北中米W杯(6月11日開幕)1次リーグF組第2戦(同20日)で、日本と対戦するチュニジアは厳しいアフリカ予選を9勝1分け、無失点という完璧な内容で突破し、3大会連続7度目のW杯出場を決めた。新たに就任したサブリ・ラムシ監督(54)が選んだ26人は、新顔や若手も選出されるサプライズを含んだ面々となった。

分析、対策が難しくなった北アフリカの雄について、昨年まで同国代表でプレーしたG大阪のFWイッサム・ジェバリ(34)に聞いた。(取材・構成=金川 誉)

 北アフリカに位置し、日本でなじみが深いとは言えないが、チュニジアとは2002年日韓大会で対戦し、日本が勝利した過去がある。通算対戦成績でも日本の5勝1敗。唯一、敗れた22年6月の対戦(0●3)で、とどめの3点目を決めたのがジェバリだ。同国出身で唯一のJリーガーには、森保ジャパンがどう映っているのか。

 「今の日本代表は、世界有数の強さを誇ると見ています。ホームでブラジルを撃破し、アウェーでイングランドに勝つ。簡単に起こり得ることではない。結果がすべてを物語りますね」

 F組では、オランダ(FIFAランク7位)、日本(同18位)、スウェーデン(同38位)に対し、チュニジアは44位。前評判は高くないが、チュニジア国民はそんな下馬評を受け入れてはいない。

 「F組は死の組と言っても過言ではないし、予選突破のオッズを見ればチュニジアが一番高いのかもしれません。ただ、チュニジア人の感覚は『我々が一番チャンスが少ないだと、ふざけるな』というものです。

我々は小国ですが、自分たちの国に強い誇りを持っている。非常に明るくオープンマインドな国民性ですが、歴史的に革命を経て独立を勝ち取ってきた背景もあり、自分の考えを堂々と言う率直さがあります。サッカーに対しては本当に感情的で、信念が強い。それが誇りなんです」

 昨年のアフリカ大陸選手権で16強敗退に終わり、W杯出場に導いたトラベルシ監督を解任。14年ブラジルW杯で、コートジボワールを率いて日本に勝利(2―1)したフランス人のラムシ監督が就任した。W杯メンバー26人には、元ドイツ代表MFサミ・ケディラの弟で、今年3月にチュニジア代表を選択したMFラニ・ケディラや、パリSGのBチームに所属する21歳FWハリル・アヤリら若手も抜てきされた。選外となったジェバリは「コメントは難しいね…」と語りつつ分析した。

 「チュニジア代表の伝統として、大きな大会ではそこまで若い選手を入れないのが常でした。その点では変革期、あるいは新監督が新しく何かに取り組もうとする強い意図が見えます」

 日本が警戒すべきキーマンには、高精度な左足を持つ左サイドバックのDFアリ・アブディと、両ウィングの2人を挙げた。

 「アブディは非常に安定しているし、フィジカルも強い。パワープレーでは彼のクロスが生命線になります。あとは創造性の高い2人のウィンガー。

コペンハーゲンのアシュリと、セルティックのトウネクティは、俊敏性が高く1対1の局面に非常に強い選手です」

 ジェバリはG大阪加入後、移動等の負担から代表招集を辞退したこともあり、覚悟はしていたという。

 「地球の裏側から移動する負担を考えると、タフな決断を迫られる部分もありました。チュニジアのファンから『なぜジェバリが入っていないんだ』という声が上がっているのも知っています。感謝しかありません」

 日本戦のスコア予想を頼むと力強く語ってくれた。

 「日本戦のゲームプランを考えるなら、とにかく守備を固めること。チュニジアには『堅守からカウンター』という伝統があります。新監督になってそのDNAがどう表現されるかは未知数ですが、他のアフリカ諸国に比べて、我々は組織的で戦術的なサッカーをやってきたという自負がある。チームが一枚岩になることこそが強みです。日本戦は1―0でチュニジアが勝つ、と予想します」

 ◆イッサム・ジェバリ 1991年12月25日、チュニジア出身。34歳。母国のエトワール・サヘルでプロキャリアをスタート。スウェーデンのヴェルナモ、エルフスボリ、ノルウェーの強豪ローゼンボリ、デンマークのオーデンセなど北欧諸国でプレー。

23年にG大阪加入。今季のACL2で大会MVPを獲得。チュニジア代表には18年にデビューし、22年カタールW杯にも出場。国際Aマッチ16試合2得点。186センチ、84キロ。

 ◆チュニジア代表 3大会連続7回目のW杯出場。最高成績は1次リーグ。アフリカ予選は9勝1分けでH組を首位突破。10試合無失点の堅守が光った。昨年アフリカ大陸選手権で16強で敗退し、監督交代。今年、サブリ・ラムシ監督(54)が就任した。中心選手はかつてマンチェスターUでもプレーしたMFメイブリ(バーンリー)やMFスヒリ(フランクフルト)。

愛称は「カルタゴのワシ」。チームカラーは赤と白。

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