大相撲夏場所14日目(23日、東京・両国国技館)

 西前頭10枚目・伯乃富士が大関・霧島を寄り倒し、4敗を守った。2敗で単独トップだった霧島を引きずり下ろし、千秋楽に3敗の霧島、小結・若隆景、4敗の平幕・義ノ富士、伯乃富士、宇良、琴栄峰、藤凌駕の7人に優勝の望みが残る大混戦を演出。

史上最多の6人による決定戦にもつれ込む可能性も出てきた。

 大歓声の中、伯乃富士が丁寧に手刀を切り、55本の懸賞の束を大事そうに両手で受け取った。2敗で単独首位だった大関・霧島との結び。相手得意の左四つとなり、押し込まれた。それでも痛めている左足一本で何とか残し、前まわしを両手で引いて形勢逆転。相手が呼び込んだところを一気に寄り倒した。単独首位を引きずり下ろし、大混戦を演出。自らの初優勝にも望みをつないだ。

 前日から、先に上手を取られてからの動きをイメージしており「必死に自分の体勢に戻そうとした。考えていた通りに体が動いた」と、相撲勘の良さを大勝負でいかんなく発揮。師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)からは「自分がやってきたこと、決めたことをやり切るように」と助言を受け、初日からその言葉を実践してきた。「自分が志して入ってきた大相撲の世界。

自分で決めたこと、そこにはウソをつけない。決めたことを、やり抜ける人はかっこいい。自分もそういう人間になりたい」と充実感をにじませた。

 左足のけがの影響などで今場所は番付を下げており、1月の初場所以来の結びでの白星となった。「今日は両親が観戦に来ていたので、いいところ見せられて良かった」と笑顔。両親は毎場所応援へ駆けつけてくれるといい、「父は大黒柱のようで、母は枝のようにやさしく支えてくれる。一生をかけて恩返しをしたい」と力強く話した。

 トップと1差で千秋楽を迎える。22歳9か月2日で初優勝を果たせば、1958年以降の初土俵では年少10位の記録。両親は千秋楽の観戦予定はないというが、優勝をした支度部屋に呼べることを報道陣から問われると「さすがにないでしょ」と笑い飛ばした。“令和の怪物”と呼ばれたホープが、自然体で初の賜杯を狙う(大西 健太)

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