◆第108回全国高校野球千葉大会▽2回戦 市柏4―2千葉科学大付(10日・大谷津)

 初の夏の甲子園出場を目指す市柏が、千葉科学大付を破り初戦突破を決めた。チームを支えているのが、マネジャーの大上温生(あつき)さん(3年)。

夏の大会には記録員として、そしてスタンドからチームを応援する仲間として共に夏の頂点を目指す。

 小4から野球を始め、選手としてプレーしてきた。ところが昨年9月に異変が表れた。夏休みの練習中、肩に違和感を感じ、痛み止めを服用するなどしながら練習を続けたが、夏休み後半には痛みで夜眠れないほどにまで悪化。都内の病院で精密検査を受けたところ、右肩の骨肉腫(こつにくしゅ)と診断された。「野球から離れなければいけない悔しさと、なんで自分がという思いがあった」と当時の心境を語った。父・雄市さん(53)も「普段はよく話す明るい子。それでも宣告されたときはたくさん泣いて、絶望した様子だった」と話すほど、悲しみに暮れた。

 そこから9か月間に及ぶ治療の生活を過ごした。抗がん剤治療に加え、肩の関節の骨を除去し、右足の腓骨(ひこつ)を肩に移植する手術も受けた。手術の影響で送球動作が困難になり、野球を続けられなくなった。「最後までみんなと野球ができなくなったことがとにかく悔しかった」と大上さん。

大好きだった野球も一時嫌いになるほど落ち込んだ。

 それでも退院後にマネジャーとして復帰できたのは、チームメイトの存在があったからだ。「退院した時に『頑張ったね』とか『待ってたよ』と言葉をかけてもらって、部に戻ろうと決めました」。青春を共にした仲間の言葉で、大上さんは新たな道を進む決意を固めた。

 大上さんの復帰でチームの結束が深まった。主将の武田凌雅内野手(3年)は「彼がいることで気持ちが一つになった。『温生の分まで』という声で、彼の思いも背負って戦っています」と語った。大上さんも帽子に「愛」と書き込み、ナインの想いを受け止めている。

 チームは夏の大事な初戦を突破した。14日には成美学園と成田国際の勝者との3回戦に臨む。「温生の分まで」の声で一つになった市柏ナイン。1989年のセンバツ以来37年ぶりの聖地へ、熱い千葉の夏を戦い抜く。

 ◆大上 温生(おおかみ・あつき)2008年7月30日、茨城・守谷市出身。17歳。小4から野球を始める。小学校は守谷ドルフィンズでプレー。守谷中では軟式野球部に所属。市柏では中堅手として2年秋に公式戦初出場。好きな野球選手は吉田輝星(オリックス)。

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