3月に定年引退した国枝栄元調教師(71)が美浦・小島茂之厩舎の厩務員に補充員として転身し、4月25日の東京10R・鎌倉S(4歳上3勝クラス、ダート1400メートル)で”デビュー戦”を迎えた。担当するトクシーカイザー(牡6歳、美浦・小島茂之厩舎、父キンシャサノキセキ)の結果は5着と初陣を飾ることはできなかった。

 トクシーカイザーを引き連れ、パドックへ登場すると、G1と錯覚するほどの大観衆に見守られ、周回した。国枝厩務員と同馬が目の前を通るたびに、たくさんのカメラが向けられ、一挙手一投足に注目が集まった。号令がかかり、鞍上の武豊騎手=栗東・フリー=が駆け寄ると、再び大量のシャッターが切られた。千両役者がそろい、舞台は整った。

 ゲート入りまで国枝厩務員が引っ張り、スタートを迎えた。同馬は中団やや後方からの追走となり、直線では追い上げを見せたものの、5着でフィニッシュ。武豊騎手は「ダッシュがなくて後ろからになったけど、最後はしっかり伸びています」と振り返った。“オールドルーキー”の国枝厩務員の仕事ぶりについては「新人だから気を遣ったけど、上手にやっていたと思いますよ。将来有望です(笑)」と笑いを交えて称賛した。

 小島調教師は多くの観客が見守ったことについて「ありがたいことですね」と感謝を口にした。「豊ジョッキーが乗ってくれて、国枝先生がパドックで引いてくれて、メインの前という舞台で、やっぱり(国枝氏は)持っている。僕も楽しみました」と豪華な競演をトレーナーも堪能した。

「(ジョッキーが)『ゲートまで引っ張ったことあるんですか』って聞いたら、『初めてだ』って会話をしていたらしい」と裏話も披露。「5着に終わって残念だけど、無事に終わってよかった」と大注目の一戦を終えて安堵(あんど)の表情を見せた。今後はまた別の馬で国枝厩務員の姿を競馬場で見られそうだ。

編集部おすすめ