先週お送りした「国際電話詐欺」の実態特集。番組スタッフが遭遇した実録音声に、多くの反響をいただきました。


「実は自分も……」とリスナーの皆さんからも多くの体験談が寄せられました。ITジャーナリストの三上洋さんにもお付き合いいただき、その実態と手口をご紹介しました。

【体験談①】「警察を騙り、遠方の警察署へ呼び出す手口」

ラジオネーム:みいこさん(68歳・女性)

電話詐欺の録音を聞いて、まさしく当事者となった経験があります。昨年11月の事でした。

警視庁捜査2課の「福島」という女性からで、捜査上、第三者に干渉されてはいけないので周りに人がいないか確認されました。

内容は、私の三菱UFJの銀行口座がオレオレ詐欺の振り込み口座となっており、被害に遭った人から被害届が出ているとのこと。詐欺の犯行グループの主犯が「アライミノル」という人物で、この人を知っているかと聞かれました。
私がこの犯行に加担している疑いがかかっている。被害者からの被害届の内容は、わたしから被害を被ったことになっている。

大量のキャッシュカードが押収され、その中の一枚が私のカードであるとのこと。カードをなくしたことがあるかと聞かれました。この時私も外出中でカードの確認できず…。

この事件は静岡県警の管轄で起きているため、身分証明書と着替えを持ってすぐに静岡県警に行けと言われました。

事情によっては最長20日間の勾留も起こりうる、指示に従わなければ県警から出向いて逮捕することになる。今日中に静岡県警に行くようにと言われました。

すっかり騙され、動揺したまま静岡県警まで任意同行するつもりになり、外出中の家族に電話しました。完全に騙されて動揺し言いなりになっていましたが、それはおかしい!と家族の声で我に返りました。自宅に帰りキャッシュカードがあることを確認。

その後、放置しましたが電話はありません。目的は何だったのかよくわかりません。ネットで検索したところ、捜査2課からの電話詐欺についての記事がありまして、私が受けた電話内容はそれらに酷似していました。

後から考えれば変な点ばかりでしたが、疲労感がキツかったです。思い返すと情けない話です。


【三上洋さんの解説】
「みいこさんは「情けない」と仰っていますが、そんなことはありません。実名を出され、住所も知られた状態で警察を名乗られたら誰でも驚きます。

本来は、遠方の警察署へ「行けない」と言わせるのが狙い。行けないと言うと「ではLINE電話で取り調べをしましょう」と誘導し、ビデオ通話で偽の警察手帳や逮捕状を見せて信じ込ませるケースが多発しています。

【体験談②】「録音機能に逆ギレし、住所を連呼して脅す手口」

ラジオネーム:なめらか水羊羹さん(47歳・女性)

丁度2ヶ月ほど前、私も詐欺電話に関する体験がありました。見知らぬ電話番号からの着信、いつもなら出ませんが、丁度、子供の受験が近く、塾の先生や関連する電話かもしれないと、電話をとってしまいました。

警察を名乗る「サトウ」という男が私の名前を出し、確認してきました。捜査中の事件で私の関与が疑われているそうで、伝える事があるので、メモを取る様にとの申し出でした。そこで私はスマホの録音機能を押したところ…

「今、録音を押しましたよね?メモをとってくださいと言いましたよね?」と穏やかではない口調に変わりました。

録音ボタンを押すと相手にアナウンスが流れる事を知りませんでした。必要だと思ったから録音をした事を伝え、なぜいけないのか、具体的な事が何もわからないのに話を聞き進める事はできないという様な事を伝えました。

信用できないので本当に私に疑いがかかっているのか、一度、電話を切ってこちらから最寄りの警察に掛け直すと伝えた所…「これから言う電話に5分以内にかけて下さい」と。かけるのは私の都合でかけるのでいつかけるかわかりません。

これ以上お話聞けません。と伝えると、私の住んでいる住所を出し 「◯◯区〇〇マンションに伺いますから!対応して下さいね!行きますから!」と、語気を荒げて電話終了でした。

細かいところは違っているかもしれないですが、この様な流れでした。切った後は動悸がして、自分は怖かったんだと思いました。

住所を出された事が心配で、私の対応で相手を怒らせて実際、家に誰か来るかもしれないと、居てもたってもいられず、警視庁のホームページから「♯9110」という相談ダイヤルにかけ、状況を話しました。

すると、名簿が出回り、悪い人の手に渡るのはある程度仕方がない事、情報は持っているが実際訪問することはほぼない、との事でした。絶対に無い、とは言ってくれないよね…とは思いましたがほっとしました

