから」。

平田調教師は重賞初制覇のかかる一戦だったが、レース前は余裕を見せていた。しかし、レース後は“苦難”を乗り越えた愛馬を絶賛。「一番苦しい競馬をしていたと思うよ。相当な能力を持っているね」。オークスは開業2年目で2度目のG1だが、引き継いだ馬ではなく、自ら育て上げた馬での参戦は初めて。しかし、胸の中は自信に満ちていた。

 現役時代から人気の高かったナリタロップロードの初年度産駒。父を彷彿(ほうふつ)とさせる切れを武器に人気を集めたが、世代が悪かった。同じ年に日本競馬界を代表する牝馬のウオッカとダイワスカーレット。のちに牡馬相手でも互角以上の走りを続け、日本競馬の頂点を目指すような名牝2頭だった。

 ただ、ダイワスカーレットが直前の発熱、ウオッカが日本ダービー挑戦で不在だった同年のオークスは1番人気に推されての出走。好位からの正攻法で押し切る寸前だったが、外国産馬のローブデコルテにゴール寸前で鼻差かわされた。

「足らんかったね、運が…。まだ秋がある。マイナス2キロでも、体は細く見えたし、もっと成長してね。メジロマックイーンも負けたんやから」。1991年有馬記念で内藤繁春厩舎のスタッフとしてダイユウサクを送り出し、メジロマックイーンを敗る大金星をつかんだトレーナー。今度は人気を背負う立場の敗者として、G1の重みを知ることになった。

 結果的に5歳秋まで続いた現役生活の中で好走は続けたものの、重賞タイトルはこれが最初で最後だった。5歳時のエリザベス女王杯1週前追い切り直後に鼻出血を発症し、現役引退へ。北海道安平町のノーザンファームで繁殖牝馬となり、2023年3月に天国へと旅立った。

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