険しい坂を通るために列車が停車して方向転換するスイッチバックがある区間は、鉄道旅の大きなヤマ場となります。スイッチバックでもいろいろな種類があり、乗務員の対応もいろいろです。
【かなりスゴい!!】これが「異色すぎるスイッチバック体験列車」です!(写真)
スイッチバックを通る「ジグザグ運転」で有名なのは、小田急電鉄傘下の小田急箱根が神奈川県の有名観光地・箱根で運行している箱根登山電車です。“箱根の山は天下の険”なのを象徴するように、小田原(小田原市)~強羅(箱根町)間の15kmの高低差は約500mあります。
ケーブルカーなどを除く一般的な鉄道としては勾配が国内で最も急な80パーミル(1000m進むと80mの高低差)の区間を擁する箱根登山電車には、スイッチバックが3回あります。うち大平台駅(箱根町)以外の2回は乗客が乗り降りできない信号場です。
大平台では、運転士と車掌がプラットホームを通ってそれぞれ反対側の乗務員室に向かいます。これに対し、信号場の線路脇に設けられているのは簡易ホームで、運転士と車掌はこの上を行き来して乗務員室を交代しています。
特急だとビューン一方、スイッチバックの駅でも特急などの通過列車は立ち寄らず、そのまま“ビューン”と通過する駅もあります。長野盆地を見下ろすことができる“日本三大車窓”の一つであり、そのなかで現在唯一稼働中のJR東日本篠ノ井線姨捨(おばすて、長野県千曲市)も、そんなスイッチバック駅です。
勾配になった本線の脇に線路が延びており、その先に行き止まりになった姨捨駅があります。長野方面から松本・塩尻方面へ向かう上り列車は進行方向右手にある姨捨駅の脇を通過してから、引き上げ線に入った後、スイッチバックで駅へ向かいます。出発時には駅に進入した際とは反対方向に向かうため、2回目のスイッチバックをします。
一方、塩尻・松本方面から長野方面へ向かう下り列車は、姨捨駅にはそのまま入ります。
この区間はJR東海の383系で運行している特急「しなの」(長野―名古屋)が走っており、急坂なのを感じさせずに爽快に駆け抜けていきます。
スイッチバックで運転士はそのまま、でも入ってきたのは!姨捨と同じように停車する列車だけがスイッチバックし、通過列車は本線をそのまま駆け抜けていくのが、えちごトキめき鉄道はねうまラインの二本木駅(新潟県上越市)です。
スイッチバックがある篠ノ井線姨捨駅付近から長野盆地を眺めた“日本三大車窓”(大塚圭一郎撮影)
筆者(大塚圭一郎:共同通信社経済部次長)は2026年3月、2両編成で真っ赤な外観のディーゼル車両ET122形1000番台「雪月花」で、この駅を訪れました。窓の横幅が2.3mと鉄道車両として国内最大級で、大きな窓から乗務員室を見渡せるためスイッチバックの様子も迫力満点で楽しめました。
列車は北陸新幹線と接続する上越妙高(上越市)を10時35分に出発後、進行方向右手の二本木駅付近を通り過ぎました。すると、左へ分岐した引き上げ線に入り、積雪で線路が埋まらないようにした“雪囲い”の中で運転士がブレーキをかけて停止。車内では「ただいまよりスイッチバックのため、列車の進行方向が変わります」との放送が流れました。
運転士は妙高高原側に向かって左側にある乗務員室の扉の窓を全開にしましたが、乗務員室から動く気配がありません。乗務員室に入ってきたアテンダントが乗務員室扉の窓から頭を出すと、運転士はマスコンハンドルを操作して20km/hでバックします。
駅のプラットホームの先端近くで、アテンダントが「あと60メーター」と伝えます。
この運転方法について、別のアテンダントが乗客にこう説明しました。
「『雪月花』ではデザイナーのこだわりにより運転席が中央寄りに造られているため、運転士が窓から後方確認することができません。そのため、アテンダントが代わりに窓から顔を出し、あと何メートル、あと何メートルと指示を出しながらバックしております」
「雪月花」のデザイナーは、イチバンセン一級建築士事務所代表取締役の川西康之氏です。川西氏は、日本国有鉄道時代に登場した電車117系を改造したJR西日本の長距離列車「ウエストエクスプレス銀河」、特急「やくも」(岡山―出雲市)の電車273系、ディーゼル車両キハ189系を改造した観光列車「はなあかり」なども手がけてきました。
普通に通常使われている電車ET127系の場合、運転席が「雪月花」とは異なり窓際にあります。このため、運転士は立ち上がって乗務員室扉の開けた窓から頭を出し、自分で停止位置までの距離を確認しながらワンハンドルマスコンを操作します。
他方で上り列車が二本木に入る際、反対側の乗務員室には運転士がいない状態なのは同じです。「雪月花」のアテンダントは「二本木駅側から見ると、誰もいない状態の列車が進入してくる不思議な体験ができます」と解説しました。
正味4回もスイッチバック!?二本木を出発する時、「雪月花」は2回目のスイッチバックをしました。妙高高原との間にある関山(妙高市)も旧駅に進入する時はスイッチバックでしたが、前身の国鉄信越本線時代の1985年に現在地の本線上へ移転しました。
箱根登山電車の2000形(大塚圭一郎撮影)
「雪月花」は妙高高原で折り返し、次の扉が開く駅は直江津です。直江津でも進行方向を変えて日本海ひすいラインに入り、13時15分に終着の糸魚川(新潟県糸魚川市)に到着しました。
方向を変えたのは4回と、箱根登山電車の箱根湯本(神奈川県箱根町)―強羅間に乗ったときより1回多く楽しめました。ただし、途中の停車時間を含めて2時間40分の行程なので、約40分に3回も慌ただしく向きを変える箱根登山電車に比べると“ポツンポツン”と折り返すという印象を受けました。
そんなヤマ場が適度に訪れる行程が、ゆったりとした時間を楽しむ観光列車にはうってつけなのかもしれません。

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