小結・若隆景が東前頭13枚目・琴栄峰との3敗同士の一番を押し出しで制し、トップに並んだ。単独首位だった大関・霧島は西前頭10枚目・伯乃富士に寄り倒され、3敗に後退。

霧島と若隆景は対戦を終えており、4敗の平幕・義ノ富士、伯乃富士、宇良、琴栄峰、藤凌駕の5人にも優勝の可能性が残された。千秋楽で霧島と若隆景が勝てば優勝決定戦で決着。両者が敗れた場合は4敗の力士が加わり、史上最多の6人による決定戦にもつれ込む可能性がある。

 わずか1秒3での完勝で、2度目の優勝が見えた。若隆景は低く鋭く踏み込み、右おっつけ、左ははずで速攻。一気の出足で琴栄峰を押し出した。3敗対決を制し「下から速い相撲で出ていけた」とうなずいた。取組後、支度部屋での取材中に、霧島が敗れた結びをテレビで確認。首位に並んだが、表情を変えずに会場を去った。

 場所前、元横綱の3代目・若乃花の花田虎上さん(55)と対談した。花田さんは現役時代180センチ、134キロ、若隆景は183センチ、138キロ。体格が近く、同じ技巧派で、横綱に上り詰めた花田さんの言葉に耳を傾けた。

「どういう感覚で攻めていたのか気になっていた」と組んだ際の膝の位置を教わった。また、取組は「3手先まで読む」と助言され、「今まで2手先だった」と目が覚めた。先場所前に痛めた右肘は完治していないが、相撲IQの高さで白星を重ねている。

 千秋楽は4敗の藤凌駕戦が組まれた。22年春場所以来、2度目の賜杯となれば25場所ぶり。琴錦(43場所)、照ノ富士(30場所)に次ぐ史上3位の長期ブランクとなる。若隆景は関脇だった23年春場所で右膝を大けがし、3場所連続全休で幕下に転落。幕下に落ちた幕内優勝経験者が再び栄冠に輝くのは照ノ富士に次いで2人目となる。苦境にも努力を怠らなかった若隆景らしい数字だ。

 大関取りだった昨年秋場所で負け越し、平幕に転落。今場所、三役に復帰してこの日までに11勝。大関昇進の起点も作った。

師匠・荒汐親方(元幕内・蒼国来)は「初優勝してから(23年に右膝の)大けがも経験し、30歳を超えた。今は大関を考えるより優勝を目指してほしい」と期待した。「また明日、一生懸命相撲を取るだけ」と若隆景。勝敗は考えず、己を貫いた先に、31歳の復活Vが待っている。(山田 豊)

 ◆5人以上での優勝決定戦 これまでの最多は1996年九州場所の5人による決定戦。11勝4敗で曙、3代目若乃花、武蔵丸、貴ノ浪、魁皇が並び、曙を除く4人のトーナメント戦からともえ戦へ。武蔵丸が曙と貴ノ浪に連勝して優勝した。今場所は霧島、若隆景がともに敗れ、伯乃富士が勝てば、義ノ富士―琴栄峰の勝者を含め史上最多の6人での決定戦となる。対戦相手はくじ引きで決め、2人ずつで決定戦を行い、勝者3人がともえ戦で争う。

編集部おすすめ