39歳のDF長友佑都(FC東京)が、日本人初の5大会連続W杯メンバーに選出された。前回22年カタール大会組は13人、平均年齢は27・1歳となった。

東京・小平グラウンドで16日の百年構想リーグ・浦和戦(埼玉)に向けた練習後に、メンバー入りが発表されると涙を流した。クラブを通して「こんなに緊張したことはないというくらい緊張しました」と安どの喜びに浸った。森保一監督(57)は、精神的的支柱としての役割を期待。鉄人が前人未到の戦いに臨む。

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 信じて突き進んできた道なき道に、新たな世界が広がった。森保監督にフィールドプレーヤーの一番手で「長友佑都」と名前を読み上げられると涙がこぼれた。日本人初の5大会連続選出の吉報をクラブハウスで聞き、スタッフから祝福された長友は「こんなに緊張したことはないというくらい緊張しました。もう感謝しか出てきません。本当に『ありがとう』ということを皆さんに伝えたい」と喜びに浸った。

 一度は、幕を下ろしたはずだった。FC東京に現役引退する可能性を伝えた上で臨んだカタール大会は、全4試合先発するなど躍動したが、決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPKで敗戦。大会後、長友は「この悔しさを含めて、必ず彼らがつないでくれると思います」と、後輩たちに未来を託した…はずだった。

 ただ、同大会決勝のアルゼンチン―フランスの激闘に魂を揺さぶられて現役続行を決断。そこからはぶれなかった。周囲から笑われようが、何を言われようが、言霊のように「5大会連続W杯出場」を公言し続けてきた。何がそこまで突き動かすのか。長友は言う。

 「この尊い、W杯を戦える喜びと、誇りと、日の丸を背負える重圧とプレッシャーを感じられるのは4年に一度しかない。経験すればするほどW杯の虜になる。僕が『ブラボー』【注】と叫んだ時の目を見てもらえたら分かると思うんですけど、普通に人が生きていて、あそこまで興奮することはなかなかないと思うんです」

 “W杯の魔力”が原動力だった。24年3月に代表に復帰し、3月に右太もも裏肉離れを発症したが、急ピッチで仕上げ、メンバー発表前最後の東京V戦で先発。森保監督の前で「魂を込めた」プレーを披露し、ラストアピールを実らせた。

 この日の会見で森保監督は「プレッシャーが想像以上に大きくなって、経験の浅い選手はコントロールが難しくなるかもしれないが、チーム全体に影響力を及ぼして、貢献してもらえる」と、長友に精神的支柱としての役割を託した。長友も「やはり優勝を目標にしているので、そこに向けて強い信念を持って、覚悟を持って戦いたい」と決意。

W杯に魅了されてきた日本が世界に誇る鉄人が、前人未到の5回目の夢舞台に臨む。(後藤 亮太)

【注】『ブラボー』は長友の代名詞。22年カタールW杯でのドイツ戦勝利後に絶叫して連呼。その年に大きな話題になった。

 ◆長友 佑都(ながとも・ゆうと)1986年9月12日、愛媛・西条市生まれ。39歳。東福岡高―明大。大学3年時の2007年に特別指定選手としてFC東京でデビュー。08年プロ契約。同年5月に日本代表初選出。10年夏にイタリア1部チェゼーナに移籍し、11年1月にインテルへ加入。トルコ1部ガラタサライなどを経て、21年9月にFC東京復帰。

日本歴代2位の国際Aマッチ通算144試合出場(4得点)。家族は女優の平愛梨と4男。170センチ、68キロ。

 ◆長友の過去W杯4大会

 ▽10年南アフリカ大会=23歳 全4試合フル出場。決勝トーナメント(T)1回戦敗退。

 ▽14年ブラジル大会=27歳 全3試合フル出場。1次リーグ敗退。

 ▽18年ロシア大会=31歳 人気アニメ「ドラゴンボール」のスーパーサイヤ人を意識した金髪で大会に臨み、全4試合フル出場。決勝T1回戦敗退。

 ▽22年カタール大会=36歳 W杯仕様の金髪で臨み、大会中は自身が叫んだ「ブラボー」で日本中を熱狂させた。全4試合に先発出場。決勝T1回戦敗退。

 ◆W杯5大会連続メンバー入り(15日時点) メキシコ代表GKカルバハル、同DFマルケス、ドイツ代表(西ドイツ時代も含む)DFマテウス、イタリア代表GKブッフォンに加え、22年カタールW杯ではメキシコ代表GKオチョア、同MFグアルダード、アルゼンチン代表FWメッシ、ポルトガル代表FWのC・ロナウドが達成。オチョア、メッシ、ロナウドは現役で今大会の代表に選ばれると、6大会連続となる。日本では長友に加え、GK川口能活楢崎正剛川島永嗣が4大会連続で最多。

 ◆日本代表のメンバー構成 国内組は3人(早川、大迫、長友)のみで過去最少。ベルギーのシントトロイデンは、現所属の2人(谷口、後藤)に加えて、過去在籍の5人(鈴木彩、冨安、遠藤、鎌田、中村)もメンバーに名を連ね、今回の代表で“最大勢力”となった。28年ロサンゼルス五輪世代の後藤、塩貝が選出された一方で、24年パリ五輪(8強)を戦ったメンバー22人からの選出はゼロだった。前回カタール大会の決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦で、PK戦のキッカーを務めた4人(南野、三笘、浅野、吉田)がいずれも選外となった。

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