【三上洋さんの解説】
最近のスマホは録音を開始すると「録音を開始します」と相手にアナウンスが流れる機種があり、犯人はそれを嫌がります。住所を言って脅すのは、相手を怖がらせて主導権を握るため。でも実際に家に来ることはありません。彼らは会わずに金を奪うのが目的なので安心してください 。不安な時は警察の相談専用ダイヤル「#9110」へ。緊急ではないけれど警察に相談したい時に有効です
 

【体験談③】「マスコミ用語のミスから詐欺を見破る」

「生活は踊る」プロデューサー・刈屋さんの親族

先日、080から始まる番号から電話がかかってきました。

「●●さんですか。警視庁捜査一課の林です。容疑がかかっているので、愛知県警に出向いてください」。

後から考えると100%詐欺ですが、おかしいな、と思いつつも焦りました。愛知に全く心当たりはないので「冤罪か?」「オレは冤罪で捕まり残りの人生を東京拘置所で過ごすのか」とも思いました。

容疑がわからず「何の容疑ですか?」と聞いても、とにかく愛知県警に行ってくれ、あなたは容疑者だと同じことを言ってくる。しかし、愛知県で何かした記憶はまったくありません。警視庁の人間がなぜ愛知県警に行けというのか。警察のシステムがわからなかったので、ひょっとしたらそういう連携もあるのかなと。

「容疑者」というワードにも違和感を持ちました。「容疑者」はマスコミ用語で、本来は「被疑者」と言う。ただ、警察は一般人にわかりやすく「容疑者」をあえて使っているかもしれない…。いろいろ考えていると、相手の名前を忘れてしまいました。「すみませんが、あなたのお名前を教えてくれますか?」と聞くと、かなりイライラした感じで声を荒げて…

「さっき言ったじゃないですか、警視庁捜査一課の林ですよ!あなたは容疑者なんですよ!」

ここで「あれ?変な反応だな。何でこんなにイライラしてるんだ。

反応がおかしい。しかも捜査一課と言ったら殺人などの凶悪犯を担当する部署だ。携帯からかけてきているのも変だ。警察がいきなり携帯からかけてくるだろうか。「ちょっと今忙しいので折り返しかけますので、警察署の電話番号を教えてください」

「そういう態度に出るのですね。分かりました。あなた、〇〇市の◯◯町に住んでいるんですよね。わかりました。うかがわせてもらいます」と、一方的に電話を切られました。

ここで100パーセント詐欺だと確信しました。もう少し泳がせてもよかったけど、相手が名前と住所を知っているので、やめた方がいいか…。

しかし、信じてしまう人もいるだろうな。

詐欺電話などになぜ引っかかってしまうのかと疑問でしたが、やはり自分の身に降りかかってみると、びびってしまいます。

【三上洋さんの解説】
非常に冷静な対応でしたね。「被疑者」と「容疑者」の使い分けに気づくのはプロの視点ですが、少しでも「おかしい」と思ったら、一度切って相手の言う番号ではなく、自分で調べた警察署の番号にかけ直すのが正解です 。

【体験談④】「一度狙われた人はリストに載る?繰り返される被害」

ラジオネーム:寮母のみかんさん

携帯電話にも詐欺電話があるのですね。私の義理の両親は固定電話で、オレオレ詐欺でマンションの敷地内に来た受け子に300万円渡してしまいました。

実は、6年前にも固定電話でオレオレ詐欺に合いました。その時は、詐欺師の言葉を信じた夫を心配した義理の母が嫁の私に電話してきて、詐欺だと気付き、110番。義父が駅で待ち合わせしていた受け子に500万円渡す寸前で警察官が義父を見つけてくれて、お金を渡さずに済みましたが…。

その時、詐欺グループに電話の名簿と、もう少しで詐欺にひっかかりそうという情報もセットで回るので、今後も気をつけるようにと指導され、固定電話も買い直して、番号登録してない電話は出ない約束もしていましたが…

また騙されてしまいました。

【三上洋さんの解説】
一度騙されたり、騙されそうになった人は「カモリスト」に載って名簿が転売されます。対策をしても、犯人はそれを上回る演技で騙しに来ます。一番の対策は、「固定電話も携帯電話も、常に留守番電話設定にしておくこと」。犯人は録音されるのを嫌がるので、声を聞く前にシャットアウトしましょう。


三上洋さん直伝!詐欺電話に引っかからないための3箇条

▼知らない番号、特に「+」から始まる国際電話には絶対に出ない。

▼スマホも固定電話も、常に留守番電話設定にする。

▼もし出てしまっても、お金や警察の話が出たら一度切り、家族や警察(#9110)に必ず相談する。

「自分だけは大丈夫」と思わず、少しでもドキドキする電話が来たら、まず一呼吸おいてください。皆さま、どうぞご注意を!

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)

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