良質な睡眠は、いまや希少な健康資源になりつつある。いびきや睡眠時無呼吸症候群に悩み、CPAPやマウスピースを手放せない人も多い。
しかし、理学療法士として独自の身体調整術を展開する山内義弘氏は、市販の絆創膏一枚でその苦しみから抜け出す道を提唱。著書『絆創膏を貼るだけ整体』は10万部を超えるベストセラーとなった。
また、「糖質から脂質へのシフトチェンジ」を説き、『なぜヒトは脂質で痩せるのか』(扶桑社新書)が発売即重版となった作家の金森重樹氏も、現代人の睡眠に警鐘を鳴らす一人だ。本稿では、山内氏と金森氏に現代人の不調を一掃する意外なメソッドについて語ってもらった。

【専門家が解説】いびき、睡眠時無呼吸に悩む人へ…「絆創膏1枚...の画像はこちら >>

絆創膏の知られざる効力

――山内さんは、市販の絆創膏を使ったケアを推奨されています。怪我の処置でもないのに、なぜ絆創膏を貼ることで体に変化が起きるのでしょうか。

山内 絆創膏は、実は全身のあらゆる不調に作用する強力なツールです。首の痛み、肩こり、腰痛、股関節の可動域制限、指先の強張りまで、貼る位置によってさまざまな変化をもたらしてくれます。

金森 それってどういうメカニズムなんですか?

山内 人に本来備わっているセンサーを、正しく作動しなおすイメージです。狙っているのは、関節の中にある関節包と、筋肉の繊維の中にある筋紡錘というセンサーへのアプローチ。ここには位置やスピード、負荷を感じ取る機能があり、絆創膏を皮膚の上から貼ることでその信号を引き出すきっかけになるんですね。

 たとえば筋紡錘に対しては、ほんのわずかでも「筋肉が伸ばされた」という情報が伝われば、働きが正常化する。脳へ正しい位置情報を送ることで、過緊張している筋肉を緩めるという仕組みです。
高価な器具も薬も要らない。皮膚をミリ単位で操作するだけで、体は本来の柔軟性を取り戻します。

金森 皮膚反射を利用して関節受容器を活性化させるアプローチですね。これは面白い。

快眠を導く絆創膏の貼り方とは⁉

山内 そして、この絆創膏ケアが顕著な効果を発揮するのが、睡眠の問題です。いびきや睡眠時無呼吸症候群は今やポピュラーな症例として多くの人が頭を悩ませています。中には深刻な状態の人もいる。ただ、その多くは枕や機械を導入する前に、絆創膏一枚で改善の兆しが見えることもある。

金森 睡眠の質が落ちることは、健康維持において重大な問題ですからね。脳に貯まった老廃物を排出する大切な時間なのに、現代人は睡眠リズムが乱れまくってしまっていますから。

山内 仰るとおりです。睡眠中に呼吸が止まる、あるいは呼吸が浅くなる原因は、喉の奥にある「肩甲舌骨筋」という細い筋肉の緊張にあります。現代人はデスクワークやスマートフォンの操作で肩甲骨が前方に巻き込み、この筋肉が舌骨を引っ張って気道を物理的に押し潰しているわけです。


 では、どうするか。耳の後ろから外側へ皮膚を持ち上げるように絆創膏を貼り、さらに肩甲骨の外側から首の付け根に向かって引き上げるように貼る。これだけで呼吸が楽になり、ストレートネックによる気道の圧迫も解消されます。

金森 睡眠の不調は血糖値の変動とも密接に絡んでいますよね。夜に糖質を過剰に摂るとインスリンが分泌され、寝ている間に反応性低血糖を引き起こします。すると体はコルチゾールを主に放出し、持続的な筋肉の硬直や食いしばりを招いて呼吸阻害の悪循環に陥るとも言われています。

山内 仰る通り。筋肉の緊張を解くには、金森さんが言うような栄養面でのリセットと、私が提案する物理的なリセットの両方が要ります。呼吸が楽にできるようになれば深い眠りにつけ、翌朝の目覚めが変わります。特にマグネシウムが重要です。私はにがりを摂っているんですが、マグネシウムによって筋肉の緊張が解けます。

【専門家が解説】いびき、睡眠時無呼吸に悩む人へ…「絆創膏1枚」で眠りが変わる可能性
「絆創膏貼るだけ」シリーズが10万部超のベストセラーとなった理学療法士の山内義弘氏


