日本は「終わった国」。そんな悲観論をよく聞きます。

私の考えと正反対です。私は日本の未来は明るいと考えています。日本株は長期的に大きく上昇すると予想しています。バブル期と異なり、今の日本株はとても魅力的です。海外で稼ぐ力、技術の底力、そして次世代の躍進。悲観論の裏にある「日本の真の強さ」を再評価して良いと思います


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日本株が割安と考える理由

 本コラムで私はいつも「日本株は割安で長期的に大きく上昇していくと予想している」と書いています。


 日本株だけでなく日本全体がいかに安い国になってしまったか、バブルであった1989年と比べれば明らかです。


 1989年当時、日本株は利益を無視して夢だけで買い上げられた結果「極めて割高」でした。当時、不動産も利回りで説明できない「バブル」でした。日本人の賃金も日本の物価も、国際比較で「極めて高い」状態でした。今は全部が正反対です。日本株は割安に、不動産も利回りから説明できる水準になり、日本人の賃金や物価は国際比較で安くなったと考えています。


 日本株の割安度が際立つのは、財務と比較したバリュエーションです。

長年にわたって借金返済を続けた結果、ネットキャッシュ(有利子負債からキャッシュ同等物を差し引いた値のマイナス幅)が増えています。


 さらに、バランスシートに巨額の余剰キャッシュ、持ち合い株式や賃貸不動産を抱える企業も多く存在します。賃貸不動産などの含み益を考慮した実質株価純資産倍率(PBR)で「極めて割安」と判断しています。


 ただし、割安なだけで株が上がるわけではありません。重要なのは、成長性です。日本企業の成長性について、さまざまな悲観論が語られていますが、私は、日本の未来は明るいと考えています。一番大切なのは「人」です。私は、日本の若い世代は有望で、これからも日本の成長を期待できると思っています。


日本の未来に対する悲観論に違和感

 さまざまな悲観論が語られています。私の考えと正反対ですが、以下のような話をよく聞きます。


【1】人口が減る国、国内総生産(GDP)成長率が低い
【2】労働生産性が低い
【3】資源が乏しい、エネルギー・食糧自給率が低い
【4】AI、宇宙、バイオ…、最先端技術で出遅れ
【5】外交力が弱い、米国にこびを売り続けるだけ
【6】自然災害多発、地震やスーパー台風の脅威
【7】日本の若者への批判、ハングリー精神が乏しい


 なぜ日本人はいつもこのように、自らを低評価するのか不思議です。私は、上記について、以下の通り考えています。


【1】人口が減る国、国内総生産(GDP)成長率が低い


→日本企業は海外で成長


 日本企業は、成長率が高い欧米やアジアにどんどん出ていくことで、成長しています。かつて内需産業といわれた小売り、食品、サービス、金融、陸運などが海外で成長するようになりました。また、自動車、電機、機械など輸出産業は、海外現地生産、現地販売が当たり前になり、海外ビジネスを拡大しています。


 日本企業はさらに近年、海外で巨額の買収や合併(M&A)を実施し、海外ビジネスの拡大に拍車をかけています。日本人は、 シャープ(6753) など日本企業が海外企業に買収されると「いよいよ日本の衰退が始まった」と大騒ぎしますが、日本企業がどんどん海外企業を買収して成長していくことには無頓着でおごり高ぶることはありません。


 こうして海外ビジネスを拡大させた成果で、日本は経常収支で高水準の黒字を稼ぎ続けています。その黒字を国内に還流させることなく海外で再投資して、海外ビジネスをさらに拡大していく積極性を失っていません。


【2】労働生産性が低い


→日本のサービス品質は卓越


 日本の労働生産性が欧米に比べて低いことは有名です。ただし、それは単純にネガティブとだけは言い切れません。労働生産性が低いといわれつつ、日本のオフィスワーカーの事務能力の高さ(ミスの少なさ)は欧米と比べものになりません。


 日本的サービスの品質の高さも、欧米とは比べ物になりません。それが、日本の観光業やサービス産業の強みになっているし、製造業でもきめ細かなカスタム対応やアフターサービスの強みにもつながっています。

