名古屋中心部の新たな移動手段「SRT」

 名古屋市の新しい公共交通システム「SRT」が、2026年2月13日に定期運行を開始。市内を走る最新鋭の公共交通機関ということで、運行初日には多くの利用者が詰めかけました。

【写真】これが開業2か月経ったSRTの車内です

 それから約2か月が経過した4月17日。現状を確かめるべく、改めてSRTに乗ってきました。

 開業当初の2月13日に見に行った際は、平日の金曜日にも関わらず、乗客で満席になっていたSRT。しかし運行開始から2か月が経過した4月17日は、落ち着きを見せ始めていました。

 最初に向かったのは、SRTの中心地となる栄停留所。到着数分前の時点で、待っている乗客は10人程度でした。なお、他にもSRTを撮影しようと待っている人もチラホラいます。

 やがて定刻通りSRTが栄停留所に到着し、やはり10人程度の乗客が降りてきました。とはいえ、今回訪れた4月17日は、平日の金曜日、それも15時ごろです。利用者数が最も少なくなるタイミングだったとも言えるでしょう。

 次に、筆者(鈴木伊玖馬:乗りもの好きライター)は地下鉄とSRTのリアルな移動時間を調べることにしました。

 具体的には、栄から名古屋駅までを地下鉄(+徒歩)とSRTのそれぞれで移動し、ストップウォッチを使って実時間を計測してみます。

SRTと地下鉄、早かったのは?

 まずは地下鉄ルートから。栄停留所からSRTが出発する16時25分に合わせて計測を開始し、名古屋市営地下鉄東山線の栄駅を目指します。広場から地下街に続く階段を降り、改札を通過。2分ほどでホームに着きました。

名駅~栄は「地下鉄」と「SRT」どっちが早い? ストップウォ...の画像はこちら >>

2026年4月17日のSRT栄停留所(鈴木伊玖馬撮影)

 すぐに電車が来たので乗車します。帰宅ラッシュ前ですが、車内はかなり混んでおり、座るのは難しそうです。

 乗車から4分後、2つ先にある名古屋駅に定刻通り到着し、そこから地上の名古屋駅停留所を目指します。しかし、地下鉄の通路が混雑しており、停留所に着くまで6分ほどかかりました。かかった時間はトータルで「約16分」です。

 一方、名古屋駅停留所でしばし待つこと約10分。SRTは定刻の16時50分を3分超過し、16時53分ごろに到着しました。栄停留所から乗った場合、かかった時間は「約28分」となり、地下鉄を使ったルートより12分ほど遅い計算となります。

 続いて、名古屋停留所から栄停留所までをSRTで移動します。まずSRTは定刻より5分遅れの16時55分に出発。名古屋駅周辺は交通量も多く「さらに遅延するのでは……?」と思っていました。

 しかし、予想とは裏腹にSRTはスムーズに進み、栄停留所には17時8分に到着。約13分で栄に戻ってくることができました。

 SRTの栄停留所~名古屋駅停留所へ向かうルートは、復路に比べて1駅多く、距離も多少長いため、その分時間がかかっているようです。

 結論として、名古屋から栄に行く場合、往路・復路のルート事情や地上に出るまでの時間を加味すると、SRTと地下鉄でトータルの移動時間にはさほど差がないと言えそうです。そのためどちらの交通機関を使うかは、好みの部分が大きいでしょう。

SRTにも商機あり その理由は?

 遅延を避けたいならば、道路状況に左右されない地下鉄の方が安心です。しかし、それを踏まえた上で、筆者はSRTの利用にも大きなメリットがあると捉えています。

名駅~栄は「地下鉄」と「SRT」どっちが早い? ストップウォッチでガチ比較! 運行開始から2か月、リアルな実力は?
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2026年4月17日の地下鉄東山線・栄駅(鈴木伊玖馬撮影)

 一番大きいのは、名古屋市営地下鉄の混み具合とアクセス性です。名古屋駅周辺は狭い場所が多く、ホームなども混雑しています。

しかも名古屋駅の地下街は入り組んだ構造をしており、スムーズに地上に出るのは至難の業です。

 それらを考慮すると、階段の上り下りなどせず、路上からそのままフラットに乗車できるSRTは、非常に魅力的な交通機関だと思います。また、車内もSRTの方が真新しく、格段にキレイなので、快適に過ごせるはずです。

 最近の利用者数を見る限り、大盛況とまでは言えないSRT。しかし、乗車中にその存在を知らなかったと思われる方が行き先を確認して乗ってくるケースも見受けられました。

 現在、SRTは毎日運行ではなく、土日祝日と金・月のみの運行に限定されています。それもあってか、乗りもの好き以外への知名度はいまひとつなのかもしれません。

 それでも、信号待ちのあいだには歩道の通行人が何人もカメラを向けており、注目度の高さが伺えました。「観光名所がない」とよく揶揄されがちな名古屋ですが、2024年の観光客数は5400万人を記録。宿泊施設の稼働率も上昇傾向にあるほか、名古屋城の2025年度の入場者数は過去3番目に多い238万人を記録しています。

 5月のゴールデンウイークを控え、日帰り観光での利用者も増えることが予想されます。そうした機会にさらなる知名度アップを果たせば、平日の利用者も徐々に増え、名古屋の公共交通機関として定着するのではないでしょうか。

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