大相撲 ▽夏場所11日目(20日、両国国技館)

 東前頭11枚目・宇良が東同16枚目・若ノ勝を肩透かしで下し、3場所ぶりの勝ち越しを決めた。代名詞「業師」の人気力士が年6場所制となった1958年以降で年長3位となる33歳11か月での初Vへ、3敗を死守してトップを1差で追走。

大関・霧島は2敗同士の直接対決で小結・若隆景を寄り切った。2敗の霧島と平幕の琴栄峰、翔猿を1差で若隆景や平幕・義ノ富士、宇良ら6人が追う。大関・琴桜は負け越しが決まり、来場所は昨年春場所以来のカド番となる。

 宇良が驚異的な粘り腰で館内を熱狂に包んだ。立ち合いで若ノ勝の猛烈な突っ張りを受け、あっという間に土俵際まで後退。突き起こされて何度も土俵を割りかけたが、懸命に耐えた。エビ反りになっても持ち前の軟体で懸命に残し、反動を利用するかのようにズバッともろ差し。絶体絶命の状況から形勢を立て直し、右からの肩透かしで転がした。33歳の業師は「いっぱいいっぱいでした」と汗を拭った。

 角界屈指の人気力士も、初場所は4勝11敗、春場所は5勝10敗と大きく負け越し、今場所を東前頭11枚目で迎えた。前頭10枚目以下まで番付を下げたのは21年名古屋場所以来、29場所ぶりだった。復活へ、3~4月の春巡業で精力的に動いた。

29日間で27か所を巡るタフな日程。休場者も相次いだ中で「これだけやったという自信が欲しい」と関取衆で唯一、無休で申し合い稽古の土俵に上がった。

 巡業を見守った親方衆からも、宇良の姿勢を評価する声は多く上がっていた。巡業部長の高田川親方(元関脇・安芸乃島)も「立派ですよ。稽古は必ず裏切りませんから」と今場所の活躍を予見していた。3場所ぶりの勝ち越しを11日目に決めた宇良は「ちょっと自分も力残ってたんだなと思って。うれしく思います」と表情をほころばせた。

 3敗を守り、大混戦の賜杯レースで面白い存在となってきた。大関・霧島ら2敗の3人を宇良ら6人が1差で追う展開。九重審判長(元大関・千代大海)は「宇良や義ノ富士が頑張ってアピールしてほしいね。大混戦ですよ」と注目を寄せた。33歳11か月で初優勝を果たせば旭天鵬、玉鷲に次ぐ年長3位の記録となる。

「集中して取れている。33歳最後の場所なので、まだまだこれからも頑張りたい」。来月22日に34歳を迎える人気業師が、初夏の土俵を盛り上げていく。(林 直史)

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