歌舞伎俳優の中村隼人が8日、都内で行われた11月の歌舞伎座公演「吉例顔見世大歌舞伎」(11月1~25日)の「通し狂言『仮名手本忠臣蔵』」の取材会に尾上右近と出席した。

 「仮名手本忠臣蔵」は「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」と並ぶ歌舞伎三大名作の一つ。

5、6段目の早野勘平を初役で勤める隼人は、人間国宝の片岡仁左衛門から教わることを明かし、「仁左衛門のおじさまには近年、修業させていただいて、一番格好いい歌舞伎役者だと思っています。おじさまの勘平は、江戸と関西の良いところを取り入れて、心の動きに無理がない」と語った。

 勘平の人物像は「忠義一途な人。浪人になっても、どこかで判官のために仇討ちがあるはずと思いながらも、おかると駆け落ちをしてしまう、矛盾やだらしなさもある。そこに人間味がある」と説明。ポスター撮影で初めて浅葱(あさぎ)色の衣装に袖を通し、「憧れのお役。いよいよ勤めさせていただくんだな」と気を引き締めたという。

 おかる役の右近と夫婦役。同世代で幼い頃から気心の知れた間柄で「家が徒歩5分くらいの距離。初めて認識した同世代の歌舞伎役者が右近くん。将来について語り合った思い出があります。右近くんは先に走ってくれる人。

この道で進んでいこうと、道しるべのような存在。今後も『ありがとう』『ごめんね』を面と向かって言える関係でいたいですね」。2、3日に東京・明治座で行った右近の自主公演「研の會」は客席から拍手を送ったという。

 5、6段目の勘平は初役だが、2013年12月に国立劇場で上演された「忠臣蔵形容画合(ちゅうしんぐらすがたのえあわせ)」で早野勘平を勤めている。「当時は17、18歳くらい。(中村)吉右衛門のおじさまに、手取り足取り怒られました。『周りから惚れられる役者にならないとだめだ』と言われたのを覚えています」。その思い出を胸に刻み、11月の舞台に臨む。

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