寒さに身をさらすことが大切

――金森さんは、アイヌ民族や先住民族の暮らしからも睡眠のヒントを得ているそうですね。


金森 アイヌの人々はチセという地熱を利用した住居で、過酷な寒冷地でも室温5℃ながら体感温度20℃を保ち、子供は小さい時は室内で裸で過ごすことで身体機能を維持していました。これは、「人は寒さに身を曝したほうがいい」ということなんです。

私は今、バヌアツという熱帯の国で暮らしているのですが、布団もなくベットに裸でそのまま寝ています。夜になると大体15度ぐらいに冷えるときもありますが、実は研究でも「15度前後が最も睡眠の質が高い」というデータがある。みんな温めすぎなんです。深部体温が下がらないと、いい眠りにつけません。狩猟採集民は気温の低下を合図に深部体温を下げ、「夜が来た」と体が感知します。光に加え、適度な寒冷刺激が深部体温低下を促し、睡眠ホルモンメラトニン分泌を助ける。それが私たちの基本設計です。

山内 現代の常識とは正反対ですね。

金森 興味深いのは寝るときの姿勢です。狩猟採集民は、横に寝て膝を胸に近づける胎児姿勢やうつ伏せで眠ります。
これは腹部などの急所を守る防衛本能によるものと考えられます。
一方で、現代人のように仰向けで、高い枕で首を曲げて眠る姿は特殊で、不自然な状態だと言わざるを得ません。

山内 私もまったく同意見です。不眠に悩む方には、うつぶせ寝を勧め、枕の使用をやめるように言うんですよ。なぜかというと、枕を使うと頸椎がまっすぐになり、神経が締め付けられて筋肉の緊張が高まってしまう。

それに、仰向けよりうつぶせの方が肺のガス交換効率が圧倒的に高いんです。重力の影響を最小限に抑えながら、呼吸の効率まで上がるのです。

金森 うつぶせ寝は、敵から致命傷を負わないための生存戦略でもある。野生動物は腹を見せて眠りません。私たちは安全に眠るための姿勢すら忘れてしまった。山内さんの絆創膏やうつぶせ寝の提案は、そうした野生の機能を取り戻すきっかけになると考えます。

山内 実際にうつぶせ寝と絆創膏を組み合わせると、睡眠中の酸素飽和度が安定し、夜中に目が覚める回数が減ったという声を多くいただきます。
道具に頼る前に、自分の体が本来持っている呼吸の仕組みを取り戻す。それが不眠症と向き合う第一歩です。

山内義弘
1970年、名古屋市出身。理学療法士。山梨県のAKA-専門病院で修業。そのテクニックをさらに進化・改良した山内流を開発。現在は、どこへ行っても治らない痛みの「最後の砦」として活動している。全国のセラピスト向けセミナー登壇、講演活動、オンライン配信など多岐にわたって活躍。YouTubeチャンネル「腰痛・肩こり駆け込み寺【山内義弘】」は2026年1月現在、登録者数150万人を超す。主な著書に10万部超の『絆創膏を貼るだけ整体』『コリと痛みの駆け込み寺! のびちぢみ体操』(ともにKADOKAWA)

金森重樹
東京大学法学部卒。作家、監訳者、ビジネスプロデューサー。糖質ではなく脂質に着目した「断糖高脂質」により2か月で30㎏以上の減量に成功、そのメソッドを書いた「ガチ速〝脂〟ダイエット」シリーズは累計10万部を突破。
「金森式」としてSNSで広く拡散され、大きな話題を呼んだ。近著に「なぜヒトは脂質で痩せるのか」(扶桑社)があり、「旧石器時代になるべく近い生活様式を現代で再現する」ことをモットーに、食事、サプリメント、歩行、睡眠などを詳述している。2026年現在、バヌアツ共和国で暮らす。

【金森重樹】
行政書士・不動産投資顧問。東京大学法学部卒。25歳のときに1億2000万円の借金を負うも、マーケティング技術を活用して35歳で完済。その後、行政書士として脱サラし、現在は不動産、ホテル、福祉事業など年商100億円の企業グループのオーナーに。マイナスから超富裕層へと這い上がる。「徹底して理詰めで事に当たる」のがモットーで、長寿やダイエットに関心を持ち、わずか2か月で90kg→58kgの減量に成功。その理論の根幹を成す「断糖高脂質食」をはじめ、栄養学や人類学にまで領域を広め「脂で痩せる」という独自メソッドのブラッシュアップに余念がない 。著書は『なぜヒトは脂質で痩せるのか』(扶桑社新書)、『運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる ガチ速”脂”ダイエット』、『ガチ速“脂”ダイエット 極上レシピ大全』『120歳まで元気に生きる 最強のサプリ&健康長寿術』。公式X:金森重樹@ダイエットonlineサロン@ShigekiKanamori
編集部おすすめ