今季からJ2藤枝のヘッドコーチに就任した太田吉彰氏(42)が、16日のアウェー磐田戦へ向けた思いを語った。現役時代から親交があった槙野智章監督(39)とは、神奈川県1部・品川CCでもタッグを組んでいた。

現役時代を過ごした古巣との“静岡ダービー”を前に、クラブ強化への思いや覚悟を口にした。(取材・構成=伊藤 明日香)

 浜北市(現浜松市)出身である太田氏は下部組織、現役生活を過ごした磐田で19年に現役引退を発表。一度はサッカー界を離れ、会社員や起業も経験した。だが、サッカーで築いてきた人脈や経験の大きさを再認識。再び競技への思いが強まる中、槙野監督から声をかけられ、24年に神奈川1部・品川CCで5年ぶりに現役復帰した。選手の手本となる「ロールモデルプレイヤー」としてプレーし、途中からはコーチ業も兼務。今季からは藤枝でヘッドコーチを務めている。練習で、時には選手と同じランニングメニューをこなし、背中で示す場面もある。

 藤枝に携わってから迎える2度目の“静岡ダービー”。古巣との前回対戦は3月7日にホームで行われ、退場者を出して数的不利になりながらも、1―1から突入したPK戦の末に勝利した。再戦となる今回は、敵地での一戦へ準備を進める。「育てていただいたクラブですから、すごく感謝しています。

そのクラブと対戦できるのは楽しみです。プロとして戦う以上は、もちろん勝敗にこだわらなければならないですし、しっかり準備していきたい」と意気込む。

 古巣以外のクラブに関わることには、批判も覚悟していたという。それでも、SNSを通じて磐田サポーターから祝福の声も届き「ありがたかった」と感謝を口にした。

 槙野監督が全体を統括しながら主に守備、太田ヘッドがサイド攻撃、広島・浦和・札幌時代にミハイロ・ペトロヴィッチ監督(現名古屋監督)の下で通訳兼コーチを務め、今季から就任した杉浦コーチがゴール前の崩しを主に担当する。それぞれの専門性を持ち寄りながらチーム強化を進めている。磐田には、サイド突破を武器とするMF角昂志郎主将がいるが、ダービーでのサイド攻防も注目ポイントの一つだ。太田ヘッドは「互いにサイドに強みを持っていると思う。そこの駆け引きでどちらが優位に立てるかでゲーム展開も変わってくる。1対1の仕掛けが重要になるので、うちの選手にはガンガン行けと伝えていきたい」と見据えた。

 現役時代は豊富な運動量でスタジアムを沸かせてきた。「僕自身も誰よりも走ってきたし、気持ちの部分では負けない選手だった。

まずは戦う気持ちを持つことが大切。その覚悟をもっと選手に植え付けていきたい」と熱く語る。

 同じくJ1昇格を目指す古巣に対しては、「お互いが高め合いながら昇格できればいい。ただ、自分は藤枝を昇格に導けるように頑張りたい」と力を込めた。古巣への感謝を胸に、“静岡ダービー”へ挑む。

編集部おすすめ