そこまでやるから労働生産性が低くなる一方、そこまでこだわることが日本の競争力につながっている部分もあります。


【3】資源が乏しい。エネルギー・食糧自給率が低い


→製造業が強く、省エネ環境技術に強い。スマート農業に期待。水資源が豊富。


 日本企業は、海外で積極的に資源開発を進めてきた成果で、総合商社や石油精製・非鉄精錬企業が、海外に資源権益を有する「日の丸資源会社」となり、資源不足をなんとかカバーしています。


 中東危機では、原油の中東依存度の高さが問題となってしまいましたが、それでも INPEX(1605) がオーストラリアの海底ガス田の開発に成功したおかげで、液化天然ガス(LNG)輸入については今回は助かっています。


 ところで、資源が豊かだと、資源に依存する経済になるために製造業が育ちにくいという事実があります。「資源の呪い」といわれる事象です。日本は資源が乏しいが、製造業王国としての強みを持ちます。また、エネルギー資源が乏しいゆえに、省エネ環境技術で世界のトップを走ることができているともいえます。


 農業のコスト競争力が低く、食糧自給率が低いことは問題ですが、日本の農畜産品の品質の高さは抜き出ています。

スマート農業の導入や大規模化でコスト低下を実現できれば、輸出を伸ばす可能性はあると思います。


 日本には一つ、世界中からうらやましがられている資源があります。豊富できれいな「水」です。毎日お風呂に入れるぜいたくができる国は、世界中にそんなに多くありません。水資源不足は、中国やカリフォルニア州を含め、世界中で重大な経済成長の阻害要因となっています。


 中国は、シェールガス&オイルの埋蔵量が豊富なのに、水が不足しているためにそれを掘り出すことができません。国際会計基準のサステナビリティ開示では、CO2排出量の開示義務付けかどうかが先行しましたが、次に「水の使用量」開示義務付けが必要といわれています。世界中で、企業による水の争奪が重要な社会問題となっているからです。


 


【4】AI、宇宙、バイオ…、最先端技術で出遅れ。米国にも中国にも勝てない


→AIエージェントに期待。宇宙開発・バイオで高い成果


 AI開発で出遅れていることは重大な問題です。重要なインフラを米国企業に抑えられていることが、ネックとなっています。

ただし、多種多様なAIエージェントを開発する応用分野では、日本企業が力を発揮すると予想しています。今後の巻き返しに期待しています。


 宇宙開発については、日本企業は政府予算の規模が米国や欧州と比べて小さい割には、相当な成果を出していると思います。自前のロケットを打ち上げ、自前の高性能衛星を多数保有し、観測、測位、通信、放送などに活用しています。


 測位については、世界中の国が米国のGPS衛星に依存しています。日本もGPSに依存しています。ただし、日本上空に「みちびき」シリーズの測位衛星を増やしており、いずれ米国のGPS衛星に頼らずに日本の衛星だけで測位が可能となる見込みです。


 ロケット打ち上げは失敗することがあり、再利用ロケットを実現して低コストで多数のロケットを打ち上げ続けている米国のスペースXに大きく引き離されていますが、それでもロケットや衛星を作る技術において、日本に強みもあります。


 人工衛星の製造において、日本が米国や中国よりも優れている点もあります。日本が製造業で培ってきた技術が宇宙事業でもフルに発揮されていることによります。


 過酷な宇宙環境の中で10年以上使う大型衛星の開発・製造において、日本は極めて高い信頼性と品質を有します。宇宙空間で高速で飛ぶ人工衛星は、一度故障すると修復できません。

10年以上使うつもりで打ち上げても、何か問題が起きると、それで寿命が尽きてしまいます。


 日本の観測衛星「だいち2号」は、2014年に打ち上げ、5年間使用する予定でしたが、2025年になってもまだ故障することなく、運用されています。だいち2号は、低軌道(高度約628キロメートル)を秒速約7.5キロメートルの高速で飛び続け、約14日間で地球全土の精密画像を撮ることができます。過酷な環境で、想定以上に長い年月、驚異的な耐久性と性能を発揮しています。


 もちろん、それだけの長い耐久性は、ハードウエアの性能だけでなく、地球上からのきめ細かな運用管理にも支えられています。日本の新幹線や自動車・機械類に見られる品質と耐久性が、人工衛星においても生きています。


 バイオ技術についても、日本の製薬企業は、研究開発費の規模において欧米企業に引き離されているにもかかわらず、相当な成果を出しています。


  第一三共(4568) は、がん治療の最先端抗体薬物複合体(ADC)で世界トップの技術力を持ちます。研究開発費の規模で欧米大手に劣るのに、がん治療の最前線で世界トップを走っているのはすばらしいことです。第一三共のADCは、さまざまな抗がん剤と組み合わせ、治癒できるがんをこれからも拡大していくと期待されます。


 なお、がん治療に革新をもたらしたもう一つの治療方法「免疫チェックポイント阻害剤」では 小野薬品工業(4528) が世界に先がけてオプジーボを開発したことが高く評価されます。ただし、その後の世界展開で メルク(MRK) のキイトルーダに後れを取ってしまったため、オプジーボは世界で成長できなくなりました。


【5】外交力が弱い、米国にこびを売り続けるだけ


→実利を取る外交力は卓越


 高市早苗首相の外交力の高さは、歴代首相の中でも特筆すべきと思います。「米国にこびを売っている」との批判もありますが、的外れな批判と思います。


 私は、「メンツを取って実利を捨てる」外交は最低と思います。米国や中国の外交にはその傾向があると思います。一方、「実利を取り、メンツにはこだわらない」外交が理想的だと判断します。日本の外交は伝統的に「実利優先」で卓越しると思います。トランプ大統領との交渉でも、いかんなく外交力が発揮されていると考えられます。


【6】自然災害多発、地震やスーパー台風の脅威


→世界トップの建設技術


 日本が自然災害の多発国である事実は変えられません。でも、それをバネに日本人は努力を続けています。大災害が起こった時に、日本特有の強い団結によって危機を克服していく力は、海外からも驚かれています。


 1923年関東大震災、1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、大きな地震災害が続いています。その都度、対策を強化し、災害に強い国に変えてきました。その結果、日本の耐震建築技術は、世界トップです。その技術が、海外で土木・建設工事を受注する際の強みにもなります。


 阪神・淡路大震災のあと、強度に問題のあることが分かった建物や高速道路には、全国で一斉に耐震補強工事がされました。東日本大震災では、津波によって大きな被害が発生しましたが、地震の揺れで倒れた建築物はほとんどありませんでした。


 近年多発している豪雨による河川の氾濫や洪水被害も、これから対策を強化していくことで、少しずつ被害を小さくしていくことが可能でしょう。


【7】日本の若者への批判、ハングリー精神が乏しい


→音楽、芸術、スポーツなどで躍進


 私は、近年の日本の若者はすばらしいと思っています。音楽、芸術、スポーツなど、これまで日本がまったく太刀打ちできなかった分野で、世界的に評価される成果を出し続けているからです。さらに、アニメ、ゲーム、映画でも高い評価をあげています。


 もちろん若者だけでなく全世代の努力によるものですが、和食、和牛、緑茶、日本酒など、日本の健康に良い食生活全般が世界で注目されるようになりました。さらに日本の伝統文化への注目も世界で高まっています。


 大谷翔平がよく引き合いに出されますが、日本の若い実力者が決して高圧的ではなく紳士淑女的であることも、世界的に注目されるようになりました。かつて、イギリス人が穏やかで礼儀正しく「英国紳士」といわれたことがありましたが、今、そのお株を日本人が奪っているように思います。


 1980年代、日本は製造業で世界のトップに上り詰めましたが、そのころの日本人は「エコノミック・アニマル」とやゆされることがありました。経済は強いが、音楽芸術などでは世界的に評価される人が少なかったことによります。


 1990年代以降、バブル崩壊で経済では「世界トップ」から転落している分野が数々ありますが、それに代わって「日本文化」の力を高めてきたことが注目に値すると思います。


 日本人には「チームプレーに徹することができる」ことにおいて、欧米にも中国にもない強みがあります。それは昔も今も変わらないことです。スポーツで、シングルスでは絶対に勝てない相手に、ダブルスでは勝つことがあります。一人一人がチームでの勝利を大切にするという文化が、今もまったく変わっていないことをうれしく思っています。


(窪田 真之)

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